斎場と火葬場の関係について

 斎場とは、通夜や葬儀・告別式を行う場所のことです。火葬場は字のごとく火葬をする場所です。

 これも一致する場合と一致しない場合があります。一致する場合とは、多くの公営の施設の場合がそうで、斎場と火葬場が併設されているところです。つまり、同一施設の中で式と火葬もできるということです。

 それゆえ、斎場と火葬場との間の移動の必要がなく便利な面があります。公営の火葬場・斎場施設は一行政区に一つ(まれに複数)ある場合と、複数行政区で連携して一つ持っている場合があります。

 ただ、東京は少し事情が違います。東京23区内と周辺においては都営の瑞江火葬場は斎場が併設されていませんし、臨海斎場は併設ですが5区共同運営です(港区、品川区、目黒区、大田区、世田谷区)。これらを除く23区内と周辺の火葬場は民営になります。これら民営火葬場には斎場も併設されています。(町屋斎場、落合斎場、代々幡斎場、桐ケ谷斎場、四ツ木斎場、堀ノ内斎場、戸田葬祭場、日華多摩斎場、谷塚葬祭場)

イベントとしての葬儀について

 「葬儀」のカテゴリーで前回取り上げたアンケートの回答のほとんどは、葬儀のイベント化に対する批判とも言えます。葬儀をすべて葬儀社に任せた結果がイベントになってしまうと言い換えてもいいでしょう。そして、葬儀が日常生活とはかけ離れた斎場で行われることが多くなることにより、非日常としてのイベント化をよりいっそう推進しています。

 依頼する側としても、日常の延長線上にないイベントのため、そういうものだと無批判に思い込んでしまったり、一般的な相場感覚を持ちにくいことや、冷静な判断を行いにくい精神状態のもとで契約しなければならないという状況があるとともに、世間並みに恥ずかしくないものにしたいという見栄がからんでくる場合さえあります。こうして葬儀社主導のイベントが強力に形作られていきます。

 ただ、ここでいくら それを強調しても意味はありません。では、どうすればいいのかということです。自分にひきつけてとらえれば、こう言い換えてもいいでしょう。よっぽど気をつけていないと、イベント化の流れに知らず知らずうちにのってしまうということです。つまり、このことを意識しているだけでも、たとえば見積書をみる眼も、葬儀社の担当者の話を聞く姿勢も大分違ってきます。

 ただし、あわてて付け加えて言わなければならないことは、イベントは悪い意味ばかりではないということです。アンケートにおいて「形式的」とか「不必要」と批判されていることでも、それは現代人の合理的とする見方からのことであって、歴史を経て伝わってきていることには、それ相応の意味があると考えたほうがよいということです。同じことをやっても形式的と捉えるかどうかは意味を理解しているかどうかの違いも大きいのです。とすれば、こうした、意味とか価値とかの話をしてくれる葬儀担当者の話は聞くに値すると思います。

社葬

 社葬は会社主導で執り行われるご葬儀であるところが通常のご葬儀との大きな違いになります。

 会社に貢献された方(創業者、会長、社長以下役員の方等)、又は公務中の事故等で社内に複数の犠牲者が出た場合のご葬儀をご喪家の意向をふまえて会社が執り行います。
 この場合の費用は会社負担(故人の業績等により割合は異なる)になりますので、早急に取締役会議で決定し、葬儀委員長のもと色々な取り決めをして、議事録に残すことが必要になります。

 ご葬儀は通常ご逝去された後、ごく内輪の方々のみの密葬で執り行われ、その後、約1ヵ月後位をめどに、故人の業績をたたえる社葬が営まれます。

 社葬のもう1つの方法として、ご逝去後日にちを置かず一般葬と同じようなお見送り方でご喪家と折半の形をとり、合同葬として執り行われることもあります。
 合同葬はどちらを主にするか否かで趣がガラリと変わってきますので、ご喪家と会社のバランスを取ることが非常に重要になり、ご葬儀全体を左右しかねないほどで、葬儀社の担当者の采配振りが大きく問われます。

 社葬はご葬儀の規模も大きくなり、会葬者も多くなりますので、葬儀社も社葬のノウハウを持ち、実績のある社を選ぶことが重要になってきます。

 いずれにしても社葬の意味合いは故人の業績を称えた上で会社の引き継ぎを行い、対外的には会社の今後をお見えになった方々にアピールする重要な役割があります。

 ●社葬
  ↑↑↑ 当センターのホームページでは社葬についての心得や費用分担・経費処理、傾向等を詳しく解説しております。
また、費用例については社葬から社葬費用例1・築地本願寺と社葬費用例2護国寺をごらんください。
具体的斎場例についても社葬から護国寺桂昌殿 築地本願寺第二伝道会館、寛永寺輪王殿をごらんください。

病院指定の葬儀社を利用するかどうか

 東京都が平成13年に調べたアンケート調査によれば、お亡くなりになる人の場所は82%が病院です。また、家族の葬儀のための事前準備をしていない人が64%に達しています。これをあわせて考えるとどうなるでしょうか。これは、現実的に病院指定の葬儀社を利用するかどうかが葬儀社の選択を考える大きなウエイトを占めるということです。そのときになって、あわただしく自らが探すか、親戚や知人などから葬儀社を紹介されないと、病院の葬儀社に依頼せざるを得ないようになる、と言ってもいいでしょう。

 実は、病院指定の葬儀社というのは、搬送契約を結んでいる葬儀社のことです。搬送というのは病院から自宅などへ遺体を運ぶことです。遺体を長く病院におくわけにはいかない(おきたくない)病院と、仕事を取りたい葬儀社の利害が一致して、病院から自宅などへの搬送契約を結んでいます。

 ところが、病院指定の葬儀社はどこでもなれるわけではないのです。いろいろ条件があるわけです。例えば、早く病院から連れ出して欲しいわけですので、病院近くに営業所があり、○○分以内に二人で迎えにこられることなど、いろいろな条件があるわけです。

 葬儀社側にすれば、営業所が近くになければ場所を確保しなければなりませんし、人も待機させておかないといけないわけですから当然コストもかかることになります。
 
 公立の病院などは、条件を満たした業者の中から抽選をしたりしていますが、私立の病院は、諸条件に加え何らかの理由でもって葬儀社が決まります。「指定業者の中には、病院に対し年間1000万円超、かつ、1遺体あたり数万円の金銭を提供しているものがあった」と公正取引委員会が「葬儀サービスの取引実態に関する調査報告書」(2005年7月)の中で指摘していますが、そうしたことがあることは否定できません。

 いずれにしろ、病院指定の葬儀社になるためにはコストがかかるわけです。こうしたコスト構造が背景にあるため、搬送契約でありながら、強引に葬儀まで結び付けようとする営業になっているのです。
 
 これに対し、公正取引委員会の前掲の報告書の中で、「遺体搬送サービスと併せて、その後の葬儀サービスについても、当該遺体を霊安室に引き留め、説得するなどして、自己との取引を強制的に促すといった事例がみられた。こうした行為は消費者の自主的なサービス選択の自由を侵害し、不公正な取引方法(抱き合わせ販売等)として独占禁止法上問題となる恐れもあることから、事業者はこうした行為を行わないようにすべきである」と注意しています。要するに、搬送する立場を利用して強引に葬儀の営業をするな、ということです。

 もちろん、病院指定の葬儀社が悪い業者と言ってるのではありません。こうした構造を知った上で、できれば、違う葬儀社と比べた上で、病院指定の葬儀社にするというのならば何の問題もないということです。

 葬儀に関する情報がオープンになってきて、事前準備する人も徐々に多くなってきておりますので、病院指定の葬儀社に依頼する傾向は減少してきているようです。葬儀社もかつてのように何が何でも病院の指定になる、ということではなくて、直接、消費者に支持されるような活動や情報公開をしている葬儀社も増えてきております。消費者からすると非常にいい傾向です。

斎場と葬儀社の関係は大きくわけて二つあります。

 斎場と葬儀社の関係がごちゃごちゃになっている方も多く、一緒のものだと勘違いしている人も中にはいます。

 葬儀社と斎場は一致する場合とそうでない場合があります。一致する場合とは、葬儀社が所有している斎場を利用する場合で、一般的にその斎場はその葬儀社しか使えません。つまり、葬儀社所有の斎場を利用したい場合、葬儀社選びと斎場選びは同じになります。

 一致しない場合というは、公営斎場や民間の貸斎場を利用する場合で、その斎場は基本的に場所だけ提供するので、そこで葬儀をするには葬儀社が必要になるわけです。つまり、こうした斎場を利用するには、そこに精通した葬儀社に依頼することが安心につながります。

 ちなみに、斎場を所有していない葬儀社のほうが、所有している葬儀社よりも数の上ではるかに多いです。また、自社で斎場を所有していている葬儀社でも、公営斎場や民間の貸斎場を頻繁に利用しています。

葬儀費用を抑える方法にはどのようなものがあるのか。

 葬儀費用のカテゴリーの中で、前回、会葬者が増えれば葬儀費用がが上がらざるを得ないということを書きました。

 そうなると逆に、たとえば、葬儀予算を抑えたいと考える場合、もっとも簡単な方法は会葬者数を絞るということになります。火葬儀や密葬、家族葬というようにです。葬儀費用の面で見ますと、火葬儀や密葬、家族葬は人が少ないので、一般の葬儀よりも費用はかかりません。

 その次に考えることは、各品目の単価を下げるということです。たとえば、飲食一人当たりの単価を下げるとか。そして、最後に不要な品目を外すということです。

 ただし、葬儀は予算のことだけを考慮すればいいということではもちろんありません。葬儀は一回しかできない、取り返しがつかないことですし、様々な関係がありますから慎重に総合的に考えるのがよいと思います。

社葬費用の分担について

 社葬は、会社が主催して行う葬儀です。会社が費用を負担し、運営の責任を持ちます。

 もう少し正確に言うと、社葬の費用の中で、会社が負担する割合はケースによって異なります。例えば、社長・会長が亡くなった場合、副社長・専務・常務が亡くなった場合、取締役が亡くなった場合などでは、会社が負担する費用の割合が異なる事が多いようです。

 社葬にかかった費用を経費として計上するためには、取締役会議での社葬に関する議事録と領収書が必要です。全ての出費に対して領収書を取っておかなければいけません。

 ただし、社葬への会社の支払いが一般的に見て過大であると税務署が判断した場合、たとえ領収書があっても故人への退職金または賞与の一部とみなされ、遺族への税負担がかかる場合もあります。支出に関してはそういう場合を考慮した配慮が必要です。

よりよい家族葬のために大事なこと

 よりよい家族葬にするためのポイントは、関係者に失礼のないような形でお知らせし、人間関係の問題を起こさないことがもっとも大切です。

 そして次に大事なことは、斎場および葬儀社選びを適切に行うことです。家族葬は人はそれほど集まらないわけですから、斎場は大きい必要はありません(それゆえ祭壇もそれほど立派な必要もない)。

 葬儀社は、そうした斎場(および祭壇)を提案してくれ、家族葬だからといって手を抜くようなことをしないところを選ぶことが大事です。

会葬者数による葬儀費用の変動について

 葬儀費用の中で、会葬者数によって強く影響をうけるところがどこかを深く理解しておくとわかりやすいです。

 たとえば、飲食・返礼品はそのものずばり会葬者数によって数量が変わってきます。

 そして、会場と祭壇も影響を受けます。たとえば、300人の会葬者で自宅でというのは、無理があります。それ相応の会場が用意されなければなりませんし、祭壇もそれにふさわしいものがよいと言えます。逆に、家族葬や密葬では、斎場の広さも大きな祭壇も不必要です。

 つまり、会葬者が増えれば予算が上がらざるを得ないということになります(もちろんそれにともなって、香典収入も増えます)。

葬儀が形式的になりすぎていると思っている人が多い

 少し古い統計ですが、財団法人日本消費者協会が1999年に実施した調査(複数回答)では、 葬儀について、「形式的になりすぎている」(42.4%)、「もっと質素にしたほうがいい」(35.3%)、「世間や見栄にこだわりすぎている」(34.7%)、「不必要なものが多すぎる」(28.8%)となっています。

 また、東京都の例になりますが、2001年のアンケート調査(複数回答)では、「お葬式で納得がいかなかったところ」について聞いたところ、「予定より派手になってしまった」(30.9%)、「費用の追加支払いが多くなった」(27.2%)という順に高くなっており、「何もない(満足している)」(20.6%)を上まわっています。