冠婚葬祭は日々の生活の中で、最も出費の多い出来事です。結婚式はそれに向けて蓄えられているので楽しい計画が練れますが、問題は葬儀の方です。葬儀費用を残す間もなく逝ってしまわれた方、長患いで使い果たしてしまった方、残されたご遺族には、それぞれ切実な問題が迫っています。
依頼者からのご相談のなかでも、避けて通れない問題です。
「病院でお金を使ってしまったので、出来るだけシンプルな葬儀をしたい。家族と親族15名位の家族葬で、お坊さんも呼ばず、自分がお経が読めるのでそれで間に合わせてもよい位。通夜の料理のみで祭壇も要らない。お花が大好きだったので柩の周りをお花で飾る位で良い」との依頼者のご注文に、地域の葬儀社でぎりぎりの予算で快く引き受けてくれる当センターの賛同社に見積りを依頼するところから金銭の問題は始まります。
葬儀当日にご喪家から直接支払う斎場費、火葬料、待合室料等がありますので、多額な現金の用意が必要になってきます。葬儀社によっては全て立替払いのところもあります。
銀行は故人になったことが分かった時点で、故人名義の預貯金は凍結してしまいますので注意が必要です。
凍結されてからでは相続人全員の同意が必要になってしまいます。
分かった時点というのが少し曖昧で、申告するまでは大丈夫ですが、ある方の場合は銀行に行って近所の方にバッタリお会いしご挨拶されて、お亡くなりになったことが分かってしまいすぐに下ろすことができなくなってしまったとのことです。
銀行サイドでは「新聞の死亡欄にのった方、テレビラジオ等でお名前が分かった方はその時点で凍結されます」とのことです。一般の方はあまりナーバスになる必要はないようですが、万が一のことを考え、事前に引き出す用意も重要です。
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ご相談者の状況に応じて対応している模様が描かれています。
「依頼者のご要望に合わせてパンフレットを使い分けます」と聞かされて・・・
ある葬儀社の担当者から「当社にはパンフレットが低価格用のものと一般の葬儀用のものとあり、使い分けています」と伺った時には、戸惑い思わず聞き返してしまいました。
実は担当者は警察から頼まれる葬儀にも関係していて、ご喪家から「お葬式を出すお金がない」という相談を受けることが多いとのことでした。
「どうしても安くやりたいと相談されると断れなくて、ついいいですよということになってしまうんですよ。金銭的に厳しくて火葬だけしかできないのでは忍びない。何とかしてあげたいということから、こういうことになったのですよ。この方達にいきなり40万、50万の祭壇のパンフレットをお見せすればビックリされてしまいますから」。
火葬費用にも満たない金額で泣き付かれた時には、知り合いのご住職に事情を話して快く引き受けて貰い、終わった後にご喪家の方は涙して喜ばれたようです。
「また逆に、値段の安い祭壇のパンフレットを見て、何だそれしかないのかと言うような方には別な一般用のパンフレットをお見せしています」とのことでした。
葬儀には、どのくらいの費用がかかるのですか?
「葬儀には、どれくらいの費用がかかるのですか?」
電話にでてすぐに聞かれることがまれにあります。
この質問に直接答えるとすれば、「条件によって違いますので一概には言えません」ということになります。
ただしここが大事なのですが、答えられないのではありません。条件さえ設定すればいくらでも費用は算出可能になります。条件とは、どこで施行するのかや、どれくらいの人が集まりそうなのか、というようなことです。
「葬儀費用は一概には言えない」だけで、その先の説明ができない葬儀社もまだ多くあるようです。
気の利いた葬儀社ならば、「葬儀費用は一概には言えない」だけで説明が終わることはありません。依頼者をとりまく状況をうまく聞き出して、この場所で、これくらいの規模で、・・・・これらの条件だと費用はこれくらいかかり、変動するところはこの部分です、というように説明してくれます。
さらには、依頼者にあった条件設定を提案してくれるはずです。
葬儀費用のこと
葬儀の立会いに伺うと、受付横にご遺族のご意思によりご香典をご辞退する旨の看板を目にすることがあります。
しかし大方の場合、葬儀総費用に関して見積る時は香典を考慮していらっしゃる方が多いようです。 ご家族のみの葬儀を除けば、葬儀に掛かる費用の内、変動の激しい飲食代(お清め、精進落し)と返礼品は人数が増えた分、頂いたご香典で賄うことができます。
費用を幾ら位に抑えるかの目安として、日本人の90パーセントは仏式ですので、お坊さんを第1に考え、先ずお布施を先に考えて、後残った費用で葬儀を考えます。
次に、社会通念上必要な通夜の飲食費(特に近所付き合いの中では比重が高い)を考え、お布施と飲食代を除いた費用が葬儀費用になります。
極端な話、火葬場と霊柩車と柩があればお葬式ができます。
やりくりは如何様にもできます。
葬儀にかかわる費用等調査報告書について
少し古くなりましたが、平成13年に東京都生活文化局が、葬儀費用や葬儀についての意識や価値観について調べたものが 「葬儀にかかわる費用等調査報告書」 です。
葬儀社側からは、祭壇などの品目につての最多価格帯や最高価格帯、最低価格帯を調査したり、依頼者側からは、葬儀社選択理由や斎場選択理由、葬儀の規模、不満点など詳細にわたり調査をしているので、費用を中心に現状の葬儀の傾向を知ることができます。
葬儀費用は、同じ会社が施行したとしても、条件により変化します。
葬儀費用は、地域やどこの斎場を利用するか、会葬者数、祭壇のグレードをどれくらいにするかなどによっていかようにも変化します。葬儀社によって見積書・請求書の書き方はバラバラですが、次のように整理して考えるとわかりやすいです。
葬儀費用は、仏式の場合、大別すると、1・葬儀一式(葬儀に関わる基本のもの)、2・飲食、3・お布施、4・香典返し、になります。
1、葬儀一式(葬儀に関わる基本のものです)
・葬儀関係 祭壇、棺、飾りつけ、遺影、ドライアイス、焼香用具、白木位牌、受付設備、看板、枕・後飾り、骨壷、喪主花、遺体保管料、会葬礼状、役所手続き代行など
・火葬場関係 火葬料、待合室費
・車両関係 寝台車、霊柩車、マイクロバス、ハイヤー
斎場関係 式場使用料
・返礼品関係 会葬御礼品、(後日、香典返しをしないで、式当日、香典返しをする場合もあります。その場合、4の「香典返し」は必要ありません)
・そのほか 心づけなど
2、飲食
通夜ぶるまいと、精進落し、飲物などです。
3、お布施
読経料や戒名料です。
4、香典返し
葬儀費用を抑える方法にはどのようなものがあるのか。
葬儀費用のカテゴリーの中で、前回、会葬者が増えれば葬儀費用がが上がらざるを得ないということを書きました。
そうなると逆に、たとえば、葬儀予算を抑えたいと考える場合、もっとも簡単な方法は会葬者数を絞るということになります。火葬儀や密葬、家族葬というようにです。葬儀費用の面で見ますと、火葬儀や密葬、家族葬は人が少ないので、一般の葬儀よりも費用はかかりません。
その次に考えることは、各品目の単価を下げるということです。たとえば、飲食一人当たりの単価を下げるとか。そして、最後に不要な品目を外すということです。
ただし、葬儀は予算のことだけを考慮すればいいということではもちろんありません。葬儀は一回しかできない、取り返しがつかないことですし、様々な関係がありますから慎重に総合的に考えるのがよいと思います。
社葬費用の分担について
社葬は、会社が主催して行う葬儀です。会社が費用を負担し、運営の責任を持ちます。
もう少し正確に言うと、社葬の費用の中で、会社が負担する割合はケースによって異なります。例えば、社長・会長が亡くなった場合、副社長・専務・常務が亡くなった場合、取締役が亡くなった場合などでは、会社が負担する費用の割合が異なる事が多いようです。
社葬にかかった費用を経費として計上するためには、取締役会議での社葬に関する議事録と領収書が必要です。全ての出費に対して領収書を取っておかなければいけません。
ただし、社葬への会社の支払いが一般的に見て過大であると税務署が判断した場合、たとえ領収書があっても故人への退職金または賞与の一部とみなされ、遺族への税負担がかかる場合もあります。支出に関してはそういう場合を考慮した配慮が必要です。
会葬者数による葬儀費用の変動について
葬儀費用の中で、会葬者数によって強く影響をうけるところがどこかを深く理解しておくとわかりやすいです。
たとえば、飲食・返礼品はそのものずばり会葬者数によって数量が変わってきます。
そして、会場と祭壇も影響を受けます。たとえば、300人の会葬者で自宅でというのは、無理があります。それ相応の会場が用意されなければなりませんし、祭壇もそれにふさわしいものがよいと言えます。逆に、家族葬や密葬では、斎場の広さも大きな祭壇も不必要です。
つまり、会葬者が増えれば予算が上がらざるを得ないということになります(もちろんそれにともなって、香典収入も増えます)。
セットやプランだけでは葬儀はできません
4つの項目(葬儀一式、飲食、お布施、香典返し)で葬儀の総予算になるということを以前書きましたが、葬儀一式で葬儀ができないのと同じように、 セットやプランだけでも葬儀はできません。
ほとんどのセットやプランは、葬儀一式のなかの一部分にしか過ぎません。それゆえ、セットの中に何が含まれているのかよく確認することが大事です。各社によって違います。
もともと、葬儀料金をわかりやすくするために、セット料金制やプラン制がよく用いられるようになってきたのですが、これも悪用するところが後をたちません。実際に、各社のホームページやチラシを見ると、セットを前面に出して、それだけで葬儀ができるのかと錯覚してしまうような表現が目立ちます。よく見ると、欄外に小さい文字で、「式場費、返礼品、飲食費、お布施は含まない」などと書いてあるのがわかると思います。