手元供養を知っていますか?

 ご遺骨をどうするかについて、お墓以外の選択肢として、最近注目を集めているのが、手元供養です。手元供養は、遺骨を納めたり加工したりして身近において置けるものです。

「手元供養品は、最愛の方の遺骨を身近に置くことで、心のよりどころとなり、手を合わせ、或いは握りしめ、故人を偲び、語りかけられる自由なかたちの自宅での供養対象です。」というのは、NPO手元供養協会の解説です。

 具体的な商品群としては、大きく分けて、遺骨をペンダントやオブジェの一部分に納骨するタイプと、遺骨そのものを加工してダイヤモンドやプレートに成型して、ペンダントやオブジェにしたものがあります。こうした商品が出だしてきたのも、それほど遠い昔ではなく、手元供養品のパイオニア的存在と言われる「エターナルプレート」が販売されだしたのが、1999年です。NPO手元供養協会ができたのは、2005年のことです。

 時代背景としては、お墓が田舎にあり遠かったり、家に仏壇がなかったり、経済的事情でお墓が立てられなかったり、散骨してしまうなどの状況があるからでしょう。

 もっとも、手元供養という言葉ができたのは最近ですが、骨壷などを身近に置いておく人は、昔からいましたので、手元供養のようなことは行われていました。
永六輔さんの「二度目の大往生」と「終―大往生その後」という本の中には、作家の住井すゑさんは、ご主人の墓をつくらず、骨壷をいつも抱けるところにおいているという話がでています。

 ちなみに、遺骨はお墓に入れなくてはならないという法律はないので、身近に置くことは何ら問題ありません(ただ、家族以外の他人の遺骨を預かることができるのは、都道府県知事の許可がある施設に限られています)。

 「お墓に入りたくない人、入れない人のために」(徳留佳之・著、はまの出版、1500円)という本の中で紹介していますが、現状、手元供養品を買い求める人は、子供を亡くした親がつくるケースが多いようです。

 手元供養品だけで、完結させてしまうというよりも、お墓や散骨と組み合わせるという形になることのほうが多いかもしれません。