葬儀社を選ぶことは大切です。

 つい先日、9月1日に国民生活センターおよび全国の消費生活センターに寄せられた相談件数が更新されました。2009年から2014年7月31日までの相談件数が年度ごとに集計されているのですが、この5年間で平均すると1年あたり約697.2件とのこと。
 ちなみに、2006年に公表されたものは、1996年から2006年までの10年間の集計で、一年あたりの平均件数が167.7件でした。
 現在の相談件数は2006年に公表されたものの約4倍以上という計算になります。

 数字で見たときは確かに驚きましたが、トラブルになるような葬儀社が増えているというよりは、消費者側の葬儀についての関心が高まってきたからではないかと思います。
 以前は「葬儀とはこういうものだ」と無理やり納得せざるを得なかったようなことも、今では消費者も多くの情報を簡単に取り入れることができ、相談できる所も容易に見つけることが出来るようになったことなどが件数の増加につながっているのではないかと思いました。(もちろん、増加の理由はもっと深いものもあるのだと思いますが。)

 センターでも、「過去に行なった葬儀でひどい思いをし、今度は同じような思いをしたくないので相談しました」というようなご相談や、ときには「先日行なった葬儀でこんなことがあったのだが、このような苦情を聞いてくれる場所はありませんか」など、過去に経験した葬儀で後悔された方からのご相談をいただくことがあります。
 私自身が受付けたご相談では、費用面でのトラブルというよりは、担当者の対応が悪かった、ご遺体に対する扱いがひどかった、など、葬儀社の対応面について不満を持たれた方からのご相談が多かったのですが、内容については良く聞くようなことで、また、国民生活センターのサイトに一部掲載されていた最近の事例についても、目新しい内容のトラブルという感じではなく、よく耳にするようなトラブルが事例として書かれています。

 確かに10年前よりは良心的な葬儀社が増えてきていると思います。ただ、一部にはまだご依頼者が後悔してしまうような対応をする葬儀社もあるという事実がある以上、葬儀社を選ぶことは重要なことだと思いますし、センターでもこの相談件数が少しでも減るように努力していかなくてはと改めて感じました。

事後のご相談

 身内の方の急なご逝去で、どのように葬儀社を探したらいいのかわからないという事後のご相談は少なくありません。
今まであまり考えもしなかった葬儀のことが突然目の前にやってきて、何もわからない状況でいきなり葬儀社を選ぶということが、ご遺族にとってどれだけ不安で大変なことなのか、この仕事に就いて以来、いつも感じています。

 ご依頼者のご要望にあう葬儀社を抽出するために、ご要望や条件などをお伺いするのですが、急なことでまだ家族とよく話し合っていないなど、電話口の方だけでは判断がつけられないことも多く、お聞きした情報とわかる範囲での話しの内容などをご相談者と一緒に整理したうえで葬儀社を紹介しています。

 以前、一人暮らしの方が自宅で亡くなり警察に安置されている状況で、遺族はこちらに来る準備はしているが、田舎から出てくるので到着するのは夜になるだろう。遺族が到着したらすぐに葬儀社と連絡がとれる状況にしておいてあげたいというご相談を受けました。ご相談者は故人様のご友人で、葬儀自体の詳しいことはご遺族じゃないとわかりませんが、直葬で、ということと、喪主を務める方がまだお若いとおっしゃっていたことから、火葬のみという小規模なご葬儀でも熱心に丁寧な対応をしてくれる社を紹介させていただきました。
 後日、喪主を務められた方からいただいたアンケートのご回答には、「急死のため家族皆がパニック状態の中、担当者さんが冷静に親身になって私たちのことを考え、無事に告別式を終えることができて、ありがたく思っています…最後まで私たちを気遣ってくださいました。ありがとうございましたと伝えてほしいです。」と、担当者への感謝の言葉が書かれていました。

 直葬のご葬儀でも、ご遺族の状況やご要望は、「とにかく費用を抑えたい」や、「家族だけで見送るので直葬にしたいが、費用はかかっても手厚くやりたい」など様々で、葬儀社さんの特徴も様々です。

 事後のご相談で、少ない情報の中でもご相談者のご要望に合う葬儀社をスピーディーに紹介できるよう、これからも勉強が続きます。

混乱してしまう前に…。

 最近は、「調べもの」というとまずインターネットで検索します。
エクセルやワードの使い方でちょっと躓くと、すぐに検索。すると、必ずと言っていいほど私と同じ状況で躓いて解決した人や、それらの類に熟知した人がネットで記事にしてくれていてとてもスピーディーに解決できるので、本当に助かります。

 テレビやブルーレイレコーダーがトラブルに陥った時にも、同じ症状で質問している人がいて、それに回答してあるとおりにやってみて、無事回避できたことが何度もあり、本当にありがたく思っているのですが、最近趣味で始めたことを、専門の教室に通わず、インターネットで習得しようと色々調べていて困ったという経験をしました。

 検索すると、実にたくさんのサイトが出てきて、調べ甲斐があるのですが、「人によって、言っていることが違う」ということが多々あります。ゴールは同じなのに、その過程が間逆で、一人のひとが「これはやってはいけない」ということを他の人は「この方法が一番いい」と言い、その行きつく先のゴールは両方とも成功・・・。
 約2カ月かけて調べた結果、結局よくわからなくなってしまい、それなら、どっちでも大丈夫なのかと、実際自分で試してみると、「やってはいけない」と言うほうは、やらなきゃよかったという結果になって後悔したり…と、結局、調べたり、実際にやってみたりすることに使った時間と労力と材料代を考えると、基本の部分はきちんと専門の教室でプロに教えてもらった方が良かったのかもしれないと実感しました。

 最近、葬儀のご相談でも、インターネットで色々お調べになっているうちに、混乱してしまい、よくわからなくなってしまったなどで、当センターに改めてご相談される方が増えています。
 私も、インターネットで色々な葬儀社さんのサイトを拝見させていただいていますが、日々葬儀のことに携わっている状況にいても、たまに「??」と思うことに出くわすことがあります。これを葬儀について調べ始めた人は「?」と思わずに受け入れてしまう可能性もあり、調べ続けていくことで更に多くの情報が入ってくるわけですから、混乱されてしまうのも仕方のないことだと感じています。

 ご自身が安心できるところにすぐに出会えることが一番だと思いますが、調べ過ぎて疲れてしまう前に、ご自身が信頼できると感じる「教えてくれるところ」に聞いてみるのは安心できることにつながる近道になるかと思います。

ご葬儀には必要かつ適切な情報が求められる。

当センターではご相談者からのメールと電話でのやりとりで、ご要望に合ったセンターの賛同葬儀社さんのご紹介をしております。
  同じご葬儀のご相談でも電話とメールでは時として大分おもむきが異なってきます。

  電話ではご紹介の他に、ご葬儀全般よろず承りの感が無きにしも有らずというところです。

  先日も、ご葬儀を明日に控え、契約も済ませてしまったが、どうしても納得がいかず、まずはお話を聞いてくれないかと喪主に代わってご親戚の方から電話いただきました。
  サジェスションしてさしあげるタイミングも掴みにくい程、葬儀社の担当者への不満が一気にヒートアップし、お話は延々と続きます。

  お尋ねした見積りの合計額は飛びぬけて高いわけではないようですが、お話をお伺いしていると、担当者のバックマージンの問題が随所に頭をもたげているようです。

  実際は担当者から紹介されたご導師ですが、会社にはご喪家が探してきたことにして、お布施を幾いくら払ってくださいと指定され、白木祭壇も見積りの価格と異なったものだが、他との調整を計るからと言い含められ、ご自宅にご安置されていた故人様は湯灌よりもエンバーミングを勧められて、1日早く斎場に搬送され、斎場でのお布団代を請求されたとの由。

  ご相談者が担当者に問いただすと、脅迫まがいの言葉が返ってくるので、ひたすら穏便にご葬儀が終ることを祈るばかりとのこと。
  お話はまだしばらく続きましたが、ふと我に返られご様子で、明日の通夜の準備もありますので・・・と電話は切れました。

  また別なお電話では、開口一番「ご葬儀ができる斎場を紹介してくれないか」との問い合わせをいただきました。
  いきなりの葬儀斎場のご相談でしたので、ご事情をお伺いしたところ、お身内の方が先程病院でなくなられたので、斎場を探していらっしゃるとのこと。
  斎場がご葬儀まで全て執り行ってくれると思われていたご様子です。
  もちろん、自社斎場をお持ちの葬儀社さんはいらっしゃいますが、多くの葬儀社さんは公営、民営の貸し斎場をご利用されており、搬送から火葬までご葬儀を執り行うのは葬儀社さんの受け持ちです。

  最近はご葬儀に関する情報が、インターネット上では一見氾濫しているように見えますが、現実はまだまだ、発展途上が現状のようです。

  これからご葬儀をされる方の判断材料になるよう、必要かつ適切な情報を当センターもご葬儀の事例を通してお送りしておりますので、お目を通していただければと存じます。

第1のハードル

  「本当はこれからですが、まずは大きな安心を得ました」
 1つのハードルを抜け、ほっとされているご様子が手に取るようで、ご報告をいただいたこちらも思わずうなずき返してしまいました。

 当センターではホームページのご相談フォームにお問い合わせをいただくと、ご葬儀に関するご質問やご要望にお答えし、さらにご要望に見合ったセンターの賛同葬儀社さんから見積りをお取りして、賛同葬儀社さんのご紹介とともに見積りをお送りしております。
 しかしながら、概算のお見積りや葬儀社さんのホームページだけではご満足いただけない場合も出てきますので、お時間が許せば出来るだけ見積りをお送りした賛同葬儀社さんの担当者と、直にお会いしていただくことをお勧めしています。

 担当者と面談をされ、担当者の人となりもさることながら、さらに詳しく具体的な説明をお聞きになることで、場合によってはご葬儀内容の修正をされ、再度見積りをお作りになられる場合も出てきます。
 
 さらに、最近ではインターネットを中心に、様々なご葬儀の情報が飛び交い、必要に迫られて急いで資料を収集されたが、かえって混乱され、立ち往生の状態でご相談をされるケースも目立ってきているようです。
 冒頭の言葉はそんな経験をされた方からご相談フォームにお問い合わせをいただき、メールでのやりとりの後、ご紹介した3社の内、第1候補に選んだ葬儀社さんの担当者と面談をされ、信頼できると確信されて、その場でお決めになられた時のご報告でした。

 実際のご葬儀は1週間ほど先になりましたが、混沌とした闇の中からの一条の光は大きく、万が一の際のお気持ちの大きな手助けになられたようです。

 以前、アンケートをいただいたお手紙の中で、お父様のご逝去1週間前にためらいながらお電話でのご相談をされた方から、お母様と交代で病院に行くのが精一杯で非常に不安な時でしたが、「いつでもまたお電話をしてくださいとおっしゃっていただけた安心感が、あさがおさんにお任せする覚悟になりました。残りの数日は父を看取ることだけに気持ちを集中することができましたので、本当に相談させていただいて良かったと思います」とご報告いただいたことが思い出されます。

お気軽にどうぞ。

 葬儀の内容を決める、葬儀社を決めるということは、ほとんどの方にとって、あまり経験をすることではないことだと思います。
 複雑なご葬儀ごとも、ホームページを検索すれば、ある程度の情報は得ることができますし、地元の噂や知人からの情報も頼りになるものだと思います。
 しかし、ご葬儀ごとについては、その地域の習慣や細かい決まりごと、許されること、守らなくてはいけないこと、自分で決めなくてはいけないことなど、とても多くの情報の中からご自身の環境や状況に当てはめて考えなくてはなりません。

 先日、当センターのホームページをよく読んでいただいているという方からのご相談がありました。「ここにはこのように書いてあるが、自分はこうではないので、この場合はどうしたらいいのか」、「これはこのようにしなくてはいけないのか」など、ご自身の状況に当てはめたときに、疑問に思われたところのお問い合わせでした。
 「こんなことを聞いていいのかわからないんですが」とか、「常識的なことなのかもしれないんですが」と、少し気にされながら、ご自身が気になるところ、わかりにくいところをご質問されました。

 聞いていいのかわからないようなこと、常識的なのかもしれないけどよくわからないことこそ、恐らく多くの方が「気になっている」ことなのかもしれません。
 
 センターにご相談いただく際に、「こんなことを聞いたら恥ずかしい」などを気にする必要は一切ありません。
 また、まったく情報のない状況でのご質問でも大丈夫です。

 小さな疑問やご自身の状況の場合はどうなのかなど、お気軽にお問い合わせいただければと思います。

ネットで検索

 「インターネットで葬儀社を探していたが、たくさんありすぎてよくわからなくなってしまったので、どこか紹介してほしい」や、「この葬儀社がよさそうだと数社ピックアップしてみたけれど、ホームページだけでは会社のことまではよくわからないので…」というご相談が増えています。

 インターネットで「○○区 葬儀」などで検索すると、本当に多くの葬儀社がヒットします。それをひとつひとつ、比べながら見ているうちに、だんだん混乱してきてしまうのでしょう。

 先日、ご依頼者様からいただいたアンケートでは、「○○市の検索で出てこなかった会社だったので、紹介していただいて本当によかった」と書かれていました。
 この方も最初はご自身で葬儀社を探していらっしゃいましたが、たくさんありすぎてさっぱりわからなくなってしまったとのことです。

センターからご紹介させていただく葬儀社さんの中には、自社のホームページを持たない葬儀社さんもありますし、検索で上位には上がってこない葬儀社さんもあります。

 センターでは状況やご要望をお伺いし、内容を整理してからご相談者様のご要望に適した葬儀社さんをご紹介させていただいていますので、ご要望とうまくかみあえば上記のような葬儀社さんと「ご縁」がつながるかもしれません。

 人によって、「いい」と感じること、「よくない」と感じることは様々です。
 事前に葬儀社を選ぶにあたっては、インターネットなどの口コミや評判での「いい」「よくない」はご参考程度にとどめておいて、ご自身に「合う」か「合わない」かで判断されることが大切なのではないかと思います。

臨機応変の罠

 ご相談者の状況や希望されることも様々です。ですので、われわれの対応の仕方も、相談者の意向や不安に思われていることをくみ取りながら臨機応変にならざるを得なくなります。ただ、臨機応変というと聞こえはいいですが、相談する人にとっては見通しがつきにくいので相談しにくいという面もあると思います。

 そこで、ざっくりと見通しがつけやすいように、昨年末から、サポート事例というのを作り始めました。現在、内容の構成についてもっとわかりやすいようにできないかと試している段階です。今後事例はどんどんたまっていきまので、参考にできるようなものを見つけてもらうことができぐらいにはしたいと思っています。

 事例はすべて具体的な内容ですが、見通しがつきやすいようにという目的から逸脱して、複雑になりすぎないように、ご相談者が知りたいようなポイントに絞って構成していくつもりです。

 当センターにいつコンタクトしたのか? どんな状況で? 誰が? 葬儀社紹介の方法は? 実際葬儀社とはいつコンタクトしたのか? 見積もりはいつ作成されたのか? いつ葬儀社が決定されたのか? 搬送やご安置はどうなったか?

 というような感じです。ご相談者がサポート事例を見て、不安が少しでも解消されるようになればと思っています。

情報洪水の中で方向を見失わないために

 インターネットは便利です。その気になれば一日で、葬儀のことや葬儀社の大量の情報を収集することができます。
 
 となると、大量の情報をもとに適切な判断が導かれると思われそうですが、そう簡単なことではないことは、インターネットで情報収集をしたことのある人なら分かってもらえると思います。

 情報収集をすればするほど、かえって混乱してしまうというのが正直なところではないでしょうか。

 大量の情報に振り回されないための方法は、私の思いつくところ、情報収集する目的を明快にしておくこと、そして、質の低い情報は捨てていくこと、だと思います。

 質の高い低いを判断するのもわかりにくいのですが、結局、その人のその時点での問題意識と見識にかかってしまいます。ただそれでも、情報洪水の中で方向を見失わないためには、その人にとって質の低い情報を捨てていくことだ思います。そうしないと、情報をただ集めることだけが目的になってしまったり、情報を集めて満足してしまったり・・・となってしまう可能性が大です。

 しかも悪いことに、情報を提供する側の多くが、情報を収集する人の意識に合わせて情報提供しているとは言えず、自分たちの都合で情報提供しているのですから、わかりにくさも倍増されている現状が追い打ちをかけています。

葬儀や葬儀社情報をインターネットで集めてみると

 インターネットは便利です。その気になれば一日で、葬儀のことや葬儀社の大量の情報を収集することができます。
 
 となると、大量の情報をもとに適切な判断が導かれると思われそうですが、そう簡単なことではないことは、インターネットで情報収集をしたことのある人なら分かってもらえると思います。

 情報収集をすればするほど、かえって混乱してしまうというのが正直なところではないでしょうか。

 大量の情報に振り回されないための方法は、私の思いつくところ、情報収集する目的を明快にしておくこと、そして、質の低い情報は片っ端から捨てていくこと、だと思います。

 こういう言い方もできます。質の低い情報を見分ける眼を持っていないと、大量の情報に混乱させられてしまうということです。この眼をもってはじめて意味ある情報収集が可能というところでしょうか。

 それゆえ、葬儀のことや葬儀社の情報は、そのときになって収集する類の情報なので、わからなくて当たり前だと思うのです。しかも、情報を提供する側の多くが、情報を収集する人の意識に合わせて情報提供しているとは言えず、自分たちの都合で情報提供しているのですから、わかりにくさも倍増されているのが現状でしょう。