家族だけでなく、お別れしたい人の気持ちもくんであげることが大切では・・・。

 ご家族だけで静かに見送りたい。特に都会のご高齢者の場合はそれが顕著のようです。
 ご本人の意思にご家族も同意され、ひっそりとお見送りする。
 これも一つの方法です。
 しかし、ご葬儀が終った後、日が経つにつれ、残された者は果たしてこれでよかったのかどうかと揺れ動くのも事実です。
 やり直しがきかない以上、自分に納得させる以外に方法はないようです。
 
 覚悟を決めなければいけない時期に差し掛かり、見舞いながらご葬儀の準備をする二律背反の行動に悩みながらも、前もって知っておくことが、ひいてはお父様をきちんとお送りすることができると納得された方からお便りを頂きました。

 お父様からはご家族だけでと申し渡されていましたが、最後の決断は親しかった方皆様にお出でいただくことになりました。
 見積りの段階でも揺れ動くお気持ちを隠さずお話され、納得のいく形を模索し結論をとお考えのようでしたが、死はある日唐突にやってきます。
 色々な思いが一気に吹き飛んでしまいます。それでも、思考錯誤されてきたことが土台となっています。
 その一つが、当センターのホームページに書かれていた「おまいりしたい人の気持ちをくんであげるのも・・・」の言葉だったそうです。
 お父様はお母様のことをご心配され、ご家族でということを強調されていらしたが、
長年のお友達、親しかったご親戚の方々、皆様それぞれの思いがあります。ひょっとしてご家族以上のものがあるかもしれません。お別れしたい人の思いを、ご家族という名のもとで断ち切っていいものか。悩み、そして英断されました。皆様に来ていただくことに。

 今回「残された家族がどれだけ気持ちに余力を持っていられるか否か」で参りたい人の気持ちを受け止められるかが決まると実感されたそうです。
お便りを読みながら、思わず「よかった」と我がことのように安堵いたしました。