密葬について

 密葬という言葉は家族葬とともに最近よく聞くようになりました。密葬は、内輪でひっそりと行われる葬儀というような意味で使われています。本来は、本葬に先立って行われる内輪でのものを指していましたが、今はそれに関係なく密葬という言葉が使われています。

 規模の面で見ると家族葬と同じですが、密葬は秘密という言葉が連想されますので、少し暗いイメージが付きまとう感じがあります。一方、家族葬は、多くの会葬者への対応など慌しさをできるだけ避けて身内でゆっくりとお別れする、こうした意味合いで使われているように思われます。
 このニュアンスが家族葬と少し違うところでしょうか。

 本来、密葬は本葬とセットで考えられたものでした。つまり、故人が会社の経営者や有名人であったりした場合、お知らせや準備に時間がかかるため、まず、死亡直後に親族や親しい者だけで密葬を行い、そして、1~2ヵ月後に一般の参列者を招いた本葬を行うというものです。

 しかし現在、本葬のあるなしに関わらず、身内を中心にした葬儀を密葬と呼ぶようになってきています。

 ちなみに、密葬も家族葬と同じように宗教的な意味合いを含んでおりませんので仏式であれば僧侶、キリスト教であれば牧師あるいは神父、神式あれば神職にお願いして葬儀をします。葬儀施行の宗教形式の割合で見ますと、一般葬と変わることなく、仏式で行われることが多いようです。

 葬儀予算をあまりかけたくないという要望や、生前の本人をよく知る人だけで葬儀をしたいという要望を背景に、密葬は増加傾向にあります。

 密葬をする上で気をつけるべきことは、家族葬のところでも触れたように、失礼のないようにお知らせすることです。

社葬について

会社の社長や会長などが亡くなったときに、会社が主催して行う葬儀が社葬です。会社が費用を負担し、運営の責任を持ちます。一般的な葬儀に比べ、社葬は会葬者数が多く、おおむね大規模な葬儀が執り行われます。

最近の傾向として、社葬は「合同葬」方式と「お別れ会」方式が増えています。合同葬とは遺族と会社が合同で行う葬儀で、死亡後それほど時を経ずに行われます。一方、お別れ会は、死亡後の密葬の後、1~2ヵ月後に行われます。

大規模な葬儀というのは会葬者数が多いということです。それにともない費用もかかります。それゆえ、規模の小さい葬儀では考える必要のないことも、考えなければいけないことがたくさんでてきます。人が多く集まり、関わる人が多いということは、きっちりとやらないと混乱を招く恐れがあるからです。

一例を挙げますと、社外的な告知活動はきわめて大事なので、連絡先名簿を作成、お知らせする範囲とランクを整理し、告知のタイミングと内容もよく練っておく必要があります。たとえば、第一報の訃報で、社葬を行うことを明確にしておかないと、身内だけを想定した密葬に、多くの会葬者が訪れたりする事態を招かないとも限りません。

また、社葬にかかった費用を経費として計上するためには、取締役会議での社葬に関する議事録と領収書が必要です。全ての出費に対して領収書を取っておかなければいけません。
ただし、社葬への会社の支払いが一般的に見て過大であると税務署が判断した場合、たとえ領収書があっても故人への退職金または賞与の一部とみなされ、遺族への税負担がかかる場合もあります。支出に関してはそういう場合を考慮した配慮が必要です。

いずれにしても、社葬は会社の体制を内外に示す好機と捉えることもできますので、一般の葬儀以上に葬儀社選びは重要になります。社葬のノウハウを持ち実績のある葬儀社を選ぶことが大事です。

家族葬について

 最近、家族葬という言葉をよく聞くようになりました。こうした身内を中心とした葬儀が増加している背景には、地域コミュニティーの力が弱まってきているのにともなう近所づきあいの減少や、核家族化による親戚づきあいの減少、少子高齢化ということがあるでしょう。また、費用的に節約するためという面も見逃せません。

 家族葬の厳密な定義はありませんが、多くの会葬者への対応など慌しさをできるだけ避けて身内でゆっくりとお別れする、こうした意味合いで使われているように思われます。
 規模としては、家族や親族、親しい友人の範囲だけの葬儀ということになりましょう。

 家族葬をしてあとあと問題になることが多いのは、「なぜ知らせてくれなかったのか」と友人や親戚に言われたり、弔問客が個々にお線香を上げさせてくれと訪れて、その対応に疲れてしまうということがあることです。

 それゆえ、家族葬にする場合は、誰を呼ぶのかを慎重に決めなければなりませんし、呼ばない人へも、失礼のないような形でお知らせする必要があります。たとえば、呼ばないばかりに、「うちは、ご喪家から、そんなに軽く見られているのか」というように、あとあと感情的なしこりを残さないとも限りません。

 葬儀は一回しかできない、取り返しがつかないことですし、様々な関係がありますから慎重に考えたほうがよいと思います。葬儀予算を抑えることばかりに気をとられて、人間関係の基本的なことを忘れないよう気をつけたいものです。

葬儀費用について

 葬儀社などのホームページを見ますと、葬儀費用の平均値として、財団法人日本消費者協会と東京都の調査がよく引用されています。

 葬儀一式179万円、飲食66万円、寺院関連(お布施)64万円。(平成15年、財団法人日本消費者協会調べ、東京・神奈川・埼玉地域)
 葬儀一式148万円、飲食66万円、寺院関連64万円、香典返し91万円、雑費23万円。(平成13年、東京都の調査)。

 この数字を見てどんな感想をもたれるでしょうか。こんなにかかるものなのか? 
 もちろん、会葬者数や利用斎場、祭壇などのグレードによって、葬儀費用は変化しますので、会葬者の多い大規模な葬儀になれば費用は膨らみ平均値を超えます。逆に、会葬者が数十人のこぢんまりとした葬儀では、この平均値になることはありません。

 しかし、当センターでのこれまでの数百件に及ぶ紹介案件を踏まえたときに、平均としてこんなにかかることはないというのが、われわれの実感です。

 当センターの実感として平均がこんなにかからないというのは、葬儀社がわれわれのチェックを受けているからという以外に、次のような大きな事情によるものと思います。

 これまで、消費者は葬儀の費用に関する情報を知る手立てがほとんどなかったのですが、インターネットにより情報がオープンになり知ることができるようになってきました。葬儀社サイドも、費用を含めた情報を出さざるを得なくなってきましたので、これまでのように、依頼者の無知を前提とした葬儀社主導のどんぶり勘定が通用しなくなってきているということです。

 要するに、この平均値は、依頼者が「葬儀は初めてで何もわからないのですが、普通はどれぐらいなのでしょうか」と言ってくれて、葬儀社がいくらでも都合のいいようにできた、葬儀社にとっての古きよき時代の産物といえるでしょう。

 ただし、情報がいくらオープンになっても、葬儀社選びは簡単ではないので、当センターのような第三者機関のチェックを受けなかったり、ご依頼者自身が葬儀や葬儀社に対する見識を持って、葬儀社と相対することができなければ、葬儀社も平均値ぐらいまではもっていきたいというのが本音のところでしょう。つまり、現状において、葬儀社の担当者が、ことさら葬儀の平均費用を持ち出すのは、葬儀費用をあげようとする口実だということは知っておいて損はありません。

斎場について

 「○○斎場で式をしたいのでですが、どのように申し込めばいいのでしょうか?・・・」、こうした電話をご依頼者から受けることがあります。自分たちで斎場は見つけてとらなければならないと漠然と思っている人や、自分たちできることは自分たちで手配をしたいという方々です。

 しかしながら、斎場の手配はほとんど葬儀社がやっているというのが現状です。このことに関して、葬儀社と斎場の関係を、次のように問題提起するとより切実な問題として感じられると思います。それは、葬儀社選びと斎場選びはどちらを優先させたほうがいいのか? という問題です。

 結論から先に言いますと、葬儀社選びを優先させほうがよいよいように思います。正確に言うと、自社保有斎場を含めて、どういう斎場に精通し提案してくれるのか、それを見た上で葬儀社を決めるということです。

 たとえば、日程などの諸事情によって、前もって希望していた斎場を使わず、事後に斎場を決め直したいことは少なからず起こりえます。そうなると、地域事情をよく把握していない葬儀社では、その地域にどういう斎場があるのかよく把握していないので、どう対処していいかわからず、混乱をきたすことになります。それゆえ、葬儀社の斎場に対する対応力は、葬儀社を見るときの非常に大事なポイントになります。

 要するに、斎場選びは、諸事情により重要事項の優先順位が入れ替わったとしても、ほとんどの場合で代替がきき、幅を持たせて考えたほうがいいのに対して、葬儀社選びは厳選したほうがいいということです。

葬儀社について

 テレビなどで葬儀業界の裏事情でボッタクリの話などが取り上げられると、「行政監督はどうなっているのだ、もっとしっかりやれ」とテレビの前で怒っている人も中にはいると思います。

 しかし、それは叶わぬことです。なぜなら、葬儀社をやるのに行政庁による許認可は必要ないからです。明日から誰でも葬儀社を始めることができます。(もちろん、商法や刑法などの法律に触れれば罰せられることになりますが)

 こうした状況にもかかわらず、葬儀社の果たす役割がますます大きくなってきています。かつて地域コミュニティーが運営の主体であった葬儀が、葬儀社主導の葬儀に変わってきているのです。

 葬儀を依頼する人にとって「よい葬儀」にすることができるかどうかは葬儀社(および担当者)選びにかかっているといっても過言ではありません。

 斎場の手配にとどまらず、料理の手配、返礼品の手配、ときには宗教者の手配まで葬儀社はします。つまり、お亡くなりになった後、病院からの搬送から、ご安置、通夜、葬儀告別式、火葬、会食にいたるまで、すべてのことが滞りなく、進行するように段取りしてくれるのです。

 それゆえ、よい悪いはともかくとして、葬儀を依頼する人にとって「よい葬儀」にできるかどうかは、葬儀社(および担当者)選びにかかっているということになってくるのです。