都立霊園の公募倍率は、平均11.6倍の狭き門です。

 不況にも強いといわれる媒体が新聞折込チラシです。事務局の板橋区に入ってくる新聞折込チラシを見ていますと、不動産やスーパー、家電量販店の量には到底及びませんが、墓地のチラシもよく見かけます。

 このチラシがどれほどの効果があるかはわかりませんが、長期間にわたって同じチラシが入っているところを見ますと、メディアが伝えるほど「墓不足」はそれほど深刻ではないように思われます。

 逆の現象では、2008年の都立霊園の公募倍率は、八柱霊園で19.5倍、青山霊園で15倍、都立8霊園の平均倍率は11.6倍で非常に狭き門になっています。

 国民生活センターのアンケート調査「お葬式とお墓について」(2007年実施)によれば、「もしもお墓を造る場合、重視するものは何ですか?」という質問に対して、「交通の便利さ」と答えている人が49%に達しています。

 自治体が運営しているという安心感や料金が安いというだけでなく、都市部にあり交通の便がいいという点が高倍率につながったようです。

 倍率が高く人気があるので公営墓地が一番いいのかと、一概にはそういうこともできません。公営墓地、民営墓地、寺院墓地にはそれぞれメリット・デメリットがありますし、まして、それぞれの家の事情も違っていることと思います。葬儀のようにあわただしくいろいろなことを決める必要もないので、お墓選びは後々のことまで考えて慎重に検討することが大事です。

これからのお墓選びはその人の生き方にかかってくる・・・。

 久しぶりのお墓参りや新盆で大忙しのお盆も終って、皆さん再び都会の雑踏に戻っていらっしゃいましたが、昨今、その菩提寺とのトラブルを耳にすることが多くなってきました。
 それもご葬儀を機に不満が頂点に達してしまい、双方気まずい雰囲気になってしまうケースがよく聞かれます。
 どちらかといえば古くからの檀家の方よりも、あたらしくお墓を買われた方や、1代前に買われた方からの不満の声の方が大きいようです。
 原因はそれぞれですが、古くからの檀家の方は昔からの家中心で、代々の墓を守る体制ができていますので、多少のことは目をつぶれます。
 しかし、新しい方は現在の菩提寺とのかかわりを重視するため、意見が合う合わないがトラブルの一因になってしまい、ご住職との相性が問題視されてしまっているように思われます。
 そのために、半永久的と思われていた菩提寺と檀家の関係も流動的になってきているようです。
 お寺サイドもそれを見通してか最近はお客様のニーズに応えるような積極性を見せ始めています。
 少子化やシングルライフの傾向に合わせるように永代供養形式の合同墓ができると、永代供養の限度の33回忌もご夫婦の後から来た方の33回忌に合わせて合葬するようにしたり、分骨でもお預かりしたり、宗派は問わず無宗教でも受け付けたりときめ細かな対応がされるようになってきています。
 生活様式も各人各様、お墓の選択はその方の生き方にかかってくる時代になっていくのでしょうか。
 
 

これからは墓石や刻まれる文字のデザインがポイントになる。

 最近のカラフルな公園墓地や墓石のチラシ広告を見ていると、10数年前、パリ市内の広大な墓地を走り回り、やっと見つけた天才バレエダンサー・ニジンスキーのお墓の前に持ってきたバラの花を手向け、絵になるお墓の写真を撮り捲っていたことが思い出されます。
 シンプルだけど黒御影石(?)のお墓は絶えることのないファンからのバラの花で埋め尽くされていました。辺りを見渡すと色々な形をした墓石が整然と並び、一見公園に迷い込んだような光景に日本のお墓とはずいぶん違うんだと感心したものでした。
 
 ところが、いつの間にか日本も公園のような墓地が出始め、最近では墓石も昔からの定形とは異なった自由な発想のものがあちこちに見られるようになってきました。
 墓石に彫る文字も従来の○○家之墓に取って代わって、好きな文字を彫り、家族の絆が深められる言葉が選ばれるようになってきたようです。
 団塊世代が60歳を前に、自身のこれからのことについて真剣に考えだしたのも一因といわれていますが、1億総サラリーマン化と核家族化で代々受け継いでいる「家」の概念が薄くなり、、あえて○○家を避ける方を選択しているようにも思われます。

永代供養の合同墓がトレンドになる予感は・・・

 最近とみにご葬儀後の相談を希望される方が増えて来ています。
 中でもお墓に関する問題を多く耳にします。
 面倒なことは後回しにとされてきたものが、急に現実みを帯びて慌てて相談されるようです。
 菩提寺があり、納骨もスムースに行かれる方は別にして、都会ではお墓を持つ計画も立っていない方が大勢いるというよりは益々その傾向にあるようです。
 お墓を持たない理由も様々です。お子さんがいないご家庭、いても一人娘で結婚し家を出て行かれたご家庭、離婚されれた方、結婚されていない方、お子さんに負担をかけたくない方、家族とは別に自分だけのお墓に入りたい方、お寺とはかかわりを持ちたくない方等々。
 お寺サイドもお子さんのいない方は供養ができないからとお断りするようで、お墓離れに拍車がかかってきたと思いきや、最近は合同墓の永代供養墓がにわかに脚光を浴び始めています。
 かっての合同墓は身寄りがない方をまとめて供養するというマイナスイメージの強いものでしたが、より積極的に安価で周りに気兼ねすることがないという現代生活にあった供養の選択肢として見直されているようです。
 合同墓といっても、様々な形態があり、最初から不特定多数の方とご一緒する場合と一体ずつ納骨され数十年後にご一緒される場合、また何年たってもずっと一体のままの場合があり、さらに気の合った友人と一緒に入ることができたりと生活にマッチした供養の仕方が日々さらに検討されているようです。

 そんな積極的な合同墓の話題が先日新聞に取り上げられていました。家族に頼らない女性の生き方を応援するNPO法人「SSSネットワーク」の活動の一環として、自分らしく今を生きる女性の落ち着き先を共同墓に見いだし応援していました。
 10年、20年先従来のお墓の概念も様変わりし、合同墓が当たり前の時代が来るかもしれない。そんな予感さえも感じさせる昨今です。
 
 

墓石を買う時、注意する事とは・・・・。

 「葬儀社の方にはご葬儀の後のことも相談に乗っていただけますか」
 電話やメールで葬儀の相談を受けた時、その後のことを心配されて尋ねられる方が増えてきています。
 特に都会生活では周りに相談できる適当な方がいらっしゃらないという事情もあります。
 もちろん葬儀社の担当者もご協力し、アドバイスいたしますのでご安心ください。
 ご喪家の方にとってはご葬儀も滞りなく無事終わり、ほっとする間もなく翌日からお世話になった方々へのご挨拶から遺品の整理、各方面への支払い、役所関係や遺産の手続き等と忙殺される毎日が続き、気がつくと49日が目の前に迫っていたという状態ですと皆さん異口同音におっしゃいます。
 49日には納骨をしたいのでとお墓を希望される方も多いようです。
 お墓に埋葬の時には墓石を彫る必要がありますので3週間前くらいには石屋さんに手配をお願いすることになります。
 お墓を買う時に気をつけることの一つに寺院墓地の広告で「過去の宗旨・宗派は問いません。仏事は寺住職が行います」と書かれていた場合の意味は、過去はどのような宗教であってもかまいませんが、契約する時はそのお寺の檀家になってもらいますということですのでご注意ください。
 また、石屋さんが販売し、バックに寺院が付いている墓地を購入の場合にも注意が必要とのことです。
 「宗派はかまわないですよ」といわれて購入したが、実際にはバックについている寺に改宗させられることが多いとは葬儀社の担当者の弁です。
 たとえば、法要、供養等で供物やお花を墓に供えたたままの状態で帰ってしまいますので、後の掃除や管理をしてもらうことになり、お寺からは「やっておきましたから」といわれ次第に申し訳なくなってきて、気が付いたら改宗していたということもあるようです。
 
 

「お墓に入りたくない人、入れない人のために」

 「お墓に入りたくない人、入れない人のために」(徳留佳之・著、はまの出版、1500円)という本を読みました。

 書名のとおり、お墓に入りたくない人や入れない人のために、お墓以外の選択肢を紹介しています。具体的には、散骨や樹木葬、手元供養などを詳しく解説しています。また、こうしたことが求められるようになってきた背景も整理し、そもそもお墓とは何なのかを問いかけています。
 関心がある方はどうぞ。

永代供養墓や合葬墓は、無縁墓の問題に対する一つの解決策と注目されています。

 今日は、お墓の問題と現在の傾向について書いてみます。

 少子状況とともにライフスタイルの多様化により、無縁墓の問題は切実です。継承者がいなくなっても、寺院や墓地管理者が責任を持って供養・管理を行うお墓である、永代供養墓や合葬墓が注目を集めています。

 そもそも、お墓を買うとは、お墓を立てるための墓所の使用権を取得することで、土地を買っているわけではありません。この使用権を一度取得すれば、その権利は継承できます(継承できる人を親族に限定しているところもある)。ただ、使用者がいる限りなので、継承者がいなくなれば無縁墓として処分されてしまします。

 要するに、墓地を使用する限り、永久に年間管理料を支払わなければならず、それを滞納すると無縁墓として扱われることになってしまうということです。結局、墓地管理者による一定の手続きを経て、その墓から遺骨は取り出され、墓地内にある無縁供養塔などに他の遺骨と一緒に埋葬されることになってしまします。

少子状況とともにライフスタイルの多様化により、無縁墓の問題は切実さを増してきています。

 こうした継承者の問題を抱えた人に、有効な解決法になりえるのが、永代供養墓や合葬墓です。

 NPO法人の永代供養推進協会は、永代供養墓を以下のように説明しています。
「お墓参りできない人に代わって、あるいはお墓参りしてくれる人がいなくても、代わりにお寺が責任持って永代にわたって供養と管理をしてもらえるお墓です。
一般的に他の人と一緒の墓あるいは同じ納骨堂に納骨されることから、合祀(ごうし)墓、合同墓、合葬(ごうそう)墓、共同墓、集合墓、合葬式納骨堂などとも呼ばれています。
 また個々のお寺によって、永代供養塔、倶会一処墓、永代納骨堂、生前個人墓、永代供養廟(びょう)、永代納骨廟、永遠墓など様々な名称がつけられています。」

要するに、継承者がいなくなっても、寺院や墓地管理者が責任を持って供養・管理を行うお墓のことです。ただ、これだけいろいろな名称で呼ばれていることからもわかるように、供養や管理の方式が墓地管理者によってさまざまです。

 永代供養墓や合葬墓は、その形態や遺骨の管理方法などでいくつかのタイプに分けられることができます。
たとえば施設の造りとしては、
・共有の納骨施設の上に、碑や仏像、仏塔などの建立物をたてたもの。
・個別の区画があり、その中に個々の墓石を設置したもの。
・屋内の専用施設内に用意するもの(納骨堂)

 たとえば永代供養墓への納骨の仕方としては、
・遺骨を骨壷から出してそのまま土に埋葬する。
・骨壷を一定期間だけ納骨壇などに安置し(たとえば33回忌)、その後に土に埋葬する。
・遺骨を分骨し、一部を一定期間安置し、残りの遺骨は埋葬する。

たとえば供養の仕方としては、
・彼岸やお盆のときに合同供養を行う
・年に1回あるいは毎月供養
・毎年の命日も供養
・公営の合葬墓では供養は行われない。

 このように、納骨や供養、管理の仕方もさまざまですので、それに応じて費用もさまざまになります。ほとんどの場合、個々の墓を造る場合の墓石代がかからないので、相対的には、費用は抑えられるでしょう。
 
 また、永代供養墓を運営するお寺の中には、生前に永代供養墓を購入した人同士の交流の場を作っているところもあったりします。

 いずれにしましても、それぞれの事情を踏まえて、さらには、それぞれ具体的な永代供養墓の特徴の2つを合わせて考えることが必要です。

 永代供養墓はさまざまな名称で呼ばれていると説明しましたが、また、そのように一般的に説明されている場合が多いですが、ただ一点だけ整理しておいたほうがいいと思うことがあります。供養があるかないかによる分類です。本来、永代供養墓は供養という言葉からもわかるように、お寺との関係に基づいています。公営の施設のように供養を前提としない合葬形式もありますので、永代供養墓の中に入れて考えるよりも、別に考えておいたほうがいいと思います。供養を前提にする永代供養墓と、前提としない合葬墓という具合にです。

 この分類が必要になってきたのは、公営墓地も時代の流れを受けて、継承を前提としない合葬式の墓地を新設しているからです。現状としては、公営墓地なので費用がかなり抑えられ、かなり需要はあるようですが、供給がそれに追いつかないというところです。

 また、墓地を管理する、お寺としては、檀家が増えるという見込みがないということから、永代供養墓をつくるところが多くなってきています。現在、NPO法人の永代供養推進協会が把握している永代供養墓は全国で329か所だそうです。
 何はともあれ、永代供養墓・合葬墓は、時代の流れを受けて、着実に多くなってきているようです。

 

 
 

ご遺骨を安置しておける施設が納骨堂です。

 当センターは葬儀社の紹介をするのですが、相談の中で葬儀後の納骨の話になることもあります。今日は、名前は聞いたことはあしそうですが、どういったところなのかよく知られていない、納骨堂について書いてみます。

 お墓や火葬に関する基本的な法律が「墓地、埋葬等に関する法律」(略して「墓埋法」と呼ばれています)です。
 その中に、納骨堂とは、「他人の委託を受けて焼骨を収蔵するために、納骨堂として都道府県知事の許可を受けた施設をいう」となっています。
 要するに、納骨堂とは、遺骨を安置しておくことができる施設です。

 納骨堂はもともと墓地に埋葬するまで、一時的に遺骨を預かってもらうといったものが多かったため、一般的には預かり期間が定められています。ただ、更新可能で期間延長ができる納骨堂がほとんどです。この延長線上で、最近では、納骨堂を一時的なものとはせずに永代供養の場として利用したいというニーズに応え、永代供養墓を兼ね備えた施設も出てきています。

 納骨堂自体は、コインロッカーのような形態が多く、抵抗を感じる人も多いようですが、最近ではそういった感覚も考慮した、立派なものも増えてきています。そのほか、仏壇の形になっているものや、通常のお墓と同じものが屋内に設置されている形態など最近では出てきています。

 また例えば、お墓がないので、骨壷を自宅に安置せざるを得ないと思っている人も少なからずいます。納骨堂という形態が一般的にあまりよく理解されていなことがあるのでしょうが、納骨堂は、このような悩みを抱えている人の選択肢のひとつにもなるでしょう。特に公営の納骨堂は、細かい利用条件などが付いている場合もありますが、利用できれば廉価です。
 納骨堂にも一般の墓地と同じように、公営や民営のものがあります。

 納骨堂は土地を効率よく使用しているため、都心部であっても比較的費用がかからず遺骨を納めることができるようになっています。また、屋内スペースなので雑草を手入れするなど掃除の必要もありません。
 ただ、反面、自分たちのスペースではないということから、お花や供え物を自由に行えなかったり、共同の参拝施設が設置されていて、供養はその場所で行わなければならないなどの制約もあります。

 預かり期間や形態だけではなく、管理や供養、費用も様々ですので、それぞれの事情を踏まえて、さらには、それぞれ具体的な納骨堂の特徴の2つを合わせて考えることが必要です。