葬儀社と依頼者とでは、葬儀費用の捉え方が違います。

一般的な仏式葬儀の例ですが、4つの項目(葬儀一式、飲食、お布施、香典返し)で葬儀の総予算になります。紛らわしい表現の葬儀一式とは区別しないといけません。葬儀一式では葬儀はできませんので気をつける必要があります。

 葬儀社は、葬儀費用を「葬儀一式」のこととして捉える傾向があります。これは、葬儀一式以外、葬儀社の利益にならないので、自分の深く関与する領域だけを葬儀費用とするのです。そうすると、葬儀の総額のことを葬儀費用と思っている依頼者と、葬儀費用の理解に食い違いが起こってきます。

 これが問題を起こすのです。葬儀社から葬儀費用は○○万円といわれたが、葬儀が終わってみたら3倍もかかったということも起こってくるのです。

 消費者の意識を踏まえて説明ができない葬儀社は、サービス業としては失格と言わざるを得ないですが、この食い違いをよくわかっていて、逆に、利用する悪いところもあります。そういうところに引っかかってしまうと、先ほどの、3倍も・・・の話になってしまうのです。

 悪意がなくても葬儀社の人は、「葬儀費用」のみならず、「実費」や「立て替え」といった、自分たちの論理から来る言葉を使います。ここで、このことの是非を問うてみても意味がありません。それよりも、依頼者が気をつけるべきことを覚えておいたほうが有意義です。それは、結局、自分の財布から、実際いくら支払う必要があるのかということを見極めることです。そして、それは4つの項目であるので、それを踏まえて葬儀社の提示する見積書が何を含んでいるものなのかを見るということです。

葬儀費用について

 葬儀社などのホームページを見ますと、葬儀費用の平均値として、財団法人日本消費者協会と東京都の調査がよく引用されています。

 葬儀一式179万円、飲食66万円、寺院関連(お布施)64万円。(平成15年、財団法人日本消費者協会調べ、東京・神奈川・埼玉地域)
 葬儀一式148万円、飲食66万円、寺院関連64万円、香典返し91万円、雑費23万円。(平成13年、東京都の調査)。

 この数字を見てどんな感想をもたれるでしょうか。こんなにかかるものなのか? 
 もちろん、会葬者数や利用斎場、祭壇などのグレードによって、葬儀費用は変化しますので、会葬者の多い大規模な葬儀になれば費用は膨らみ平均値を超えます。逆に、会葬者が数十人のこぢんまりとした葬儀では、この平均値になることはありません。

 しかし、当センターでのこれまでの数百件に及ぶ紹介案件を踏まえたときに、平均としてこんなにかかることはないというのが、われわれの実感です。

 当センターの実感として平均がこんなにかからないというのは、葬儀社がわれわれのチェックを受けているからという以外に、次のような大きな事情によるものと思います。

 これまで、消費者は葬儀の費用に関する情報を知る手立てがほとんどなかったのですが、インターネットにより情報がオープンになり知ることができるようになってきました。葬儀社サイドも、費用を含めた情報を出さざるを得なくなってきましたので、これまでのように、依頼者の無知を前提とした葬儀社主導のどんぶり勘定が通用しなくなってきているということです。

 要するに、この平均値は、依頼者が「葬儀は初めてで何もわからないのですが、普通はどれぐらいなのでしょうか」と言ってくれて、葬儀社がいくらでも都合のいいようにできた、葬儀社にとっての古きよき時代の産物といえるでしょう。

 ただし、情報がいくらオープンになっても、葬儀社選びは簡単ではないので、当センターのような第三者機関のチェックを受けなかったり、ご依頼者自身が葬儀や葬儀社に対する見識を持って、葬儀社と相対することができなければ、葬儀社も平均値ぐらいまではもっていきたいというのが本音のところでしょう。つまり、現状において、葬儀社の担当者が、ことさら葬儀の平均費用を持ち出すのは、葬儀費用をあげようとする口実だということは知っておいて損はありません。