ラストメイク

 先日いただいたご葬儀についてのアンケートの中で、ご相談者から担当した葬儀社さんへ大変お褒めの言葉を頂き、ご紹介した当方も安堵いたしましたが、1つだけ余談ですがと、お断りの言葉をはさみつつ、お亡くなりになられたお母様のお顔がいつものお母様と違うお顔になってしまって、戸惑ったことが記載されておりました。

 ラストメイクでプロのメイクさんにお願いし、綺麗なお母様になったが、どうやらいつものお母様とは違う感じになってしまわれたようです。
 メイクさんも生前のお母様の写真を見て、生き生きとより綺麗にとメイクアップされたのでしょうが、お子様達や身近な方にとって心に刻まれたお母様のイメージとは少し離れてしまわれたようです。

 簡単なラストメイクはご逝去された病院でも施されますが、今回のお母様の場合はご自宅でご逝去され、ご高齢でご葬儀までに5日ほどお待ちいただいたこともあり、お顔の色が沈んできましたので、プロの方にお願いされたようですが、メイクアップのし過ぎになってしまったのでしょうか。

 死化粧は普段の生活ではなかなかお目に触れる機会がありませんが、以前公開された映画「おくりびと」で納棺師の方が施したシーンが思い出されます。
 普段化粧品会社美容部員の方によって施されるビューティメイクではなく、その方らしさがいかに表現できているかが重要なポイントとなります。

 ご遺体は長期の入院やご病気で元気だった頃の容姿からは著しく変化されていることも多く、以前立会いでお伺いした折、時として、最後のお別れにお見えになられた友人の方々がその変わりようにショックを隠せないようなご様子を目の当たりにしたこともありました。

 お元気だった頃の容姿に近づけてお見送りできるのは、残されたご家族にとっても心の傷が癒されるのではないでしょうか。
 そのためにも、プロに任せるのではなく、葬儀社さん自身がご喪家の方々の力を借りて、御一緒にメイクを施す方もいらっしゃいます。

 当センターの賛同葬儀社さんの中にも実践されている方がいらっしゃいます。
 マッサージを何回も丁寧にやり、黒ずんだ部分を綺麗にするのをメイクさんに任せるのではなく、ご喪家の方々にも手伝っていただくとのこと。
 そうすることでご喪家の方々と同じ目線でお話ができると担当者はお話されました。

 ご葬儀はそこから始まるとも。