等身大のスターの死に自分の最期を想う中高年。

 テレビのスイッチを入れた途端に大音響の歌が流れてきました。
 2日にお亡くなりになったロック歌手忌野清志郎さんのご葬儀の模様をテレビ各局一斉に映し出していました。
 ロックコンサートさながらのライブ盤が読経代わりに流された密葬は、無宗教葬の献花形式で執り行われたと報じられています。
 遺影を囲んだ生花は赤色を基調にした華やかな色合いだが、どんと落着いた雰囲気も漂わせ、強い意志を秘めた遺影と歌をさらに引き立てているようにも感じられます。
 清志郎さんの意思をくみ、引き継いだロック葬は単にスターのご葬儀というだけではなく、これからのご葬儀を考えさせる要因をも含んでいるようです。
 
 1ロック歌手の死というニュースだけではなく、ラヂオでは音楽と共に一般の人達の反響を取り入れた番組も組まれていました。
 多くの方が、ファンとしての悲しみと同時に、自分自身のこととしても考えていらしたようです。
 歌を通して清志郎さん自身の生き方に共鳴し、影響を受けてきた人たちが若者から中高年に至るまで、皆さん一様にドスンと胸に響き、改めて自分の生き方を問われたように感じられた方も多かったと思われます。
 そんなところが今までの大スターとの別れとは違うところかもしれません。
 ある方は、清志郎さん自身が何かのシンボルになるのを避けた方という表現をされていました。
 ファンと等身大で歩き続けたスターの突然の死は、ファンにとって長年連れ添った相棒を失ったように感じられ、憔悴感もひときわのようですが、同時に自分自身の意思をもって、最期をどのようにして迎えるか、またどうしたいのかを考える機会を与えてくれたようでもあります。