「母の時もよろしくお願いいたします」
ご葬儀が執り行われた帰りしな、ご葬儀担当者は先程までの緊張されたお顔が一変し、安堵の表情を浮かべている喪主様からご丁寧なご挨拶を頂いたとの由。
「父はすでに定年後30年以上経っており、かつてのお仲間も少なくなり、母も高齢で車椅子生活ですので、公営の斎場での1日葬を希望しておりますが・・・」。
ご相談者から最初のご相談をいただいたのは丁度1年程前でした。
ご要望に見合った地元の賛同社を複数社ご紹介し、各社のお見積りをご検討いただいた中から、ご相談者はご希望の社を絞り込み、万が一に備えていらっしゃいました。
ご逝去の報を受けた担当者が、第1志望の公営斎場の空き状況を確認したところ、式場は最短で1週間待ちとのこと。
ご喪家にとって1週間お待ちするのは難しいとのことで、お身内からも幾つか斎場候補があがりましたが、いずれも著名な斎場で家族葬には広すぎ、それに伴って斎場費も高額になり、ご希望の「こぢんまりと質素に」とは少しかけ離れておりました。
さらに遠方にお住まいのご相談者の弟様からは、最後の夜は一晩お父様とご一緒されたいとのたっての願いが言い渡されました。
通常、1日葬ではなかなか受け入れ難い申し入れですが、担当者は地元の斎場を幾つかご紹介していく中で、1日葬の場合には通常の半額になる斎場もあることをお話し、知り合いのご住職のいるそちらの斎場でしたら、通夜を執り行わなくても、ご相談によってはお父様と最後の晩をお過ごし出来る旨申し上げたとのこと。
1階にご安置されている柩を2階の和室にお運びし、翌朝再び1階の斎場に戻す手立ては階段しかなく、こちらの作業はご喪家サイドにお任せされており、かなりの重労働になりましたが、当日は御兄弟3人で力を合わせてお父様をお運びされ、一夜をご一緒できたことに感慨無量の面持ちだったご様子を後程伺いました。
ご住職も、和室は空いていたからと1日葬の斎場費のみで、こちらの使用料はお受けにならなかった模様です。
地元に詳しい担当者の計らいで、ご満足のいくご葬儀を無事滞りなく執り行うことができました。