お食事ひとつで、ご葬儀全体の印象まで左右しかねません

 故人を偲び、かつてはご自宅でよっぴて行なわれた通夜ぶるまい(お清め)も、ご葬儀の場が斎場に移り、斎場の門限から逆算していつの間にか大方8時半から9時頃までにはお開きとされてしまっています。
 
 故人のお引き合わせのように通夜に駆けつけたが、久しぶりにお目にかかるご親戚・お友達同士いつまでもお話は尽きず、うっかりすると折角のご馳走も気が付いた頃には片付けが始まり、慌てて箸をつけることにもなりかねません。

 限られた時間の中でもご喪家のおもてなしの気持を酌んであげることも大切です。
 あるベテランの葬儀担当者は「十分召し上がっていただくことが故人の供養になりますから」と言い切り、ご焼香を済ませて帰りかける方々に声を掛けてあげるようにしているとのこと。
 言葉を受けて引き返され、ゆっくりされる方も多いようです。

 以前、お花の先生をされた方の通夜にはお弟子さんのオバサマ達が大勢馳せ参じ、お清めの席では在りし日の思い出話に花が咲き、どなたも席を立とうとされなかったようです。
 皆さんじっくり腰を落着け、人数に見合う以上召し上がられたので、慌てて追加注文されなんとか間に合わせたことをご主人から伺い、思わず感じ入ったこともありました。

 最近では故人様の遺言で「ご葬儀は質素に、しかし来ていただいたお客様には十分なおもてなしを」とお好みのお食事をご指定される方もいらっしゃいます。

 センターのアンケートでも「疲労困憊のところ通夜のお食事で気持が癒されて、無事葬儀・告別式を乗り切ることができました」とおっしゃる方、また一方で「気配りや丁寧な対応ぶり全て満点なのに、通夜のお食事がいまひとつでした」とおっしゃる方もいらっしゃいます。
 お食事ひとつで、ご葬儀全体の印象まで左右しかねません。
 ご喪家のおもてなしのお気持に如何に添えるか、これからも担当者共ども大いに検討の余地有りです。