映画「おくりびと」を観て思ったこと、その2・納棺師の仕事とは・・・。

 「新しい浴衣とパンツをご用意しておいてください」万が一の時、前もって病院の看護師さんから指示があります。最近はパジャマが多いとのことですが、着物の方が袖の下に空きがあり断然着せやすいようです。お疲れの看護師さんたちのためにも洗濯済みの浴衣でよろしいですからご用意しておきましょう。
 着替え、簡単なメイクは病院側でもほどこされるため、通常の場合あえて納棺師のご登場ということは少ないようです。
 また、長患いの方、諸般の事情でご家庭のお風呂に入れなかった方には「湯灌の儀」で身体を洗い清めてそのまま、髭剃り、メイク、旅支度への着替え等、全て湯灌の業者側ですませることができます。
 ですので、納棺師の役割はむしろご遺体が安らかな状態ではない場合に一番発揮されるのではないでしょうか。映画「おくりびと」では流れるような所作に目を奪われがちですが、主人公が最初に出会った死後2週間たった孤独死の老人の納棺。このような出来事に向かい合える真摯な気持ちがご喪家の心を揺さぶるのではないでしょうか。
ご喪家のお気持ちを汲み取り、修復していく作業はいかばかりのものなのだろうか。
 
 通常、一連のご葬儀の流れの中で納棺の儀は病院から搬送後ご家族立会いのもと、葬儀社の担当者が取り扱うことが多いようです。担当者はできるだけご家族皆さんの手を煩わせながら、お見送りをするように心がけているようです。
 但し、生前のご病気如何によっては体液から感染することもあるので処置を素早くするか、何もしないかの判断が求められることもあると聞きました。
 ご遺体をやたらに動かしてはいけない場合もあるようです。

 葬儀社の担当者の中には一つひとつが余り分業になりすぎるのはと疑問視される向きもいらっしゃいました。