これからのお葬式と町内会の関係は如何に・・・・?

 かつて冠婚葬祭は村落共同体の中で村中の人々が祝い悲しんだものでした。
 今でも各地でその名残が形式的な形で見られるようです。
 時折大きな引き出物を両手一杯にさげて結婚式の帰りなのか、お葬式の帰りなのか一見迷ってしまいそうな光景に出くわすこともあります。
 それは田舎ばかりではなく、大都会の周辺でも見受けられました。
 地域のお葬式は町内会の方々が中心になって地域で割り当てられた葬儀社さんがするものと思われている節もあります。
 折角ご喪家のご親戚の方からお電話いただいても、町内会のほうにも相談してご返事しますということが多かったのですが、最近は様変わりの兆しも出てきました。
 ネット社会になり、様々な情報が手に入りやすくなってきた最近ではこの町内会とは一線を画す方もでてきたようです。
 先日ご葬儀に立会ったお宅は、お母様が東京の下町に生まれ育った方ですが、喪主である息子さんは東京近郊にお住まいでした。お母様は下町に1人住まいで町内会費も納めていましたが、町内の方よりも同好の趣味の方々との交流が多く、故人の意思により町内会で推薦する葬儀社ではない葬儀社を選ばれました。
 お母様が亡くなられた後は町内との縁がなくなるので、喪主の方は町会にも知らせなかったようです。
 地元の方の出席は親しいご近所の方のみになりました。
 そのため、受付等の手伝いは町内会の方ではなく、喪主の会社の方々でした。
 少し前でしたらしこりが残るような約束ごとの反故も場合によっては今後増えてくるでしょう。但し、町内会で引き受ける受付も、町内の人にとってお小遣いになる方もいらっしゃいますのでそのあたりの配慮は必要かもしれません。
 
 
 

ご家族だけでゆっくりとしかも古くからの友人もできるだけ多くお呼びしたいと考えた1日葬とは・・・。

 世間では「後期高齢者」の呼び名がかまびすしいが、定年時代を迎えた団塊世代は今 、戦後の高度成長をひた走ってきた両親を見送る現実に直面しています。
 今まで走り続けて来たからには、せめて最後はゆっくりとご家族だけで送ってあげたい反面、戦友のようにいっしょに仕事に励んできたお仲間を1人でも多くお呼びして見送ってもらいたいという思いが交差しています。
 できれば両方をうまく取り入れてできないものだろうかという思いをお持ちの方も増えてきています。
 従来の葬儀の枠の中だけでなく、見送り方もそれぞれの家庭の条件にあったやり方で行きたいと願う依頼者に葬儀社の担当者も柔軟な姿勢を見せているようです。
 
 例えば、ご自宅に搬送され、葬儀当日まで数日間ご家族と過ごし、当日納棺後斎場に移され、1日だけのご葬儀にします。ご家族とゆっくり過ごす時間が保たれ、しかも葬儀・告別式では思い切り仕事仲間や後輩の方々にお出でいただくことができます。但し、金銭的な面で考えると斎場費が1日でも2日でも使用料が変わらないところが多いので割高感はあります。その代わり通夜の読経代やお清め用のお食事代が浮きますので、その分ご自宅での棺やお蒲団の周りにお好きな花を飾ることができるようになります。
 ここ1~2年葬儀内容もいろいろと変化が求められて来ているようです。

宮型霊柩車は利用できなくなるのか

 先日の朝日新聞の記事に「宇都宮市は来年3月から稼動する新しい公的な火葬場について宮型霊柩車の乗り入れ禁止を決め、葬儀業者に伝えた」とありました。
 昨年6月にオープンした千葉県印西斎場から先月送られてきた利用要領の中でも、留意事項の第1にご来場にあたっての宮型霊柩車の乗り入れ禁止を謳っていました。
 他にも埼玉県さいたま市大宮聖苑、越谷市斎場、上尾伊奈斎場つつじ苑等でも乗り入れ禁止になっています。
 都内と神奈川県下では今のところ規定は見当たりません。
 特に新規の火葬場の場合は地元住民の方々との話し合いの中で条件とされることが多いようです。
 このことは早速TBSラジオのトーク番組アクセスでも取り上げられていました。
 聴取者の意見として、50年間火葬場近くにお住まいの年配の方は「40代、50代の頃は霊柩車を見てもなんとも思わなかったが、75歳を過ぎて宮型の霊柩車を見ると足が止まってしまいます。いやというより自分の余生が迫ってくるように感じるからです。ですから、普通の自動車のような洋型霊柩車の方がこころにやさしくあたるような気がします。」と話されていました。
 都会ではいつの間にか圧倒的に高級乗用車型の洋型霊柩車の利用が増え、街中でも宮型の霊柩車にお目にかかる機会が少なくなってきています。
 それは宗教心の問題で若い人の宗教心が薄れているからだと言う方もいらっしゃいます。
 少なくなったとは言え年配の方を中心に根強い人気の宮型霊柩車の存在も、個性の強さゆえに引退を余儀なくされていくのだろうか。

団塊の世代が葬儀を変える・・・・。

 戦後の新しい世代として60年代のアイビー族を代表する団塊世代が定年を迎えるにあたり、世
間では第2の人生の活用法をあれこれ取り沙汰し、皆さんもまだまだやる気いっぱいのようですが、一転して家庭に目を向けると親の介護問題が重くのしかかっているのも現実です。
 厳しい介護にあけくれして、その果てに控える問題についてまでは思いが至らず、その場に直面し初めて事の次第を知ることになるようです。
 故郷を離れ、身近に昔からのしきたりを教えてくれる方も見当らず、親も高齢化で友人知人も少なくなり、どのように見送ってあげられるか戸惑っている方が多いのも実情です。
 しかし、その団塊世代の戸惑いが従来通りのやり方に疑問を投げかけ、暗中模索の中にも自分流を断固実行される方も出てきています。
 直接故人とは関係ない方々にはご遠慮願い、親しい方あるいは家族親族のみで静かに見送りた
いと希望される方がここ1~2年目立って増えているようです。
 中には、葬儀・告別式を行わずご家族だけで火葬に立会い、後日お別れ会を希望される方もいらっしゃいます。
 ご遺族が密葬、家族葬と希望されても当日予定の何倍かの会葬者になってしまう現実もありますが、それでも徐々に家族葬への認識がマスコミやインターネットを通じて広がっています。
 先輩たちがずっと引き継ぎ、世間とのずれに目をつぶってきた画一的な葬儀の世界にも団塊世代の方々が納得でき、自分達に見合ったやり方を実行できる環境が近
年の情報化とあいまって急速に整いつつあるように思われます。

 
  
 

「お葬式無しで火葬だけでも大丈夫ですか・・・・」様変わりするお葬式事情

 このところお葬式の事情もかなり様変わりを見せているようです。
 つい最近まで一般の人達にとって葬儀に関する情報はマスコミによる通り一片的なことしか得る手段がなかったのですが、インターネットで個人的に情報をキャッチできるようになり、自分の生活に合ったやり方を模索し始めたように思われます。

 そのひとつに、葬儀無しで火葬のみの依頼が増えてきています。
 2年ほど前に葬儀社の担当者に伺った頃は「金銭的な問題以外の方には御霊を成仏させる意味からもゼヒお式の方もとアドバイスをしています」とのことが一般的でした。
 しかし、都会生活で隣近所との付き合い、親戚縁者との付き合いが薄れていく中、それぞれのご家庭の事情もあり、ご家族だけで見送りたいという方は「こんなやり方もあるのだ」とインターネットからの情報を得ていらっしゃるようです。
 先日の依頼者の方の場合はすでに在宅介護のお母様がお亡くなりになり、ご自宅に安置されいる状況での電話でした。以前お父さまのご葬儀の時親戚とのトラブルがあり、今回は妹さんとふたりだけで見送りたいのでお坊さんの手配も要りませんとのことでした。
 お母様を自宅で見守り、当日納棺されてそのまま火葬場にという流れになりました。
 
 正直「火葬のみ」は最後の手段かと思っていましたが、色々な状況を見ていくうちに、その思いも最近では「積極的にこれも葬儀のひとつのやり方ではないか」と変わって来ています。

花祭壇あれこれ

 仏式の祭壇には大きく分けて白木祭壇と生花で飾る花祭壇があります。
 近年特に使いまわしされる白木祭壇よりも、柩に手向けてその都度使いきってしまう花祭壇の希望者が増えてきているようです。
 お花の値段も一頃に比べ安価になり、価格破壊とまではいかなくても、かなりリーズナブルなものも出てきています。
 通常、葬儀社の担当者は依頼者に祭壇のパンフレット、アルバム等をお見せしておおよその感じをつかみ、花の種類、色、デザイン等の具体的なご要望を伺い、後は花屋さんにお任せするようです。
 ご要望の中には季節はずれのお花で取り寄せるのに時間が掛かったりあちこち探し回ったりと時間ぎりぎりまで担当者は悪戦苦闘することもあると聞きます。   
 昨年立会いに伺った中にも、時には故人の趣味を伺いスキーの雪山をイメージした祭壇創りをしたり、またご喪家がお花の師範の場合には八分通り仕上げたところで、最後をご喪家にお任せして大変感激されたこともありました。
 また、担当者の花の管理も重要です。特に正面にある百合の花などは通夜にはまだ少し蕾の状態で葬儀・告別式に咲くように室温調節をしたり、喪主花は家に持って帰るので他の花と違ってわざと蕾のものにするなどの気配りが必要になってくるようです。
 先日伺った葬儀社の担当者は「10年前花祭壇が一般的に出始めた頃は毎回花屋さんサイドとイメージの差が出て喧々諤々と大変でしたよ。今では隔世の感がありますよ」と感慨深げでした。