葬儀社の一般的な分類の仕方

 葬儀社の分類も視点の取り方で、いかようにも分類できますが、一般的には、葬儀専門業者、互助会、JA、そのほか、というように分けている例が多いようです。

●葬儀専門業者
 葬儀社の中でもっとも割合が多いの専門業者です。総務省の調査によりますと、葬儀業を営んでいる企業の常用雇用数は10人未満の葬儀専門業者数は70%以上になっており、小規模企業が多いのが現状です。
 なお、葬儀専門業者により構成された全国規模の団体として全日本葬祭業協同組合連合会(全葬連)があり、会員数は1522店舗(17年4月1日現在)になっています。

●冠婚葬祭互助会
 互助会といわれているものです。互助会は、経済産業大臣より許可を受け、割賦販売法に定められた指定役務(この場合、葬儀サービス)の提供を目的とした前払い式特定取引業を営んでいる事業者のことです。
 要するに、互助会は、会員が毎月掛け金を積み立てて、その積立金をもとに葬儀を施行してくれる葬儀社です。そして積立金の半分は、万一会社が倒産しても保全されます。

●JA
 JAが窓口になり葬儀を受注しますが、葬儀専門業者と連携しており、多くの葬儀は専門業者によって行われているようです。ただ、独自にサービスを提供するところも中にはでてきています。

 そのほか、生協やホテル、広告会社などが新規事業として参入している例もあります。

葬儀費用は、同じ会社が施行したとしても、条件により変化します。

 葬儀費用は、地域やどこの斎場を利用するか、会葬者数、祭壇のグレードをどれくらいにするかなどによっていかようにも変化します。葬儀社によって見積書・請求書の書き方はバラバラですが、次のように整理して考えるとわかりやすいです。

 葬儀費用は、仏式の場合、大別すると、1・葬儀一式(葬儀に関わる基本のもの)、2・飲食、3・お布施、4・香典返し、になります。

1、葬儀一式(葬儀に関わる基本のものです)
・葬儀関係  祭壇、棺、飾りつけ、遺影、ドライアイス、焼香用具、白木位牌、受付設備、看板、枕・後飾り、骨壷、喪主花、遺体保管料、会葬礼状、役所手続き代行など
・火葬場関係  火葬料、待合室費
・車両関係 寝台車、霊柩車、マイクロバス、ハイヤー
斎場関係 式場使用料
・返礼品関係 会葬御礼品、(後日、香典返しをしないで、式当日、香典返しをする場合もあります。その場合、4の「香典返し」は必要ありません)
・そのほか 心づけなど

2、飲食
通夜ぶるまいと、精進落し、飲物などです。

3、お布施
読経料や戒名料です。

4、香典返し

「変わるお葬式、消えるお墓」という本を読んで

 最近発行された「変わるお葬式、消えるお墓」(小谷みどり・著)を読みました。著者は、テレビなどでお葬式がテーマのときにコメンテーターとしてよく出ているので知っている方もいるかもしれません。

 同書の中で、長寿化の影響により、故人や遺族が望もうと望まざると自然な流れで密葬になる傾向もある、と指摘しています。

 大きな理由としては、親が亡くなったときにはすでに子供も高齢化し定年になっている場合もあり、仕事関係など義理でやってくる参列者はほとんどいない、ということを挙げています。

 お葬式やお墓について、現状や問題点、これからのことを知る上で非常に勉強になる本です。

斎場と火葬場の関係について

 斎場とは、通夜や葬儀・告別式を行う場所のことです。火葬場は字のごとく火葬をする場所です。

 これも一致する場合と一致しない場合があります。一致する場合とは、多くの公営の施設の場合がそうで、斎場と火葬場が併設されているところです。つまり、同一施設の中で式と火葬もできるということです。

 それゆえ、斎場と火葬場との間の移動の必要がなく便利な面があります。公営の火葬場・斎場施設は一行政区に一つ(まれに複数)ある場合と、複数行政区で連携して一つ持っている場合があります。

 ただ、東京は少し事情が違います。東京23区内と周辺においては都営の瑞江火葬場は斎場が併設されていませんし、臨海斎場は併設ですが5区共同運営です(港区、品川区、目黒区、大田区、世田谷区)。これらを除く23区内と周辺の火葬場は民営になります。これら民営火葬場には斎場も併設されています。(町屋斎場、落合斎場、代々幡斎場、桐ケ谷斎場、四ツ木斎場、堀ノ内斎場、戸田葬祭場、日華多摩斎場、谷塚葬祭場)

イベントとしての葬儀について

 「葬儀」のカテゴリーで前回取り上げたアンケートの回答のほとんどは、葬儀のイベント化に対する批判とも言えます。葬儀をすべて葬儀社に任せた結果がイベントになってしまうと言い換えてもいいでしょう。そして、葬儀が日常生活とはかけ離れた斎場で行われることが多くなることにより、非日常としてのイベント化をよりいっそう推進しています。

 依頼する側としても、日常の延長線上にないイベントのため、そういうものだと無批判に思い込んでしまったり、一般的な相場感覚を持ちにくいことや、冷静な判断を行いにくい精神状態のもとで契約しなければならないという状況があるとともに、世間並みに恥ずかしくないものにしたいという見栄がからんでくる場合さえあります。こうして葬儀社主導のイベントが強力に形作られていきます。

 ただ、ここでいくら それを強調しても意味はありません。では、どうすればいいのかということです。自分にひきつけてとらえれば、こう言い換えてもいいでしょう。よっぽど気をつけていないと、イベント化の流れに知らず知らずうちにのってしまうということです。つまり、このことを意識しているだけでも、たとえば見積書をみる眼も、葬儀社の担当者の話を聞く姿勢も大分違ってきます。

 ただし、あわてて付け加えて言わなければならないことは、イベントは悪い意味ばかりではないということです。アンケートにおいて「形式的」とか「不必要」と批判されていることでも、それは現代人の合理的とする見方からのことであって、歴史を経て伝わってきていることには、それ相応の意味があると考えたほうがよいということです。同じことをやっても形式的と捉えるかどうかは意味を理解しているかどうかの違いも大きいのです。とすれば、こうした、意味とか価値とかの話をしてくれる葬儀担当者の話は聞くに値すると思います。

合同葬により施行された社葬の具体的な相談からの流れ

 ある会社の専務さんから社葬について事前相談の電話がありました。「社長である父親が先が長くないようなので、葬儀の準備をしたい。社葬をするにはどうすればいいのか」というものです。社葬の流れについての概略を説明した後、実際に葬儀を仕切ることになる、葬儀社選びについて話は進みました。

 その結果、次のような流れで葬儀社を決めていくことになりました。1、社葬を前提にして、センターが社葬実績で満足度の高い葬儀社3社から、あくまで概算として見積りを取る。2、センターがその見積書を説明する。3、専務は見積書の見方を理解し、センターのアドバイスを参考にして要望をさらに整理する。4、要望がまとまったら3社と面談し、その要望を伝え詳細な見積りを作成してもらう。5、3社に詳細な見積書について説明してもらう。6、それらのことを踏まえて依頼する葬儀社を決定する。

 斎場については、葬儀社3社との面談において詳細な説明を聞いた中で、もっとも安心ができそうだと感じた葬儀社に、事前に寛永寺や築地本願寺第二伝道会館などを案内してもらい、 最終的には築地本願寺第二伝道会館が斎場に決まりました。と同時に、葬儀社もそこに決めました。

 葬儀の後、専務さんから「初めての経験でしたが、葬儀社の担当者の方にはいろいろ教えていただきました。社葬を全般的に滞りなく進めることができて本当に良かったです」と感謝のお手紙を頂きました。

 社葬の基礎知識はこちら

社葬

 社葬は会社主導で執り行われるご葬儀であるところが通常のご葬儀との大きな違いになります。

 会社に貢献された方(創業者、会長、社長以下役員の方等)、又は公務中の事故等で社内に複数の犠牲者が出た場合のご葬儀をご喪家の意向をふまえて会社が執り行います。
 この場合の費用は会社負担(故人の業績等により割合は異なる)になりますので、早急に取締役会議で決定し、葬儀委員長のもと色々な取り決めをして、議事録に残すことが必要になります。

 ご葬儀は通常ご逝去された後、ごく内輪の方々のみの密葬で執り行われ、その後、約1ヵ月後位をめどに、故人の業績をたたえる社葬が営まれます。

 社葬のもう1つの方法として、ご逝去後日にちを置かず一般葬と同じようなお見送り方でご喪家と折半の形をとり、合同葬として執り行われることもあります。
 合同葬はどちらを主にするか否かで趣がガラリと変わってきますので、ご喪家と会社のバランスを取ることが非常に重要になり、ご葬儀全体を左右しかねないほどで、葬儀社の担当者の采配振りが大きく問われます。

 社葬はご葬儀の規模も大きくなり、会葬者も多くなりますので、葬儀社も社葬のノウハウを持ち、実績のある社を選ぶことが重要になってきます。

 いずれにしても社葬の意味合いは故人の業績を称えた上で会社の引き継ぎを行い、対外的には会社の今後をお見えになった方々にアピールする重要な役割があります。

 ●社葬
  ↑↑↑ 当センターのホームページでは社葬についての心得や費用分担・経費処理、傾向等を詳しく解説しております。
また、費用例については社葬から社葬費用例1・築地本願寺と社葬費用例2護国寺をごらんください。
具体的斎場例についても社葬から護国寺桂昌殿 築地本願寺第二伝道会館、寛永寺輪王殿をごらんください。

家族葬で行われた葬儀の具体的な相談からの流れ

 「今、病院で母が息を引き取りました。前にインターネットで調べてそちらを知ったので、電話をしていますが、葬儀社を紹介してくれますか」と連絡がセンターに入りました。

  松戸市在住のお母様がお亡くなりになり、転勤で広島在住のご長男からのご相談です。
 「病院から何時ごろ、お引取りにいらっしゃいますかと言われている」と慌てていましたので、まず、あわてる必要はないので落ち着くことが大事だとお伝えし、その場でご要望を整理していきました。
 その結果、1、会葬者は近親者だけで多くて20名位にし内々だけの家族葬でやりたい。2、二年前父が亡くなった時、大手葬儀社に頼み、かなり費用が掛かったので、できるだけ費用がかからないようにしたい。3、松戸の近辺の斎場。4、自宅には安置ができないので葬儀社で安置ができるところ。5、仕事の都合上、できるだけ葬儀を急ぎたい。というようになりました。

 ご要望に合う葬儀社を、すぐ紹介し、直接、お話をしてもらい、その社に依頼することになりました。すぐに病院へお迎えにあがり、自社の安置所に搬送しました。斎場は、しの田会館で翌日には通夜、翌々日には松戸市斎場において火葬の運びとなりました。

 センターの価値がより発揮されるのは、こうした緊急の場合だと思っています。こうした場合、当センターの担当者が、どんなに当事者の方に慌てないで下さい、といっても、冷静になってもらうのはとても難しいものです。これが、病院という特殊な状況の中で頼る人がいないような場合には、なおさら、どうすればいいのかということで慌ててしまうでしょう。

 慌てて冷静でない中、そして不安な状況の中、葬儀社選びを状況の流れの中で運任せにして最悪の事態になったということもよく見聞きするところです。成り行き任せで後悔するよりも、センターはそういう状況の中でも適切な葬儀社を紹介するための仕組みをつくっていますので、費用面も含めてはるかに良い葬儀に結びつきます。

病院指定の葬儀社を利用するかどうか

 東京都が平成13年に調べたアンケート調査によれば、お亡くなりになる人の場所は82%が病院です。また、家族の葬儀のための事前準備をしていない人が64%に達しています。これをあわせて考えるとどうなるでしょうか。これは、現実的に病院指定の葬儀社を利用するかどうかが葬儀社の選択を考える大きなウエイトを占めるということです。そのときになって、あわただしく自らが探すか、親戚や知人などから葬儀社を紹介されないと、病院の葬儀社に依頼せざるを得ないようになる、と言ってもいいでしょう。

 実は、病院指定の葬儀社というのは、搬送契約を結んでいる葬儀社のことです。搬送というのは病院から自宅などへ遺体を運ぶことです。遺体を長く病院におくわけにはいかない(おきたくない)病院と、仕事を取りたい葬儀社の利害が一致して、病院から自宅などへの搬送契約を結んでいます。

 ところが、病院指定の葬儀社はどこでもなれるわけではないのです。いろいろ条件があるわけです。例えば、早く病院から連れ出して欲しいわけですので、病院近くに営業所があり、○○分以内に二人で迎えにこられることなど、いろいろな条件があるわけです。

 葬儀社側にすれば、営業所が近くになければ場所を確保しなければなりませんし、人も待機させておかないといけないわけですから当然コストもかかることになります。
 
 公立の病院などは、条件を満たした業者の中から抽選をしたりしていますが、私立の病院は、諸条件に加え何らかの理由でもって葬儀社が決まります。「指定業者の中には、病院に対し年間1000万円超、かつ、1遺体あたり数万円の金銭を提供しているものがあった」と公正取引委員会が「葬儀サービスの取引実態に関する調査報告書」(2005年7月)の中で指摘していますが、そうしたことがあることは否定できません。

 いずれにしろ、病院指定の葬儀社になるためにはコストがかかるわけです。こうしたコスト構造が背景にあるため、搬送契約でありながら、強引に葬儀まで結び付けようとする営業になっているのです。
 
 これに対し、公正取引委員会の前掲の報告書の中で、「遺体搬送サービスと併せて、その後の葬儀サービスについても、当該遺体を霊安室に引き留め、説得するなどして、自己との取引を強制的に促すといった事例がみられた。こうした行為は消費者の自主的なサービス選択の自由を侵害し、不公正な取引方法(抱き合わせ販売等)として独占禁止法上問題となる恐れもあることから、事業者はこうした行為を行わないようにすべきである」と注意しています。要するに、搬送する立場を利用して強引に葬儀の営業をするな、ということです。

 もちろん、病院指定の葬儀社が悪い業者と言ってるのではありません。こうした構造を知った上で、できれば、違う葬儀社と比べた上で、病院指定の葬儀社にするというのならば何の問題もないということです。

 葬儀に関する情報がオープンになってきて、事前準備する人も徐々に多くなってきておりますので、病院指定の葬儀社に依頼する傾向は減少してきているようです。葬儀社もかつてのように何が何でも病院の指定になる、ということではなくて、直接、消費者に支持されるような活動や情報公開をしている葬儀社も増えてきております。消費者からすると非常にいい傾向です。

越谷市斎場でのお身内だけの密葬

 越谷市にお住まいの、ご長男の方よりメールにて相談を受けましたのは、お父様がお亡くなりになる一週間前のことでした。

 「病院によれば重篤状態から回復はしましたがいまだ不安定とのことです。貴センター経由で必ずお願いできるかどうか今の段階ではわかりません。それでもよろしければなにかとお力添えおねがいいたします。宗教者の手配や祭壇、装飾などよくわかっていないことがたくさんあります、よろしくお願い申し上げます」ということで、質素に密葬でおくりたいという内容でした。

 ご質問にあった、宗教者の手配や祭壇、装飾についての基本的な事柄にお答えすると同時に、さらにセンターからの質問として、斎場のことや内容、お父様の住民票のある場所、予算、紹介の方法、事前見積りなどについて、わかる範囲と差し支えのない範囲でお書きくださいとして、お伺いするメールを30分後ぐらいに返信しました。

 そうしましたら、また、30分後ぐらいにご相談者よりメールで返信がありました。一つ一つの質問に対して答えられていて、越谷市斎場を利用したいことや概算の見積りを見たいとありました。また、最後に、「葬儀は、対象者は私の父親で喪主は母親になります、母親の意向にそってすすめたいとおもっておりますが現在母親は、葬儀のことを考えたくないとおもっているのは明らかですので、メールで貴センターとやりとりをしてすすめさせていただきたいと思います。」とありました。

 早速、越谷市斎場を想定して賛同社より概算の見積りをとって、センターの説明書をつけて送ったところ、すぐまた返信のメールをいただきました。

 「本日の段階で父の容態が医師の予測よりはかなりよい方向で改善していることもあり、今の段階では、とりあえず大切に保管させていただくこととさせてください。必要な状況になりつつなりましたらまた連絡、内容の問い合わせ等させていただきます。」

 ふたたび、ご相談者より連絡がありましたのは、お亡くなりになる数時間前のことでした。以前のやりとりの内容確認と見積りをとった葬儀社と直接話をしたいというものです。葬儀社へは、これまでのセンターとご相談者のやりとりの概略を伝えるとともに、提出された見積り内容の確認をして、相談者と直接打合せしてもらうことにしました。これによって依頼する葬儀社が決まりました。