故人は都内で長年、ジャズ喫茶をやっていらっしゃった方でした。
当方が立会いに伺ったのは告別式でした。前日の通夜の様子は葬儀社の担当者から聞きました。式場の臨海斎場は火葬場が併設され、都内5区で運営されている斎場です。音楽葬の為制約があり式場候補の中から消去法でこちらに決めたいきさつがありました。かなり利用頻度の高い式場なので待たされるのを心配しましたが、友引の日ですぐ予約がとれ、しかも隣の式場が空いていたので、多少の音も目をつぶることができたようです。
喪主の奥様は無宗教の音楽葬でという故人の意思を尊重し、昔からのジャズ仲間を中心にご兄弟、ご親族の方々に集まっていただきました。
担当者も色々工夫し、献花台を正面に置かず、わざと右側に置き、献花をしてから正面の柩の故人とゆっくり話をしてもらう方法をとりました。その左側には思い出コーナーを創り、ご対面後故人との思い出の写真や品物を見て頂くような流れを創ったようです。
感極まったジャズ仲間が飛び入りで持参のトランペットを吹き、皆の熱い思いは尽きないようでした。
一方のご親族は式の始まるまで無宗教葬に難色を示し、特に故人のお兄様は大反対でした。しかし、仲間の深い友情を目の当たりにして、ついに通夜の最後の挨拶では涙ながらに「こんな素晴らしい通夜は初めてだ」と感激していらっしゃったそうです。
翌日の告別式は御家族、ご親族のみの見送りになりました。ジャズが静かに流れる中、お身内同士のおしゃべりが弾んでいました。30分遅れの献花に始まり、柩を囲んで最後のご対面をしていただきましたが、式の間中しばしゆったりとした時間が流れているようでした。
火葬を待つ間、2階のお清め室ではお食事会となります。
奥様に向ってお兄様のご挨拶から始まりました。「これからもどうぞよろしくお願い致します」。