祭壇両脇に並んだ供花は、故人様を供養する意味合いが込められていると言われます。
コロナ禍の中、御葬儀もお身内の方を中心に、ごく親しかった友人数名を含めた家族葬が多くみられる昨今ですが、喪主、子供一同、孫一同と掛かれた供花の札を見ていると、故人様とのかかわり合いが垣間見られ、改めて感慨深い想いにさせられます。
しかし、この供花1つが時に物議をかもす原因になってしまう場合もあるようです。
お花を出せばそれで終わりと思われがちですが、時としてこれがしこりとなって後々まで尾を引く場面も見られるとの事。
以前でしたら、ご親戚の中でご年配の方がお花はどうするかと周りにお尋ねし、テキパキと処理され、事なきを得ておりましたが、核家族化された昨今では、夫々の家庭の事情もあり、長老も切り出しにくいと伺います。
ご親戚の分はお名前だけをお借りして、ご喪家側で一括される方もいらっしゃいますが、 どうかするとお名前を出されたご親戚側も素直に従いにくく、時には押しつけがましさを感じる方もいらっしゃるとのこと。
ちょっとしたボタンの掛け違いで、事が大きくなり、後々それがしこりになっては大変です。
そこでベテラン担当者のお出ましです。
お身内の方々が集まる最初の打ち合わせの際、ご喪家の空気を察知しながら、お花はどうなされますかと透かさずお尋ねされるとのこと。
いつどのように切り出すかは一言で説明しにくいが、タイミングは長年の勘だともおっしゃいます。
ご喪家と周りの空気を読み取り、常に俯瞰の目をもって対応することが担当者として大切で、時として御葬儀のノウハウだけでは身動きが取れない状況も出てきます。
そこが腕の見せ所でもあります。
昨今はレールに敷かれたハウツー式の御葬儀が数多く見受けられる様になりましたが、一方で通り一遍の式次第ではご満足いただけないのも事実です。
お一人お1人の最期をどのように締めくくって差し上げるか、100人100様の対処の仕方があり、ロ―マならぬ、葬儀担当者も1日にしてならず・・・ですか。