故人の遺骨は誰のものか

 マスコミをにぎわすことがたまにあるのですが、亡くなった人の遺骨をめぐって、配偶者と親が争いをしていることがあります。そもそも亡くなった人の遺骨は誰が処分する権利をもつものなのでしょうか。

 結論を言ってしまいますと、故人の遺骨をどうするかは、祭祀継承者が決める権利を持っています。祭祀継承者とは、お墓など祭祀財産を継承する人のことです。旧民法で「直系の男子優先」とされており、つまり長男が継承するものと定められました。ただ現民法では、「慣習に従って」もしくは「被相続人の指定に従って」となっています。被相続人とは故人のことで、遺言などで指定すれば、誰でも継承者にすることができます。

 要するに、故人の遺骨をどうするかは、祭祀継承者が決める権利を持っていますので、例え故人が故郷での納骨を望んでいても、必ずそれを実行しないといけないわけではないのです。それゆえ、亡くなる人との側から言うと、望むことがある場合、祭祀継承者にその旨よく理解してもらうことも必要になります。