葬儀の良し悪しは葬儀社の担当者の気配りが左右する

 以前、葬儀社訪問をしていた時、担当者から印象的な話を伺ったことがありました。
 国鉄に永年勤務されていた方のご葬儀の時、音響設備のある斎場でしたのでD51の音を最後「ご出棺です。ポー」と流した途端、会場中に号泣が響き渡ったとのことでした。
 
 また、船のドクターを永年おやりになっていた方の場合は船をイメージした花祭壇を創りました。二人の思い出の写真を飾るのは生々過ぎてとおっしゃる奥様のご要望にベテラン担当者は船の写真を預かり、花屋さんに相談されたようです。通夜当日お集まり頂いた嘗ての船の仲間はあっと驚いて、大感激されたそうです。
 
 私が伺ったご葬儀では故人の女学校時代からの友人が多数参列されていました。
 喪主のご主人はご挨拶で「60年の長きを仲良くしていただき有難うございました」としめくくられました。
 告別式が終り、これから最後のお別れの儀が始まります。
 中央に出した柩の斜め前にはテーブルが置かれ、ブルーのテーブルクロスの上には微笑んでいる赤い服の奥様の遺影が飾られていました。
 小さなお花に囲まれた遺影は、正に皆さんをお迎えしているように並べられています。
 通常荷物の置き場となっているテーブルもちょとした心遣いで会葬者の心を掴んでしまう小道具になりました。
 葬儀社の担当者の気配り具合がこれからの葬儀にはより一層欠かせない大切な要素になるようです。