斎場のバリアフリーは会葬者をもてなす第1歩

 先月、葬儀の立会いにお伺いした千葉の寺院系の斎場でのこと、ご住職の奥様に斎場の使用状況をあれこれお聞きしていると、バリアフリーに関しては「15年前に建てたなりでしたので、今回トイレを改良しようと始めたら予想以上の出費になり、とりあえず1ヶ所だけになってしまったんですよ。便器を代えるぐらいと思っていたら大仕事になってしまって」と苦笑していらっしゃいました。
 利用者側として斎場使用料だけみると決して安くはない金額ですが、小さな斎場のやりくりは大変なようです。
 それでも昨今、斎場の大小を問わずバリアフリーの問題は、会葬者の高齢化を迎えて避けて通れないようになってきました。
 立会いで葬儀に伺うと必ずと言っていいほど車椅子の方や人の手が必要な方が見受けられます。
 自宅で葬儀をしていた頃は取り立てて問題にならなかったり、周りに迷惑が掛かるのではと遠慮されていた方が最後のお別れをしたいと進んで出席されるようになってきたことが1因ですが、義理の出席ではなく、家族葬のように親しい方のみの葬儀が増えてきたことも背景にあるように思われます。
 健常者には何でもない斎場入口の段差から始まり、和室にあがる段差、階段、トイレの狭さ、気になる箇所はいたるところに有り、中には1階が式場、2階がお清め所の場合、エレベーターがなく、階段だけなので何人かで車椅子ごと持ち上げるというところもまだあります。
 その点、公営の斎場は比較的新しい斎場が多く、バリアフリーに関しては万全を期していることをうたい文句している斎場も出てきているようです。
 松戸市斎場や八王子市斎場のように、戸外の階段は全てスロープになっているところもあります。
 これからの斎場選びは外観だけでなく、バリアフリーに斎場側がどれだけ関心を持っているか、言い換えればどれだけ弱者に目が向いているかが重要な鍵になります。斎場の質を問われる
時代です。
 昨今はご喪家側も来ていただくお客様を考慮し、おもてなしの心を強く出してきている方が増えています。
 バリアフリーはその入口ではないでしょうか。