大好きなお酒が飲めなかったお父さんへ末期のお酒をどうぞ・・・

 病院で厳禁される代表格である酒は長患いの方にとっての希望の星でもあります。皆さん、再び飲める日を夢見ながら病魔と闘い続けていらっしゃいます。
 
 先日、立会いでお伺いした方もお酒が何よりお好きな方でした。
 不幸にして闘い敗れたお父さんに最後のお酒を心ゆくまで飲ませてあげたいとご家族ご親族の手で、末期のお水の代わりにお酒を口に含ませてあげました。
 下町の職人さんのご一家は絆が固く、特に故人に対して尊敬の念が強い昔ながらのご家庭でした。
 「ご家族ご親族のみの葬儀を希望されていましたので出来るだけお別れの時間をゆっくりしてさしあげることを念頭に置きました」と葬儀社の担当者は語っていました。
 病院からご自宅に戻られたご遺体は安置された後、納棺での旅支度を1時間半くらい掛けてゆっくりと行いました。
 旅支度に先駆けてまずはお孫さんを中心に20数名の出席者がめいめい故人に話しかけながら大好きだったお酒を口元に含ませました。
 亡くなられてご葬儀までの3日間はご親戚の方も次々にいらっしゃってゆっくりお別れする大切な時間だったようです。
 
 同じ頃、40代という若さでお亡くなりになった方は突然倒れられてから、ずっと飲まず食わずの状態のままでした。
 最後のお別れの儀ではお花を棺に入れる前にグラスに注いだお酒を家族ご親族50名ほどの皆様めいめいにより、お顔の周りや胸元に盛大に注ぎ、ご冥福をお祈りしました。

 
 天国の皆さん、最後のお酒はどんなお味でしたか?・・・