志し半ばの死

先日、夜遅く、海外に単身赴任中のご主人が、赴任先のご自宅で亡くなられ、身柄は現地警察の方にお預け状態で、現時点では帰国の目処が立っていないが、ご遺体を日本に搬送するには成田空港にお迎えに上がり、ご自宅まで搬送する葬儀社さんを決めなくてはいけないので、取り急ぎご相談をされたいとのお電話をいただきました。

 ご心配なご様子が電話口まで伝わり、咄嗟のこと故、お慰めの言葉も見つかりませんが、時間は待ってはくれません。
 ご会葬の方々は会社関係者が多いとのことで、ご葬儀の場所を都内の会社近くにされるか、郊外のご自宅近くでされるか、又どのような形でのご葬儀を御希望なのかをお伺いし、お分かりになる範囲でご葬儀の内容等もお尋ねして、ご要望に合うと思われますセンターの賛同社を複数ご紹介し、担当者から直接ご連絡を差し上げる旨申し上げたところ、これから会社の関係者との打ち合わせに入りますので、○○時以降によろしくお願いしますとの気丈なお言葉をいただき、お気持も少し整理できたご様子が伺われ、ホッとさせられました。

 多くの企業戦士の先輩、友人に見守られ、静かに旅立たれたご様子ですが、志半ばのまだこれからという方が道を絶たれる無念さも伝わってくるようなご葬儀でした。

 時を同じくして、実家から梅の実をお送りし、友人から頂いたそのご報告の電話には、こちらも思わず絶句してしまいました。

 「実は梅の実を送って頂いた日が、主人の葬儀の日だったの。あまりに急なこと故 、家族・親族だけで見送ったので、ご連絡が遅くなってごめんなさい」

 数ヶ月前にお会いした時には、ご夫妻とも元気はつらつで、仕事をバリバリこなしているご様子に、あちこち身体の痛みを訴えている身としては、うらやましい限りと思っていた矢先のことゆえ、咄嗟に返す言葉も見つかりません。
  
 「これから一段落すると一気に疲れが出るから、何時でも構わないからお電話くださいね・・・」
 慰めの言葉になっていませんが、「友人として支えになってあげなくては」との気持ちだけが、先走ってしまいます。

 寿命が延びたと言われ、女性は世界一、男性も世界有数の長寿国日本とまで言われていますが、突然道を絶ち切られる企業戦士のお気持ちは如何ばかりでしょうか。

 ご冥福をお祈り申し上げるのみです。