家族葬で気をつけたいこと

 ここ数年、都市部では家族葬というご葬儀のかたちがかなり浸透し、私が対応させていただいたご相談でも、約8割の方が家族葬を望まれています。
 私がお聞きしたご相談では、家族葬を望む理由として、ご対象の方が高齢で、今ではお付き合いをしているひとがいない、ご友人たちもご高齢で会葬に来ていただくことが難しいのでというものが最も多く、次いで、ご会葬の方に気遣うことなく、家族・親族だけでゆっくりと見送りたいから、本人の希望、費用を抑えたいからなどということがあげられています。

 家族葬でのご葬儀は、近しい方、親しい方のみで執り行うため、温かみのあるご葬儀を希望されている方にはとても適したかたちだという反面、気をつけなくてはいけないこともあります。

 故人様が親しくお付き合いをしていた方以外にも、その場所に長くお住まいになっていた場合、また、ご家族が引き続きそこにお住まいになるような場合には、ご近隣の方への報告に迷われることがあると思います。
 最近では、家族葬という意味合いも浸透してきていることから、「近親者のみで執り行います(執り行いました)」などの報告で理解していただけることも多くなりましたが、ご葬儀後のまだ落ち着かれない時期に、弔問の対応に追われてしまうということにもなりかねません。
 ご近隣の方とのお付き合いについての気遣いが必要です。

 また、ご本人の希望でという場合には、「家族に大変な思いをしてほしくない」というご家族を思いやるお気持ちなども含まれているものだと思うのですが、そのことをご親族などにも納得をしていただく必要があります。

 費用面については、家族葬だから安くできると思われがちですが、場合によっては一般葬と同じくらいの費用がかかることもないことではありません。
 利用する式場や、おもてなし、また、選ぶ祭壇などによっても費用に差が出てきますが、利用する葬儀社によっても、同じ条件で費用が大きく違ってくることもありますので、可能であれば複数の葬儀社から見積をもらって比較してみることをお勧めします。
 
 故人様を想う気持ちに専念し、暖かいご葬儀を執り行っていただくためにも、家族葬をお考えの方は、周囲のことを少し見回してみてください。