「5年前の母の葬儀と同様に、無宗教葬で父の葬儀もお願いします。母の時は大好きな音楽とナレーションで綴ったご葬儀でしたが、父の場合はゆったりとした時間を思い出のお話を中心に進行していただければと思います」。
思わず事前相談かと錯覚を起こすほど電話口での口調は穏やかでした。
病院から搬送された御遺体はすでにご自宅にご安置されていらっしゃるとのこと。
早速にご葬儀の手配を整え、受話器を置くと同時位に新たなベルが鳴りました。
「49日に戒名を付けて納骨と言われたが戒名代ってこんなに掛かるのですか。戒名って何ですか。納骨式はこの何分の一以下で済むと思っていたのですが・・・」。
伺った戒名代はセンターの賛同社が手配する戒名付きのお布施代の倍以上。
確かに少し高いのでは・・・。
宗教には関心が無いが、数年前にセールス熱心な石屋さんに根負けして、千葉のお寺さんのお墓を購入。
このたび、お母様が遠方の老人ホームでお亡くなりになり、ご葬儀はそちらで済ませたが、いざ納骨という段になり、お寺からは戒名が必要と助言されたとのこと。
お寺のご近所の方に伺うと、このあたりはくだんの戒名代が相場とこともなげに言われたたが、すでにご葬儀での出費で予算が無いのでどうしたものかと。
昨今は地方から都会に移り住み、ご自宅には御仏壇も無く、葬儀で言われるまで、宗教について考えたこともない方が増えています。
更にはお近くに頼れる御親族も無く、お知り合いの壇信徒の方もいらっしゃらないケースも出てきています。
「お寺サイドはあくまでお志でとしかおっしゃらないでしょうが、この際実情を申し上げて交渉されては・・・。その結果をご相談しましょう」と申し上げましたが。
立て続けのお電話を受け、これから特にご自身のご葬儀を考えるにあたり、従来通りの右倣えではない宗教観を踏まえたご葬儀のあり方を、一考する時期に来ているのではと考えさせられました・・・。