密葬に対する誤解

葬儀関係者が参考にする本の一つが「葬儀概論」という本ですが、その著者である碑文谷創氏が密葬に対してさまざまな誤解があるとして、次のように指摘しています。

1密葬には宗教儀礼がない
 密葬することと、宗教儀礼を行うこととは何ら矛盾するものではない。事実、多くの密葬に僧侶などが招かれての宗教儀礼が営まれている。また、密葬では社会的なケアが期待されない分、宗教者によるケアが期待されるところが大きいように思う。

2密葬は家族だけで営む
 密葬は家族以外を含めてはならない、とは誰も決めたはずはないのに、家族だけで営む葬儀が密葬との思い込みが拡がっている。「内々に」とは「本人との関係の深い者だけで」と理解するのがいいように思う。家族外であっても本人と深い関係にあった人は招くのでないと葬儀そのものがおかしくなってしまうように思う。遠い、つきあいのない親戚が入り、親しい友人が排除される密葬はどこかおかしい。

セットやプランだけでは葬儀はできません

 4つの項目(葬儀一式、飲食、お布施、香典返し)で葬儀の総予算になるということを以前書きましたが、葬儀一式で葬儀ができないのと同じように、 セットやプランだけでも葬儀はできません。

 ほとんどのセットやプランは、葬儀一式のなかの一部分にしか過ぎません。それゆえ、セットの中に何が含まれているのかよく確認することが大事です。各社によって違います。

 もともと、葬儀料金をわかりやすくするために、セット料金制やプラン制がよく用いられるようになってきたのですが、これも悪用するところが後をたちません。実際に、各社のホームページやチラシを見ると、セットを前面に出して、それだけで葬儀ができるのかと錯覚してしまうような表現が目立ちます。よく見ると、欄外に小さい文字で、「式場費、返礼品、飲食費、お布施は含まない」などと書いてあるのがわかると思います。

社葬の最近の傾向としてお別れ会と合同葬が増加傾向にあります。

 最近の傾向として、社葬は従来型の社葬が減り、「合同葬」方式と「お別れ会」方式が増えているようです。

 葬儀業界の人が読む本なのですが、「法人葬(中小企業・団体)受注開拓法と施行トレンド写真集」(総合ユニコム、2000年6月発刊)というものがあります。この本によりますと、これまでのような形態の社葬件数は減少しており、東京・青山葬儀所での施行推移から推測される動向などを踏まえて、バブル期から3~5割減少していると指摘しています。

 その理由として、景気低迷の影響やホテルにおけるお別れ会や偲ぶ会の影響をあげています。また、社葬にかける費用と規模も縮小傾向にあることにも言及しています。

 ちなみに、合同葬とは遺族と会社が合同で行う葬儀で、死亡後それほど時を経ずに行われます。一方、お別れ会は、死亡後の密葬の後、1~2ヵ月後に行われます。

葬儀のトラブル

 「父の葬儀で依頼した覚えのないサービスや商品を付けられ高額の請求をされた。病院から自宅までの搬送を頼んだのに、勝手に葬儀の準備に入ってしまった。一番安いランクでよいと伝えたのに次々付属品がついて高額になった。会葬者へのお礼書も100枚と伝えたが、足りないと失礼になると言われて300枚も作ってしまった。斎場職員への心付けを5千円の3人分と強要されて渡した。」(30歳代、男性、給与生活者)

 この例は、国民生活センターが2006年6月に公表した「増加する葬儀サービスのトラブル」という資料の中に出てきます。
 消費者保護の環境整備が不十分な葬儀サービスについて、主な相談事例をまとめ、消費者被害の未然・拡大防止に資するために情報提供されたものです。

 これらは、国民生活センターおよび全国の消費生活センターに寄せられた相談を踏まえたもので、虚偽説明を受けて契約させられてしまった事例や、無断でサービスを追加されてしまった事例、根拠の不明な請求をされてしまった事例、契約時の説明と違うサービスを受けたといった葬儀トラブルの事例などが取り上げられています。

 当センターは、葬儀トラブルの事例を積極的に集めているわけではないのですが、それでも、「以前、葬儀をしたときにひどい目にあったので、今回は、事前に準備をしておこうと思った」という相談者などから、そのひどさぶりを伝え聞くことがあります。  
 国民生活センターが公表した事例とも、おおいに一致するところがあります。

葬儀トラブル事例

 ↑↑↑ あさがお葬儀社紹介センター本体のホームページでは、虚偽説明を受けて契約させられてしまった事例や、無断でサービスを追加されてしまった事例、根拠の不明な請求をされてしまった事例、契約時の説明と違うサービスを受けたといった葬儀トラブルの事例を掲載しています。

無宗教での葬儀

 事前相談で初め無宗教葬希望とお伺いしていても実際のご葬儀の段になると読経をお願いされる方もいらっしゃいます。
 ご希望としてはお持ちだけれどもお話をお伺いしていくうちにご相談者のお気持が少しずつ整理されてきて、再度ご家族との話し合いの結果とのことでした。

 無宗教でのご葬儀の場合、故人の意思や喪主を始めとするご喪家側の「どんなご葬儀をなさりたいか」のコンセプトがはっきりしていないと、時間だけが過ぎてしまう締まりのない式になりかねません。
 特にご会葬にお見えになられた方々が戸惑われないような配慮が大事になります。
 先ずは通夜・告別式とも喪主の方が無宗教にするいきさつをきちんと説明されることが必要です。

 無宗教でのご葬儀の流れとしては一般的に黙祷の後、喪主のご挨拶に続き故人がお好きだった音楽を流し、家人・友人から思い出話をお伺いしたり、故人との交わりの深かったお子様・お孫さんからの手紙の朗読、楽器の演奏等がおこなわれ、献花で最後のお別れをされるような例が一般的に多く見受けられます。

 また、シャンパン・ワインを飲みながらのパーティ形式や趣味のジャズをお仲間が演奏される中ご葬儀が執り行われるような独創的なケースもあります。

 いずれの場合でも式の流れはご喪家が前面に出て、葬儀社がバックアップするような形をとることが多くなりますので、無宗教葬に慣れている葬儀社を選ぶことが大事なポイントになります。
 担当者との意思の疎通も式の出来不出来を大きく左右しますので。

 ●無宗教の葬儀
  ↑↑↑  当センターのホームページでは無宗教の葬儀についての注意点、心得等を詳しく説明しています。

家族葬は特別な形式で葬儀をするのではありません

 家族葬に関する相談や要望する人が増えています。

 家族葬と言うと、何か特別な形式で葬儀をするのではないかと考えている人も中にはいるのですが、実際には、家族葬は、多くの会葬者への対応など慌しさをできるだけ避けて身内でゆっくりとお別れする、こうした意味合いですので、仏式であれば僧侶、キリスト教であれば牧師あるいは神父、神式あれば神職にお願いして葬儀をします。

 家族葬の葬儀施行の宗教形式の割合で見ますと、一般葬と変わることなく、仏式で行われることが多いようです。

斎場の選択は、重要事項の優先順位のつけ方によって変わります

 斎場をどのように決めていくのかと言いますと、葬儀をしたい、もしくは考えてもいい大体の場所に、どういった斎場があるか、種類と詳しい場所をまず把握します。この斎場の場所は、よい葬儀にするための5つの重要事項(1場所、2規模、3予算、4内容、5日程)の中の場所に相当します。そして、5つの優先順位の整理し、優先順位をつけることによって、斎場を選択していくことになります。

たとえば以下のようにです。

●交通の便がよいという条件にあう場所を最優先したい場合と予算を最優先させたい場合とでは、最適な斎場は違うということも起こってきます。

●場所は少し遠くても予算を抑えたいという場合は公営の斎場を利用することが第一に考えられます。

●日程が最優先であれば、斎場の空き状況をみて空いているところに決めるしかありません。そうなると、混み合うことの多い公営斎場は利用しない選択肢も出てきます。

●大規模な社葬であれば、利用できる斎場は限られてきてしまいます。

●家族葬や密葬であれば、広い斎場を借りる必要はありませんし、会葬者の交通の便もあまり考慮しなくてもいいでしょう。

●斎場に利用条件があれば、いくら利用したくても利用できない場合があります。

●葬儀の内容を音楽葬にしたい場合、音楽を流してよい斎場でないとできません。

葬儀社選びのチェックポイントについて

 財団法人・日本消費者協会が出している小冊子「月刊消費者」の特集号で「エンディングプラン 葬儀費用編」というものがありますが、その中で、信頼できる葬儀業者選びのチェックポイントとして、以下の3つのことがあげられています。

 1、電話などで問合せたときの対応が親身であること。
 2、見積書や資料、パンフレットなどをすぐ提供してくれ、わかりやすい説明をしてくれること。
 3、担当者が最後まできちんと担当してくれるかどうか。

 たしかに、これはこの通りだと思います。ただ、これで判断できるためには、ある程度の量と質において葬儀に関する知識を持っていて、なおかつ、かなりの葬儀社を回って自分の眼で確かめていかなければなりません。そもそも、よい葬儀社と深く付き合ったことがない人が、つけやきばで、葬儀社の良い悪いを判断できるようになれるかは、はなはな疑問です。

 ほかにも、さまざまなホームページで、よい葬儀社の選び方や事前準備の重要性が説明してあって、いかにも簡単そうに書いてありますが、「で、現実的に私はどう選んで準備をしていけばいいのか?」ということになると戸惑ってしまうのが実際でしょう。

 もっとも、説明してあることに大体のものは間違いはないのですが、それを本当に実行しようとすれば、それなりの時間と労力といろいろな意味での覚悟が必要です。要するに、簡単ではないということです。

無宗教葬の要望者の増加について

 2005年8月に行われた読売新聞の「宗教」世論調査によりますと、「自分の葬式は無宗教にして欲しい」と望む人は40%に達し、中でも大都市では実に50%を占めています。

 1998年に行われた同調査で「葬式が形式化してあまり意味がないので、宗教にかかわりなく行うほうがよい」という人が12%だけだったので、いかに、ここ数年の変化が激しいかおわかりいただけると思います。

 現実的には、この意識に直結して無宗教葬が多いのかといいますと、そうではありません。依然、仏式の葬儀が8~9割ほどを占めるのではありすが、無宗教葬が徐々にではありますが、増加傾向にあることだけは間違いないということです。

 この読売新聞の調査を受けて、宗教学者の石井研士・国学院大教授は、無宗教葬の希望者が多い背景として、①「家」制度の崩壊による祖先崇拝の希薄化、②戦後生まれの高齢者の宗教離れ、③宗教団体への批判の高まり、の三つを指摘しています。

町屋斎場での葬儀

 町屋斎場での通夜に伺いました。ご喪家の要望はお父様の時の葬儀は大々的にやりましたが、今回のお母様の葬儀は質素にしたいとのことでした。最初のご相談の時は親族だけでご近所にも知らせないということでしたが、後々のことを考慮して町内の方で会葬されたい方はどうぞとなりました。

 

「マイクロバスもお話ししましたが、きていただける方だけなので必要なしということになり、一般会葬者も10名前後と予想しましたが、通夜だけで50名程になってしまいました」と葬儀社の担当者は振り返ります。葬儀社サイドは返礼品を多めに用意しておき、通夜の料理もお寿司2台追加で間に合いましたので、混乱もなく無事終えることができました。

 花祭壇は写真見本の中から、ラインが波型に綺麗に出ているのがお望みで、女性らしい柔らかな色使いに満足の様子でした。「お母様が明るい方なので明るく送ってほしいとのことで写真も銀縁にして、焼香台の上の写真もパール色の縁で明るい感じに心がけました」と話す、担当者は思い出コーナーも提案しましたが、沢山あり過ぎピックアップするのが困難なのでやめて、代わりに介護ホームでのお母様の写真を5~6カット大きく伸ばして脇の台に飾りました。

 式場のイス席は定員が40名ですが、親族だけで45名程になり、後からいらっしゃった親族で座れない方が出てしまいました。

 通夜終了後、通夜しか来られない方達がお一人ずつ棺の故人と最後のお別れをしていました。名残は尽きず、棺や飾られた写真の周りの人垣はなかなか動こうとしませんでした。
 
 ※町屋斎場の斎場案内は、町屋斎場のページになります。