仏式、神式などと異なり無宗教葬での通夜・告別式は通常まずご喪家側から無宗教にしたいきさつをお話しし、会葬者にご理解を頂くことから始まります。
通夜・告別式とも内容的には似ていますが、告別式はどちらかといえばお身内の方が中心になりますので、より家庭的な雰囲気の濃いものになるようです。
故人が生前好きだった音楽を流したり、献花をしていただいたり、近親者が思い出を語るというやり方が多い中で、昨年大変印象的な無宗教葬に立ち会いました。
通夜の席、祭壇に手を合わせた後、100人以上の会葬者お1人ずつがマイクを片手に柩の故人に語りかけました。
長い沈黙のあとぼそっと一言話す方、出会いから現在の心境まで詳しく話す方、涙声で聞き取れない方、皆さんそれぞれ最後のお別れです。
故人と向き合ったお1人お1人の言葉はどんなに短くても、パーソナルな関係からその人となりが出て、次第に一つのドラマになり、式場全体に一体感が生まれて来るようでした。目を閉じて聞いていると故人の世界が広がり、面識が無いのにいつの間にかこちらまで、旧知の間柄のような錯覚さえ覚えてしまうほどでした。
ご遺族のお子様達も「私たちの知らなかった父の一面を知ることができました」と感激の面持ちで涙ぐんでいらっしゃいました。