先日、ロシアを始めヨーロッパのバレエ団からの編成による新潟県中越沖地震チャリティーバレエガラコンサートで「瀕死の白鳥」というバレエを観ました。
どちらかといえば長時間でアクロバティックな作品が多い中、この「瀕死の白鳥」はたった数分間ですが、傷ついた白鳥がもがき苦しみながらも最後の力を振り絞って懸命に生きようとする姿を描き、最後に静寂な死を迎える作品です。
1羽の白鳥が刻一刻と迫りくる死に対して何度も何度も立ち向かっていく様は壮絶でもあり、生きることの意味を問うているようにも見受けられます。
また、観るものに生きる勇気を与えてくれるようでもあります。
バレリーナの手はいつしか羽ばたく羽になり、一羽の白鳥になり、飛び立とうと何度も何度も一生懸命試みられ、倒れながらも次第に立てるようになります。
そして、さらに高く翼の手をあげるが、ついに力尽き、静寂な時を迎えることになります。
その数日前、生後間もない赤ちゃんの葬儀のご依頼がありました。赤ちゃんは誕生前からの難病との闘いで、短い命を懸命に生きられたとのことです。舞台上の白鳥と二重写しになり、胸にズシリと響いてきました。