幸せなお見送りとは・・・。

 数年前のご葬儀に立会いでお伺いした時のことでした。
 「良いご葬儀だったね」聞き覚えのある声に頷きながら、思わず後ろを振り向くと、ベテラン担当者が立っていました。
 ご葬儀の良し悪しはつつがなく終えるだけではなく、幸せなお見送りができる空気に包まれるか否かが大きなカギになるように思われました。

 一気に40数年前にタイムスリップしたおじさん達は、スクラムを組み、面倒見が良かった先輩の柩を取り囲み、溢れる涙を拭おうともせず、蛮声を張り上げ、応援歌でお見送りをしていました。
周りを囲んだ参列者も思わず目頭を押さえ、そこには穏やかな空気が流れていました。

 また、別のご葬儀でも同じような空気に出会いました。
 ずっと独身を通された叔母様を、6人の甥御さんと姪御さんがご親族を束ねてお見送りされたご葬儀では、悲しみの中にもどこか気持ちが和むような、ゆったりした時間が流れていました。
 6人のパイプ役をはたしてきた叔母様は、お一人おひとりにとっていかに大切な存在であったか、喪主である甥御さんのご挨拶からも十分伺えました。
 6人の輪が幾重にも広がりを見せ、ご会葬者全員を幸せな気持ちにさせてくれるようなご葬儀となり、6人が仲良くご一緒にお見送りをされている後ろから、今回は当方が思わず「良いご葬儀でしたね」と声を掛けてしまうほどでした。
 
 ご葬儀のご相談をお受けしている身にとって、最近のご葬儀の空気は大分様変わりしてきているように思われます。
 最後のお別れだけは出来るだけ時代の空気とは切り離してお見送りできないものか、お受けする側もあれこれと暗中模索の状態です。