縁について考える

毎日の生活の中で私達は「これも何かのご縁で・・・」とつぶやきながら、親交を暖めあっています。
 様々なご縁があって今、私達は生きています。

 そのご縁とは裏腹に1昨年は無縁社会、無縁死という言葉が社会現象にまでなってしまった感がありました。

 都会の狭間で頼る人もなく、ぽつんと一人で生きている人達の生活や、あげく誰にも看取られることなく亡くなられた方の死を取り上げ、またたく間に流行語のように言葉が1人歩きしてしまったようでした。

 かつての村落共同体のように村中が協力し合って田畑を守り、お互いの生活にまで踏み込んでいた時代とは異なり、都会での生活は各人それぞれの殻の中に入って、直接関係する人達とのコミュニケーションだけが濃厚になっていき、その中から弾き出された人は孤立無援の状態に陥ってしまい、周りとの繋がりも持てなくなってきている人が増えているようでした。

 今までは家族の縁や地縁は好むと好まざるとにかかわらず自然に手に入るものでしたが、これが当てにできなくなってしまった昨今では、今までと違った縁を自分の意思でもって積極的に捜し、作っていくことが重要になってくると思われます。

 ネットで繋がっていく縁、NPOや地域のサークル活動を通じた縁など、様々な縁を持ちましょう。

 東日本大震災から丸1年が過ぎました。
 昨年は無縁社会を払拭するかのように絆の声でいっぱいでした。
 しかし、その間にも無縁社会は着実に広がっていることを実感させられたことが度々でした。中でも家族の縁は切実でした。
今年は絆に加え、新しいご縁の輪が幾重にも繋がっていくことを期待します。