予期せぬ展開も腕の見せどころ・・・。

ご喪家のご希望として、ご葬儀はご家族・ご親族、又はごく親しい方のみで執り行いたいとのご要望をお伺いしておりましても、時として大勢の方が詰めかけ、予期せぬ展開をお見せすることもございます。

先日も、家族葬をご希望になり、当初お決めになられた葬儀社さんと打ち合わせに入った段階で、ご要望に食い違いが出てきてしまい、改めて当センターに賛同社のご紹介をとの要請をいただきました。

ご葬儀はご家族ご親族のみで質素にお見送りされたいとの意に反し、故人様が現役でお仕事をされていらっしゃる方でしたので、先の打ち合わせ中にご葬儀の情報が洩れ、瞬く間に広がってしまい、通夜当日まで会葬者数が読めず、結果大勢の方にお越しいただく羽目になってしまいましたが、ベテランの担当者の手により、無事難局を乗り越えることが出来ました。

この様に御家族の思惑とは異なった場合の対処の仕方も様々ですが、お話を伺い、以前、ご葬儀に立会いでお伺いした際の、ベテラン担当者の見事な手綱さばきがにわかに思い出されます。

当時、親族10名程でのアットホームな家族葬をとお伺いしておりましたが、通夜前日から急に葬儀社に問いあわせが殺到致しました。

担当者は急遽お清めを増やしましたが、故人様は50代のフリーの出版関係の方でしたので、大勢の方の知るところとなり、通夜当日お客は増え続けていました。
さらに都合が悪いことに、斎場はお清めどころまで見渡せるオープンな空間でしたので、担当者はできるだけお食事からご会葬者を遠ざける策に出ました。

故人様の大好きだったチャップリンの映画音楽を流し、その間ご会葬の方々は故人様の作品や本を回し読みされ、故人様との思い出にひたって一段落したところで開式に持って行き、奥様の御挨拶から始まり、ご焼香が終わった後、柩の蓋を開け、通夜にしかお越しになれない方々のためのお別れ会として、お花入れしていただくことで、お清めのお時間は大分カットされた御様子です。

翌日告別式も多くの友人知人がお集まりになり、「故人の固い意志で無宗教にさせて頂きました」との司会で始まり、友人3名様には、ご会葬者数には関係なく、ご喪家のアットホームな雰囲気の中で進行したい旨をお伝えすると、用意された弔辞をポケットにしまわれ、遺影に向い夫々ご自身のお言葉でお話になりました。

昨晩同様に、チャップリンの映画音楽が流れる中、ご焼香となり、最後のお別れ花は会葬者全員で手向けられました。

御家族だけでお見送りのご予定が、会葬者160名近くまで膨れ上がってしまいましたが、ベテラン担当者の采配で無事定刻5分前にはご出棺となりました。

式場片隅で成り行きを見守っておりました当方も、思わずほっとして頷いていたことが昨日のことのように思い出されます。