ここ2週間ほど時間のある時に、「ザ・コピーライティング」(ジョン・ケープルズ著、ダイヤモンド社、3200円)という本を読んでいました。
書名からして広告関係の人が多く読まれるのでしょうが、広告関係の人だけに読ませておくのはもったいないような本です。
インターネットが普及し、誰でもほとんど無料で情報発信できる環境にある現在、不特定多数の人に向けて言葉を発する機会のある人には、参考になる事例が山のように詰まっている本です。言葉の持つ力を改めて知ることができます。
現在オグルヴィ&メイザーとして知られる国際的大手広告会社をつくった、デイヴィッド・オグルヴィをして、「この本は間違いなく、いままでで一番役に立つ広告の本である」と言わしめました。
ケープルズは、「私がピアノの前に座るとみんなが笑いました。でも弾き始めると――!」の名コピーを考え出した人です。今から80年ほど前、音楽学校の通信講座のコピーとしてです。
ただ、名コピーを生み出す能力もさることながら、ケープルズの本当のすごさは、オグルヴィの次の言葉がよく表しています。
オグルヴィは、「成功(最大限の費用対効果)へのカギは、広告のあらゆる要素を絶えずテストすることにある。」を、ケープルズから学んだこととして一番先に挙げています。
要するに、例えばどのコピーがいいのかは実際にマーケットにきいてみて、その結果だけを重んじるという一貫した姿勢です。テストを繰り返して効果を検証するという手法です。(もちろんマーケットにきくべき材料は用意しないといけませんが)
どの業界でもそうでしょうが、競争の激しさや不況のせいなどと言い訳をしてみたところで、事業が継続・成長できないのは、マーケットに支持されないという厳然とした事実と重なって思えました。