今日は、矢野総合研究所の「葬祭ビジネス市場に関する調査結果2010」の概要をふまえて、私見は今度改めて書くとしまして、葬儀の現状と展望を概観してみたいと思います。
矢野総合研究所の調査結果によれば、2009年の葬祭ビジネスの市場規模は前年比0.1%増の推計1兆7389億円となっています。高齢化にともなう死亡者数の増加を背景に件数ベースでは拡大基調にあるものの、1件あたりの葬儀規模の縮小などによる葬儀単価の下落により、金額ベースでは横ばいになっています。
同研究所によれば、現在の葬祭ビジネスの注目すべき動向として、「葬儀の個別化、多様化」「会葬規模の小規模化」「小型葬対応の会館の設置」「低価格葬の登場」を挙げています。
こうした流れの中で、たとえば、家族葬の増加に伴う会葬者の減少は、料理や粗供養品といった周辺商品の売り上げを押し下げる要因となる一方、少人数葬によって会葬者との関係性が強くなることで、料理や返礼品の質が重視され単価アップが図られる可能性もあると指摘しています。
同研究所の予測では、10年は前年比4.2%増の1兆8118億円と見ています。個別ニーズに対応した「高額個性型」と「低価格簡素型」という二極化の流れが進み、市場全体では微増傾向が続くと見ています。