無縁墓

 この春のお彼岸は、家族の都合が合わず、お墓参りに行けませんでした。
 やっと落ち着いてきたので、近いうちに行こうと思っています。

 我が家のお墓は比較的近く、休みの日に一人で行こうと思えば行けるのですが、やはり私が一人で行くよりも、息子に来てもらいたいのでは?と思い、なかなか休みが合わない主人との時間の調整中です。

 このお墓は長男が継いでいます。長男の子供は女の子が二人。
 将来、姉妹のどちらかが継いでいくことになるのだと思いますが、まだ若い二人。
 ましてや、まだ二人ともお嫁には行っていないので、そんな将来のことはまだ考えられないようです。

 私自身も二人姉妹です。
 実家のお墓のことが気になりました。
 私が20代の頃、霊園の石屋さんに、「お父さんとお母さんがお墓を建てたから、これからの補修はお姉ちゃんたちが頑張ってね」と言われたことを思い出したのです。
 お墓の石はまだまだずっと大丈夫だけど、周りの石はあと10年もしたら新しいのにしたほうがいいと。それからもう20年以上経っていますが、まだ当時のままです。

 このお墓、誰が守っていこうか。
 私の代はまだ大丈夫。姉妹で守っていけますが、この後が問題です。
 我が家も女の子が一人。お嫁に行ったら守ってもらえるのか・・・。
 まだ10代の娘は、おばあちゃん子というのもあり、「もちろん、私がやる」と頼もしいことを言ってくれるのですが、これもどうなることか。

 しきたりや核家族化など、様々な問題でお墓を守ってくれる人がいなくなってしまう状況。
 これからは更に増えていくのではないかと思います。

 私自身、どこのお墓に入るのか?お墓に入ることができるのか?という問題もありますが、今あるお墓を無縁墓にしないためにも、お墓参りの時にそんな話をしてみようと思っています。

海が好きでも。

 つい先日、グアムで散骨のセレモニーをしてきたという散骨の業者さんとお話しをする機会がありました。
ご遺族は、海軍の軍人だった故人様の遺言を尊重してグアム散骨を希望されたそうです。散骨用の船には、ご遺族・ご親族の皆様が乗船し、それはそれは感動したセレモニーだったと言ってました。

 日本の真冬の海は極寒で、荒れることもよくあるので、今の時期はよほどのことが無い限り散骨はしないそうですが、3月以降はけっこう予約が入っているとか。

 近年、有名人などの散骨がニュースなどで報道されたりすることも影響しているのかもしれませんが、自身の遺骨を散骨してもらいたいと希望する人が増えてきたそうす。とはいえ、遺志を遺したとしても実際に自分亡き後、散骨をしてもらえるのでしょうか。

 散骨や分骨に関しては、賛否両論で、さまざまな意見があると思います。自身の思いだけではなく、家族、親族など、周りの人の理解や宗教的なことも関係してきます。
 ただ、お墓を持たない、また、身寄りが無く、お墓を守る人がいないなどの事情がある人にとってはとても良い方法なのかもしれません。

 我が家でも、散骨は時々話題に出ることがあります。我が家は夫が次男のため、代々のお墓には入りません。となると…選択肢として散骨もありなのでは?
 夫も私も自分自身は散骨もいいなと思っているのですが、我が家にも反対者がいました。娘が猛反対しています。

 自分自身だけでなく、遺族の捉え方も大きく関係してくることだけに、散骨を希望する人は周りの人にきちんと理解してもらうことが重要なんだと、実感しています。

この地の新盆は第2のご葬儀とも呼ばれています。

 梅雨が明けたと思ったら、早くもお盆の季節がやってきました。

 お盆はその地により7月であったり、8月であったりと複雑ですが、実家の遠州地方は町内によって違うはめになり、新盆で伺う時には確かめてからでないと大変です。

 さて、皆様は「盆義理」という言葉を御存知でしょうか。
 子供の頃から耳慣れたこの言葉も、遠州地方独特のものであったことは、後になって知りました。

 この地の新盆は第2のご葬儀とも呼ばれ、新盆のお宅では祭壇や提灯を極彩色に飾りつけ、両脇に親戚一同からの籠盛がずらっと勢揃いする風景がご葬儀以上に華やかな様相を呈しています。

 飾りつけだけでなく、ご葬儀にお出になられた方は再び「盆供」と書かれた不祝儀袋を片手にお伺いする慣わしになっています。
 1年間にご葬儀で伺ったお宅をお盆の日にまとめて伺うため、あちこちで車の大渋滞が起こり、暑い日差しの中を黒服姿が目立つのも、いつか夏の風物詩のように、こちらでは捉えられているようです。

 ご葬儀に伺えなかった方も、「盆義理」に駆けつけることで義理を果すことができることになり、むしろに伺えないと義理を欠くことになるとご葬儀以上に気を使うのが、「盆義理」です。

 しかし、今年のお盆はいつもの年とは異なります。
 東日本大震災で命を落とされた方々の新盆はどのようにお迎えし、お送りされるのでしょうか。
 お身内だけでひっそりとでは寂しすぎます。
 せめてお盆の間だけでも大勢の知人友人と再会され、少しでも安心されて旅立ってほしいものです。

 そのためにも8月の旧盆には被災地の方々が是非「盆義理」を知って、出来るだけ多く取りいれてくれることを願っています。

ご遺体とその後の法要は…

 3月11日から早6週間が過ぎようとしています。
 依然として行方不明の方が多い中、少しの手がかりを求めて臨時の安置所になっている体育館や研修所へお身内の方を捜し回る御家族の姿をTVカメラが追いかけています。
 身元確認が急がれますが、益々困難になっていくのが現状のようです。
 それでも各方面からの支援も活発になり、少しでもお亡くなりになった時の状態でご家族に引き合わせたいと、関西からは大量のドライアイスが運ばれたというニュースを目にしました。

 その一方で、ドライアイス以上に活躍できると思われるエンバーミングの情報があまり浮上してこないのですが・・・。
 ご遺体の損傷を修復し、細菌の感染を防ぐ意味からも出来るだけ多くの方にエンバーミングが施されることを期待したいのですが、ご遺体が身元不明者でご家族の同意が出来ない場合は難しいのでしょうか。
 しかし、神戸の震災の時、エンバーミングを施したことにより修復され、身元が判明したという記事を目にしたことがありましたが・・・。

 先日は福島の原発近くで津波の被害に遭われ、お亡くなりになったお父様の法要のことで、お身内の方からお問い合わせがありました。

 ご遺体は地元で荼毘に付されましたが、ご遺骨は木箱に入れられ、菩提寺もお墓も全て流されてしまい、ご住職も東京に避難されている身が現状とのこと。
 ご遺骨を骨壷に移し、百か日忌には法要をしたいので、法要とお食事が出来るところのご紹介をと希望されていらっしゃいました。
 しかし、避難されていらっしゃるとは言え、菩提寺のご住職がいらっしゃいますので、まずはご住職のご指示を仰いだ上のご相談になる旨申しあげました。

 「何年掛かるか分らないが、必ず菩提寺のお墓に納骨しますので、しばらくの辛抱です」と電話口のお声が少しホッとされたように感じられました。

ご葬儀の仕方やお墓の建て方は分っても、それに伴うアクシデントの処し方が難しい・・・。

 あさがお葬儀社紹介センターには当センターの賛同社ご紹介以外のお電話も多々いただき、時としてお答えに窮するような場面もございます。

 「お墓のことで葬儀社さんをご紹介いただけますか」
 先日頂いたお電話ですが、どうやらご葬儀のご相談ではないようです。

 「公営霊園にあるお墓の納骨所(カロート)が一杯なので、どうしたらよいのか。カロートは下が土ではなくコンクリートなのでご遺骨がまけない。麻地を使ってご遺骨を入れる袋を自分で作らなくてはいけないのか。葬儀社さんの方で取り扱っていただけないものだろうか」とのご質問でした。

 公営霊園の事務所に伺っても6体まで収容できますとしかお答え頂けず、仏具屋さんもうちではないと言われ、困ってお電話されたとのこと。
 残念ながら葬儀社さんのお仕事の範ちゅうではないようです。

 カロートを開けるにしても石屋さんのご協力が必要になりますし、まずは墓石を作られた石材店さんにご相談されるのがよろしいのでは。石材店さんの方でご相談に見合った処理をお願いできると思いますのでと申し上げましたが・・・。

 また時に、普段触れることの無いお位牌の件でのご相談もございました。

 以前頂いた「白木のお位牌はどこで買えばよろしいのですか」との問い合わせには、思わず塗りの本位牌の間違いかと聞き返したこともありました。
 手元にはないので仏具屋さんで買えるのかとのご質問には少々慌てました。

 通常でしたら白木のお位牌はご葬儀の際葬儀社さんの方でご用意されるものですので、まずはご葬儀をされた葬儀社さんにお問い合わせいただくよう申し上げましたが、ご事情はあまりお話されたくないご様子でした。

 本来ならば、このようなご質問は地区やご親族の長老の方々にご相談されていたことでしょうが、都会では今や伺う術も難しい状況になってきています。
 情報が氾濫している昨今ではご葬儀の仕方やお墓の建て方は分っても、それに伴って起きる事柄やアクシデントに対処する術が見つからず、困惑されてご葬儀関係のところあちこちにお問い合わせされていらっしゃいますが、なかなかずばり回答は難しいようです。

ご葬儀と一緒にお墓の問題も・・・。

 朝のテレビの画面では墓石の山が無残な姿で大写しされていました。
 墓石の文字を消さなければ産業廃棄物としても処分できず、2トンもの墓石が不法投棄され、地元の困惑ぶりが話題になっていました。
 石材店に問題がありますが、背後には無縁仏の処理の問題等も含まれ複雑な様相も覗かせています。

 ご先祖様が静かに眠るお墓も時として騒動の渦中に巻き込まれ兼ねないようです。
 お墓の問題はまたご葬儀と直接・間接に結びつき、最近ではお受けする事前相談でも事後の問題としてご葬儀と一緒にご相談に乗ってほしいとのご希望をいただくことも度々です。
 中には改葬を希望される方もあり、その原因は菩提寺とのトラブルの悪化から宗派を間違えた購入まで様々です。

 最近お受けした相談でも、お父様が購入された寺院墓地の宗派が間違っていたことが判明し、買い替えたいとのこと。お父様の万が一の時と合わせてご相談できるところをご希望されていらっしゃいました。
 一般的にはお墓を購入しても住宅とは違い、土地を所有されたということではありませんので、更地にしてお寺にお戻しすることは出来ても、買戻しは難しいようです。
 ただし、まだどなたも納骨されていないので、お寺さんとの交渉次第で事態は変わってくるかもしれません。
 事程左様に改葬1つ取り上げても、一筋縄ではいかない場面も出てくるようです。

 16日はお盆の送り火がおこなわれます。お盆にいらっしゃったご先祖様皆様が無事お墓にお戻りになられますように・・・。

明烏、首ったけ、五人廻し、廓大学等々、かつてお墓に葬られた名前です。

 散歩にいい季節です。
 先日、ラジオで落語家の方がお墓めぐりの話をされていました。
 大先輩のお墓を自転車でお参りするのが趣味との由。
 お墓の前で一席伺ったのかどうかは聞き漏らしましたが、落語家のお墓で思い出しました。
 15~6年前お寺の境内めぐりをした時伺った中に「はなし塚」というお墓がありました。
 こちらはお墓はお墓でも人間様のお墓ではありません。
 日本が戦争に突入する直前、当局により落語界は演目についての自粛を要請され、廓、花柳、お酒、妾等に関する53演目を禁演して「はなし塚」を建て、その演目を葬ったのでした。
 戦後いち早く復活祭が行われ、艶っぽいお話は掘り起こされ、平成14年から毎年8月31日には「はなし塚まつり」が盛大に行われているとのことです。
 このはなし塚のある浅草・本法寺の塀には落語家の名前がまるで手形を押したようにびっしり書き込まれていますので、知った名前を探し当てるのも一興かと・・・。

 艶っぽい話だけではなく、お寺の境内では美人の碑もよく見うけられます。その代表が谷中の大円寺にあります江戸3大美人の1人と言われたお仙さんの碑。
 かつて毬つき唄にまで唄われた茶屋の看板娘は、当代きっての浮世絵師・鈴木春信描く美人画「笠森阿仙」のモデルとなったとのこと。
 現代のグラビアアイドルにも引けをとらせません。
 はるか昔に想いをはせながら、境内やお墓めぐりで一汗かくのもいいものです。

女友達のつぶやきetc.

 癌の転移を心配していた友人は2ヶ月近くの検査からようやく開放され、さすがにほっとした様子。
 久しぶりの笑顔に一安心。
 お互いの近況報告で始まる挨拶もいつの頃からか定番化してしまったようです。
 
 介護問題から100歳で大往生された知人のお母様の話までエトセトラ、エトセトラ。
 このお母様はご家族・ご親族の方々が見守る中静かに眠るように永眠され、看取った人達が皆幸せな気持ちにさせられたと聞かされ、友人は若くして亡くなられたご両親を思い、にわかに我が身の行く末が気がかりなってきた模様です。
 
 ご両親の兄弟もすでに他界され、姉妹2人だけの生活は一見快適ですが周りを見渡してどちらかがいなくなった場合も考慮する必要を感じ始めたようです。
 1人になった場合、本人に代わって生活にかかわる手続きをして貰える成年後見制度の利用を妹さん共々考慮中とのこと。友人の様に親・姉妹がいなくなった場合は後見してくれる人を前もって自分で選んでおく任意後見になるようです。

 次なる問題は姉妹だけの為お墓の管理をどうするか。ご両親と自分達のお墓の行く末は・・・。これは永代供養をお願いすることになるでしょう。
 早速取り寄せた永代供養墓のパンフレットでは33回忌まで供養・管理され、以降は一部を供養塔に納骨され、残りのご遺骨は合葬区画に埋葬し合同で供養され、お1人60万円ほど掛かるとのこと。両親の墓も移して〆て4人で240万円・・・。
 女友達の呟きはまだまだ続くようです・・・。

皆さん、菩提寺との関係は良好ですか・・・?

 電話で事前相談をいただいた依頼者の方から突然、「菩提寺のご住職を葬儀に呼びたくないんですが・・・。父はご住職と仲違いしているんです。」と切り出され、一瞬言葉を失いました。
 しかも菩提寺は都内にあるとのこと。
 遠方ならそれを理由にこちらで手配できますがお近くとの由。
 納骨の時のゴタゴタをよく耳にするため、間に人が入って中を取り持つことは出来ないのか。
 「それが父の遺言なんです」
 そう言われては従わざるを得ません。
 「親戚をダシにして、妙案があるのでなんとかなります。それに関してはこちらで責任を持ちますから」
 そのためには葬儀・告別式なしの直葬にされたいとのご意向でした。家族・親戚だけ
で静かにそっと見送りたいと。
 一抹の不安を感じながらも読経なしの直葬の概算見積りをお渡しいたしました。

 先祖代々のお墓を守っておられる方、また新に墓地を購入し檀家になられた方、皆さん、お寺さんとの関係は大丈夫でしょうか。
 
 昨年末には、葬儀・告別式の読経をドタキャンされた例もありました。
 お墓を買って檀家になりまだ1年足らずのご喪家、ご住職にとってもご葬儀が初めてのお披露目になるはずでした。
 通夜は無事済みましたが、翌日のご葬儀時間になってもご住職は現れず、連絡もとれずじまいの状況で、ご出席頂いた方々にはとりあえずの形でご焼香のみを済ませていただきました。
 結局、最後まで姿を見せなかった理由がお寺の留守を預かる方が来なかったからとのこと。お互い意思の疎通があまりにも欠けていた例になります。
 この後、ご喪家がお墓を引き払ったのは言うまでもありません。

 ご葬儀は疎遠だった菩提寺とお付き合いの機会を与えてくれるご先祖様の計らい(?)かもしれません。
 ご先祖様の供養のためにも末永いお付き合いを・・・。

 不景気風は何処へやら・・・?。団塊世代のお墓探しが始まった。

最近、朝刊のチラシに霊園の広告が目に付きます。
 碁盤の目のように綺麗に区画化され、太陽がサンサンと降り注ぎ、花と緑に囲まれたヨーロッパのガーデニングをイメージした霊園は、自然に足が向くような雰囲気作りで満載のようです。

 テレビのニュース番組でも最近のトレンドとして取り上げられていました。
 世の中不景気風が吹き荒れているばかりではないようです。
 横浜近郊の霊園経営者のご住職は予想以上の売れ行きと目を細めていました。
 その理由として、団塊世代の購入が目立つとのことです。
 高度成長期に地方から都会に出てきた団塊世代が自分達のこれからのこととして考え始めたようです。
 田舎には先祖の墓地があるが、都会に出て田舎に帰るつもりはないため、こちらにお墓を移したい方。
 また、地方出身の次男・3男で、生まれ故郷ではなく自宅のある近郊にお墓を求める方と様々です。
 故郷を離れても、お墓を守っていくという日本人の意識は世の中の景気には左右されないようです。
 しかし、霊園経営者も需要を見越して土地さえあれば開発が無限に出来るというものでもなく、 周りの住民の方々とのあつれきが出てきたり、そのために市の規制が一段と厳しくなってきたりとそれなりに限定されてきているようです。
 霊園墓地の需要が高まる一方で、後を託す子供がいなかったり、子供達に負担をかけたくない方々は先祖からの「何々家の墓」にとらわれることなく、ご夫婦2人だけの墓を管理を含めて委託するケースも増えてきています。
 この場合は後からお亡くなりになった方の33回忌が済むとご夫婦とも共同墓の方に移され、供養されます。

 これからは益々身の丈に合ったお墓探しが主流になることでしょう。