人生最後とお花の関係は・・・。

 先日、何気なくテレビを観ていると、オランダの若いご夫婦から友人の赤ちゃん誕生祝いのブーケを注文された店主が、お花は人生と共に有り、この国では誕生から最後のお別れまでお花のプレゼントは常に欠かせないものだと、力説されていました。

 1ヶ月近く前のご葬儀で、近親者だけをお呼びして、お母様を綺麗な生花祭壇でお送りし、お越しいただいた方にはおいしいお料理のおもてなしをされたいとのご要望をご相談者からいただいておりましたが、ご葬儀後のお忙しい中、早速にご満足されたご様子のご報告をいただいた矢先のことでしたので、思わず画面に見入って頷いてしまいました。

 そう言えば、私達もいつの間にか人生最後とお花は切っても切れない関係になってしまったようです。
 ご逝去された後、お布団にご安置された枕元には枕花が置かれ、枕飾りにもお花が生けられ、ご葬儀では生花祭壇を、祭壇の両脇にはご供養のための供花が飾られ、仏式、神式以外ではご焼香の代わりに献花が祭壇に手向けられます。
 祭壇や供花のお花は最後のお別れの「お花入れの儀式」で柩へと、故人様はまさにお花に囲まれての旅立ちとなります。

 少し前までは白木祭壇に比べお花の祭壇は高価なものでしたが、いつの間にかリーズナブルなお値段へ取って代わってしまった観があり、担当者の方も既成の祭壇だけではなく、こだわりを持ってご相談者のご要望に応じた生花祭壇も提供されていらっしゃるようです。

 近年、立会いでお伺いしたご葬儀の中でも、生前故人様が臨死体験の際見られたという、お花畑をイメージされた祭壇は印象的でした。
 お別れにお見えになられた方々が、色取り取りのお花畑をたどると、故人様とご対面できる造りは式場の様式と相まって、ドラマチックな雰囲気をかもし出していました。

 また、永年スキー愛好者だった方の雪山をイメージした生花祭壇では、それまで心労で担当者に愚痴をこぼし続けていらした奥様がご覧になられて、思わず歓声をあげられ、大変なお喜び様だったと伺っています。

 生前お花のお師匠だった方のご葬儀にお伺いした時は、後を継いだお嬢さんとお弟子さん達とのたっての願いで、プロの花屋さんが大方造った祭壇の、最後の仕上げを完成させ、関係者一同感無量の面持ちだったとの報告もいただきました。

 もの言わぬお花は人の心を読み取り、人生最後の伴走者を引き受けてくれているようです。