清楚な森の精霊ウィリーは日本の亡霊よりも怖い存在か・・・?

 最近立て続けにバレエの「ジゼル」を観てきました。
 「ジゼル」は「白鳥の湖」と並んで日本人好みのバレエだとも言われています。
 バレエの作品の中には森の場面がよく出てきて、その森には精霊のウィリーが住み、ウィリーの世界を構築しています。
 バレエの世界ではウィリー達がある意味物語の精神的な場面を受け持ち、華麗な舞台を引き締める役目もはたしているようです。
 このウィリーの存在がメンタルなものを求める日本人に好まれ、その典型が「ジゼル」とも言われています。
 しかし、「ジゼル」のウィリーは私達が思い浮かべる妖精のような可憐なイメージとは大分異なります。

 結婚を前にして恋人に捨てられ、婚約したまま死んだ踊り好きな娘達が復讐心から墓の中で安らかな眠りをとることができずに、深夜になると墓を抜け出し、森の中で群れて集まり踊り、森に来た若者を捕まえては死ぬまで踊らせるというウィリーでもあるのです。
 1人の若者は湖に突き落され、もう1人の若者は精根尽きるまで踊らされ、もはやこれまでと思った瞬間、夜明けがやってきてかろうじて助かります。
白いロマンチック・チュチュに身を包んだウィリー達が踊る様は清楚なファンタジー一色の世界を思わせますが、実は怖い世界でもあるのです。

 日本で言えば、さしずめ夏の夜にでる亡霊か。しかし、日本の亡霊はどろどろした怨念の世界を連想させるが、ウィリーはあくまでクールで意思的です。
 矢張り、乾燥した空気のヨーロッパとじめじめした日本では精霊達が住む世界も違ってくるのでしょうか・・・。