担当者の裁量

  昨年末のご相談でしたが、お父様の病状が思わしくなく、万が一に備え、そろそろ準備を考えなくてはいけないが、初めてのことで、どうしたらよいかとのお電話をいただきました。

 お問い合わせに対し、まずは地域内にある当センターの賛同葬儀社さんより概算のお見積りをお取りして、それをご検討いただき、お時間がございましたら、是非お見積りをお取りした社の担当者と直にお会いされるよう、ご提案いたしました。
 
 そこで、詳しい説明や具体的な祭壇写真を見せていただきながら、同時に担当者の人となりにもふれられますので、安心してご葬儀に臨まれることをご説明したところ、その方法でとのご承諾を得て、お見積りをお取りするための必要な事項をお伺いし、翌日センターの説明書と共に、ご相談者のご要望で、郵送にてお送りする手筈になりました。

 ところが翌日、丁度投函直前に、ご相談者からお父様が今朝方急変され、先程お亡くなりになられたとの緊急のご連絡が入り、緊迫した空気に包まれながらも、お見積りをお取りした2社のご説明をして、結果よりご要望に近いと思われる1社のご指名をいただきました。

 何分にも急なことゆえ、即対応可能か確認をした後、担当者の方からご相談者にご連絡をしていただき、早速に病院にお迎えに上がり、搬送、ご安置、本見積りの打ち合わせとなりましたが、見積りをお送りする直前のご逝去で、ご相談者はまだ見積りを見ていらっしゃらない状況でした。
 担当者は作成した見積りをもとに説明をし、それに対してどのようにされたいかをじっくりご希望をお伺いしながら一つひとつ、懇切丁寧に、2日間かけてご相談者がご納得のいく形でお話を進められたとのこと。

 事前のご相談にしても、突然の変更や様々なご事情からマニュアルがあってもマニュアル通りにいかないのがご葬儀です。
 いかに臨機応変な対応ができるか、誠意がどこまで伝わるか、担当者の裁量に掛かってくるようです。

 ご葬儀後に頂くアンケートでも、誠意ある対応ぶりを、数多くご報告いただいております。
 ご事情でご指定の金額以上は難しいとおっしゃっていた方は「突然のことで途方にくれていたが、家族以上に誠意を感じ、笑顔でご相談ができました。あの式以上のものは金額を積んでもできなかったと思います。悔いの残らないご葬儀ができ、父も大満足してくれていると思います」。

 また、お父様が撮った短編映画を上映された方からは、担当者が毎日ご自宅まで足を運び、何でも相談ができコミュニケーションがとれ「曹洞宗に則りつつも、同時に和やかに故人を偲ぶ場にしたいという、意を正確に酌んでくださいまして、当日は完璧と言ってよい位にイメージ通りの葬儀を執り行うことができました」等々、枚挙に暇がありません。