メイクアップ

「女は顔が命です」その昔、こんなCMをどこかで聞いたような。
真偽のほどは定かではありませんが・・・。

 それはさておき、女性には最期のご葬儀にまでもこの言葉があてはまるようです。
 時にはメイクひとつでご葬儀の良し悪しを決定付ける要因になる場合もあります。

 少し前になりますが、長患いをされお歳を召されたお母様の最期のメイクアップをご希望されたので、プロの方にお願いしたのですが、依頼者のイメージにはいまひとつしっくり来なかったようで、そのことが最後まで気になり、終始落ち着かなかったご様子をアンケートで頂いたことがありました。
 
 写真をもとに綺麗にメイクをほどこしても、各人が持つお母様のイメージは心の中でゆるぎなく、時にはイメージが一人歩きするような場合もあり、万人を納得させる難しさを知らされたご葬儀でもありました。

 先日、ご親族のみのご葬儀に立会いした折には、開式1時間以上も前から女性陣が三々五々柩の周りにお集まりになり、柩の窓から故人様とご対面されては、一様にほっとした表情で、お顔のお話をされていらっしゃいました。

 話しかけたら今にも目を開け微笑んでくれるのではと思わせるほどのお顔に、女性陣の気持ちも和らぎ、開式までのお時間は柩を囲んでの皆さんのおしゃべりが続き、お見送りにも一段と弾みがついたご様子でした。

 この方の場合もプロのメイクアーティストの手により、長い入院生活で髪のお手入れができなかったためにまずはカラーリングをされ、落ち込んだ頬をふっくらさせ、肌の色を整え、明るくメイクをされて、ご喪家からもお元気な頃のイメージが蘇り、そのままの状態でお送りできたと感謝のお言葉を頂きました。

 もちろんプロの方を頼まなくても、病院での処置の範囲で簡単なお化粧はできますし、また、葬儀社さんによってはご家族のご協力を得て、ご家族の方々とご一緒にマッサージをされたり、ファンデーションで変色した皮膚を元の色に復元するお化粧の参加指導型を推薦している社もお見受けします。

 遺影の写真はお元気な時のお気に入りの表情で皆様をお出迎えできますが、柩に収まった現実のお顔は状況により様々な落差があります。少しでも写真のお顔に近づき、写真以上のお顔に変身できれば幸いです。
 やはり、女性は最期まで顔が命でしょうか・・・。