時に葬儀の仕事が天職のような担当者に出会うことがあります。
傍から見ていると真面目に一生懸命取り組んではいるが少し膨らみに欠ける方、両腕まくりをして今にも飛び出しそうなイメージの方と各人個性派ぞろいの方が多い中で、その担当者は1歩下がってむしろ淡々とこなしているように見受けられました。
2ヶ月ほど前に概算見積りをお願いした後、依頼者の奥様から担当者に連絡を取りたい旨電話が入り早速伺っていただきました。
奥様は今の状況を説明し、現場をみてもらっていざという時はよろしくとのことで、差し当たって雑談をしてきましたと担当者の報告が入りました。
しかしこの雑談こそが式のイメージや依頼者の性格などを読み込む大事な時なのです。
担当者はその場を読み、性格を読んで依頼者に照準を合わせます。照準さえ合えば後は二人三脚ですからと。読み間違えると別の道へ行ってしまい、ピントが合わないと最後までピントがずれたままになってしまいますからとも。
1ヵ月後、煮詰めた話をしたいと担当者に連絡があった頃には、すでに依頼者は全面的に頼っていらっしゃる様子でした。
まもなく迎えられたご主人の最後に覚悟だったとはいえパニック状態に陥られたので、あえて3日ほど間を取られて少し冷却期間をおき、落ち着きを取り戻して通夜に臨まれました。通夜の気丈な振る舞いにご主人の友人達も胸を熱くしたようです。
「あくまでご喪家の葬儀であり、葬儀屋さんの葬儀ではありませんから」と黒子に徹しながらも伴走者として見守る姿勢が依頼者に信頼と安心感を感じさせたようです。