今年も先日、横浜イングリッシュガーデンに、お目当ての薔薇の花を愛でに伺いました。
赤、白、ピンク、黄色の花びらが青い空と見事なコントラストを放ち、今が旬とばかりに咲きほこっている薔薇の花に囲まれ、幸せなひとときを過ごして参りました。
薔薇には高貴な方や有名人の名前が付けられ、雰囲気をさらに盛り上げており、中でもかつてのハリウッド女優・イングリッド・バーグマンの名がついた真紅の薔薇には、華やかさの中にも凛とした趣が感じられ、しばし見とれておりましたが、その趣にふと数年前のご葬儀のことがだぶってきました。
薔薇には棘があり、お花は鮮やか過ぎてご葬儀には向かないとまで言われているようですが、時にはこの薔薇の花でなければご葬儀が成り立たなかったのでは、と思われる程のインパクトをお見せすることもあるようです。
数年前の無宗教葬のご葬儀では、祭壇は造らず、柩の周りを白い薔薇で飾り、写真は撮らずに、一切のものを残さないでほしいとのご要望を頂きました。
彫刻家のご主人のかつてのお仲間が50名程集い、柩を前にグラスを重ねて、若かりしパリ時代の思い出話に花を咲かせて、ゆったりした時間が流れる中、最後のお別れとなりました。
お一人お一人が白い薔薇を柩に手向け、白薔薇で埋め尽くされた柩に一輪の真紅の薔薇が奥様の手で置かれました。
その鮮やかな色合いから強い意志が感じられ、今でも鮮明に目に焼き付いています。
また、ご葬儀が無事終わりましたと担当者から送られてきた写真には、棺の上に黄色の薔薇の花束が画面いっぱいに写っておりました。
他界されたご主人の歳の数と同じ60本の薔薇の花束は、奥様の誕生日に歳の数だけプレゼントし続けていたご主人への、奥様からの最初で最後のプレゼントとの由。
イベント企画のお仕事をされていらっしゃるお嬢さんのたっての願いで、ご葬儀の進行役をお嬢さんにお任せした担当者からは、意外なことを聞かされました。
お嬢さんからは「生前父は私の仕事の内容がよく分かっていなかったようですが、最後にこれで理解してくれたと思います」とほっとされたご様子でお話いただいたとの由。
黄色の薔薇には奥様とお嬢さんの熱い想いとメッセージが込められていました。
薔薇には薔薇の数だけ物語りがあるようです。