葬儀費用は単純には価格比較ができないのでは

 葬儀費用について、これまで、消費者は葬儀の費用に関する情報を知る手立てがほとんどなかったのですが、インターネットにより情報がオープンになり知ることができるようになってきました。葬儀社サイドも、費用を含めた情報を出さざるを得なくなってきましたので、これまでのように、依頼者の無知を前提とした葬儀社主導のどんぶり勘定が通用しなくなってきているという流れにはなってきています。

 そうすると今度はその反動で価格競争のようなことがおこるのはどの業界でも同じです。規格が同じものであれば単純に価格は比較ができますが、サービスにつていはそういうわけにはいきません。内容を踏まえないと価格が低いのがいいとは一概に言えません。

 われわれはこれまでの多数の事例を踏まえて、葬儀社の価格を見るときは、単純に価格が安いかどうかよりも、依頼者とのコミュニケーションを踏まえたサービス面、提供される内容、満足の度合いなど総合的にみて、価格が適切かどうかのほうがより重要だと思っています。

葬儀の準備と段取り

 葬儀を前に、以後にやらなければならいと思う葬儀の段取りや手配のことを考えただけで不安になるかもしれません。

 しかしながら、現状の葬儀においては、葬儀社の担当者が斎場選びからご喪家がしなければならないことまで適切にアドバイスしてくれますので、葬儀の流れや葬儀の段取りについて把握したり心配する必要はありません。

 裏をかえせば、ご相談者にとって「よい葬儀」にすることができるかどうかは葬儀社選びにかかっているといっても過言ではありません。

 問題はどうすれば、よい葬儀社選びができるかです。

 「彼を知り己を知れば百戦殆うからず」という孫子の言葉があります。適切な葬儀社を選び、よい葬儀にためにもこの考え方が参考になると思っています。

 彼 ⇒ それぞれの葬儀社の特徴
 己 ⇒ どのような葬儀にするのか、したいのか

 おおかたの葬儀社(彼)は、「家族葬から社葬まで何でも施行できます」や「どのような宗教宗派にも対応できます」、「一都三県ならどこででも施行できます」、「低価格でサービスの質は最高」「具体的な葬儀の準備より前の段階での抽象的な事前相談でも快く相談に応じます」などとPRしますが、価格・場所・サービスに照らし合わせて、やはり一長一短があります。

 たとえば、「駅前に立派な斎場を持っているが、価格は安くない、スタッフの対応は機械的」などです。

 一方、どのような葬儀(己)とは、たとえば、「会葬者が300人ぐらい予想されるので、交通の便がよくて、駐車場があり、設備がととのっている斎場で、地域の習俗もきっちり踏まえた仏式」などです。

 それぞれの葬儀社の特徴・得意分野をよく見極め把握し(彼を知り)、どのような葬儀にしたいのかを整理できれば(己を知れば)、よい葬儀になります(百戦殆うからず)。

 ●葬儀の準備
  ↑↑↑ 当センターのホームページにおいて、葬儀社の特徴(彼)と、どのような葬儀(己)の具体的な実例について取り上げています。
 ●葬儀の流れと段取り では、一般的な葬儀の流れと段取りについて説明しています。
 

 

 
 

合同葬により施行された社葬の具体的な相談からの流れ

 ある会社の専務さんから社葬について事前相談の電話がありました。「社長である父親が先が長くないようなので、葬儀の準備をしたい。社葬をするにはどうすればいいのか」というものです。社葬の流れについての概略を説明した後、実際に葬儀を仕切ることになる、葬儀社選びについて話は進みました。

 その結果、次のような流れで葬儀社を決めていくことになりました。1、社葬を前提にして、センターが社葬実績で満足度の高い葬儀社3社から、あくまで概算として見積りを取る。2、センターがその見積書を説明する。3、専務は見積書の見方を理解し、センターのアドバイスを参考にして要望をさらに整理する。4、要望がまとまったら3社と面談し、その要望を伝え詳細な見積りを作成してもらう。5、3社に詳細な見積書について説明してもらう。6、それらのことを踏まえて依頼する葬儀社を決定する。

 斎場については、葬儀社3社との面談において詳細な説明を聞いた中で、もっとも安心ができそうだと感じた葬儀社に、事前に寛永寺や築地本願寺第二伝道会館などを案内してもらい、 最終的には築地本願寺第二伝道会館が斎場に決まりました。と同時に、葬儀社もそこに決めました。

 葬儀の後、専務さんから「初めての経験でしたが、葬儀社の担当者の方にはいろいろ教えていただきました。社葬を全般的に滞りなく進めることができて本当に良かったです」と感謝のお手紙を頂きました。

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葬儀社選びのチェックポイントについて

 財団法人・日本消費者協会が出している小冊子「月刊消費者」の特集号で「エンディングプラン 葬儀費用編」というものがありますが、その中で、信頼できる葬儀業者選びのチェックポイントとして、以下の3つのことがあげられています。

 1、電話などで問合せたときの対応が親身であること。
 2、見積書や資料、パンフレットなどをすぐ提供してくれ、わかりやすい説明をしてくれること。
 3、担当者が最後まできちんと担当してくれるかどうか。

 たしかに、これはこの通りだと思います。ただ、これで判断できるためには、ある程度の量と質において葬儀に関する知識を持っていて、なおかつ、かなりの葬儀社を回って自分の眼で確かめていかなければなりません。そもそも、よい葬儀社と深く付き合ったことがない人が、つけやきばで、葬儀社の良い悪いを判断できるようになれるかは、はなはな疑問です。

 ほかにも、さまざまなホームページで、よい葬儀社の選び方や事前準備の重要性が説明してあって、いかにも簡単そうに書いてありますが、「で、現実的に私はどう選んで準備をしていけばいいのか?」ということになると戸惑ってしまうのが実際でしょう。

 もっとも、説明してあることに大体のものは間違いはないのですが、それを本当に実行しようとすれば、それなりの時間と労力といろいろな意味での覚悟が必要です。要するに、簡単ではないということです。

よりよい社葬には準備が大事

 今月、当センターの紹介を通じて、連休開けに護国寺で社葬が執り行われました。先月末の連休前に、会社の方より相談を受けていました。

 相談の結果、次のような流れで葬儀社を決めていくことになりました。1、社葬を前提にして、センターが社葬実績で満足度の高い葬儀社3社から、あくまで概算として見積りを取る。2、センターがその見積書を説明する。3、ご依頼者は見積書の見方を理解し、センターのアドバイスを参考にして要望をさらに整理していく。4、要望がまとまったら概算の見積り提出社の中から優先順位を決めて、まずメールで担当者とやり取りをする。その要望を伝え詳細な見積りを作成してもらう。5、このやり取りを踏まえて担当者と面談し、詳細な見積書について説明してもらう。6、それらのことを踏まえて依頼する葬儀社を決定する。

 概算見積り提出社3社のうち、メールでやりとりしたのは2社で、その2社のうち1社と面談して、その社に依頼することになりました。

 ご依頼者と、決定した葬儀社は、もしも連休にお亡くなりになった場合やご家族の意向など、さまざまなケースを想定して打合せを進めていきました。斎場の場所だけでなく、合同葬の形式や密葬・本葬形式など、さまざまなパターンで準備しました。

 そして、連休中にお亡くなりになり、護国寺で合同葬の形式で連休明けに施行するという形になりましたが、さまざまなケースを想定して準備をしていたおかげで、滞りなく無事式は終わることになりました。

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