11月10日、昭和の演劇人・森繁久弥さんがお亡くなりになりました。享年96歳。
森繁さんと同じ演劇人仲間の友人からは、大陸がえりの森繁さんのエピソードをよく伺ったものです。
時は昭和23年。戦後の混乱期で、満足に食べることにも事欠く時代だったが大陸がえりの森繁さん、芦田伸介さん達は野放図で楽天家ぞろいだったという。
芝居の稽古が終ると文無しのくせに、皆で中央線阿佐ヶ谷駅前の屋台に突進の毎日。 酔うほどにあの独特の節回し“森繁節”がどろんこの空き地に響き渡り、君の唄なかなかいいねと屋台のおじさんからも褒められる始末。
やがてその屋台に愉快な中国人がいるとの噂が立ち、文士の集まりだった阿佐ヶ谷会の井伏鱒二や上林暁らも聞きつけてやってくるようになった。
勿論これは森繁さんが片言の日本語をしゃべりまくる中国人を演じていたのだが、当時から話術の天分を発揮していらしたようだ。
屋台の森繁節に涙した友人は、今、老人ホームでマイペースの生活を送っています。 次回お会いする時、森繁さんの死をどう切り出そうか・・・・。