ご葬儀は故人が親交を取り持ってくれる、出会いの日でもあります。
「50年前のパリ時代、今や君のトレードマークになっているボルサリーノのベレー帽が似合わないねと言った時の怒った顔が忘れられないよ」。
次から次へと話題が尽きない告別式は目の前にある柩を除けばまさに同窓会の趣でした。
ワイングラスを片手にした友の何十年ぶりかの再会を祝福するようなご葬儀に、こんなお別れの仕方もいいものだと胸が熱くなったことが思い出されます。
また、事前相談の最初の時点では御家族3名のみでのお見送りを希望されていた方が次第に周りを受け入れ、通夜の晩には大広間に貸布団を敷き詰め、遠方からの会葬者全員を集めて合宿所のような一晩を過ごされたご葬儀も印象的でした。
「父が皆をより一層仲良くさせてくれた時間に思えます。翌朝、バケツリレーのように次々とお布団の山が築かれたのは圧巻でした。
お参りしたい方の気持も酌んであげられ、一生の悔いを残さずにすみました」とほっとされたご様子に、思わず「よかったですね」と声を掛けてしまったほどでした。
故人様も一番会いたい方々のお顔を見届け、安心して旅立たれたことでしょう。
こんな感謝と笑顔でお見送りできるご葬儀が希望ですが・・・。