死因究明制度の現実

 日本の死因究明制度が先進国最低レベルであることが、「焼かれる前に語れ~司法解剖医が聴いた哀しき遺体の声」(岩瀬博太郎・柳原三佳/著 WAVE出版)という本を読んでよくわかった。

 時津風部屋の力士急死や、福岡市の米国男性急死でも外傷による死亡が警察の検視では病死とされていた問題が、どうして起こってくるのか?

 これらの問題は、たまたま運悪く起こったことではなく、日本の死因の究明制度そのものの欠陥により、起こるべくして起こる問題であるようだ。
 その欠陥とは、検死体制や責任の所在、施設、人員、予算、法整備である。

 昨年、警察が取り扱った異状死体は15万4579体で、このうち90%にあたる13万9854体が解剖せずに、視診や触診などの外表検査による検視・検案で死因が特定されている。

 都道府県により、異状死体のうちどれくらい解剖されるのかの解剖率が違うのにも驚いた。監察医制度のある神奈川県(31.2%)や兵庫県(19.3%)、大阪府(17.4%)、東京都(16.4%)が高いのに対し、解剖率が低いところでは、埼玉県(1.5%)、鹿児島県(1.8%)、愛媛県(2.2%)、千葉県(2.3%)と差がある。どこで亡くなるかによって死因の判断が変わってしまうことだってあるかもしれない。