コロナと葬儀と・・・。

 今年も桜の花が見事な枝ぶりを見せていましたが、例年と違い花の下には人っ子一人いないという異常状態が続いています。

 コロナウイルスの影響はジワリと日常生活のあらゆるところに出始め、人が集まる御葬儀も例外ではありません。

 御葬儀で集団感染が確認されたとの情報も入ってきています。

 御葬儀担当者のお話では通常の通夜・告別式から通夜を省いた1日葬になり、親しいご親族の方もご遠慮いただき、マスク着用の御家族のみでお見送りされる、文字通りの家族葬を御希望される方がほとんどになってしまわれたとのこと。

 通夜と精進落としのお食事もお持ち帰りのお弁当に変更されている状態との由。

 また、別な葬儀社さんではお式を省いた直葬希望が多数を占めてきた御様子とも伺っています。

 一方、コロナウイルスで御逝去された方の場合は法廷伝染病扱いになり、通常は御逝去から24時間以上経たないと荼毘に付すことはできませんが、法定伝染病の場合は24時間以内に荼毘に付す必要に迫られます。

 病院の指示に従い搬送車等の消毒、運転手を始めご遺体にかかわる関係者の防護服の着用、霊安室の消毒等も義務付けられ、ご遺体は非透過性納体袋に入れられたまま、御家族との最期のお別れも、棺に入れるお花入れもままならない状態で荼毘に付されてしまいます。

 ご遺体の搬送先は伝染病での設備がいろいろと整っている霊安室に限られてくる為、現状では病院から直接病院付きの葬儀社さんが担当される場合が多いようにも伺っています。

 葬儀社さんの中には今後さらにコロナウイルスの感染が拡大し、設備等の問題で対応しきれない状況が出てきた場合、病院サイドでどこまで対応していただけるか心配されている方もいらっしゃいます。

 御葬儀だけは時期が選べません。

 最期のお別れもままならない現状が、1日も早く終息することを祈っています。

ベテラン担当者の心遣いと気遣いに感謝

 明日から連休に入るという前の晩のことでした。

 永年音信不通のお兄様が危篤状態との連絡をいただいたが、どうしたらよいものか。

 お兄様は生活保護を受けていらっしゃるとの事ですが、福祉事務所は連休に入り、生活場所も離れており、お世話になっている民生委員の方やケースワーカーの方もどなたか分からない状態で、どう対処したらよいのか。

 また、相談者自身も最近まで生活保護を受けており、現状ではお兄様のお引き取りもままならない状態で、途方に暮れているとの切羽詰まったご相談をいただきました。

 早速に当センターの賛同社の中にお兄様のお住まい近くで、永年民生委員をされている方がいらっしゃいましたので、問いあわせたところ、地域のケースワーカーの方をご存知との事で快く引き受け、連携を取っていただきました。

 御葬儀の後、ご相談者からは御紹介した賛同社の担当者には不安を取り除き、親身になって助言や対応方法を色々教えて頂き、感謝してもしきれませんとの熱いメッセージが寄せられ、御紹介した当方も思わずほっと安堵したものでした。

 また、誕生日3日前に病院にてご逝去された魚屋さんの御主人は、御家族のたっての願いで、最後の誕生日を御自宅でお迎えになられました。

 都内の下町商店街にて長年魚屋さんを営んでおられた御主人は、お誕生日までの3日間、商店街のお仲間達に囲まれて、お一人お1人と、様々な形で最期のお別れをされたご様子です。棺の脇に大きな立派なケーキが飾られているのに気付いた葬儀担当者は少しでも皆様の思い出になるようにと写真に収め、棺の傍らに飾られたとの事。

 お誕生日のケーキは御家族の皆様にとりましても特別なものの一つになられたようです。

 御葬儀当日、お父様が大切に保管されていた大漁旗が見つかり、式場に届けられたのは御葬儀間際となってしまいました。

 お時間が無い中、担当者のとっさの判断で棺全体を覆う形にまとわれた鮮やかな大漁旗は、お父様の旅立ちにふさわしい装いとなり、御会葬の方々からも口々にお褒めの言葉を頂いたとの由。

 御家族の皆様は初めての御葬儀でお気持ちの余裕がなく、担当者のちょっとした気遣いに大変感激された御様子との御報告を頂きました。

 お身内だけの小ぢんまりした御葬儀が多い昨今ですが、ご喪家のお気持ちを汲んだベテラン担当者のさりげない気遣い、心遣いが御葬儀の良し悪しを決める大きなポイントにもなっているようです。

マスクと桜

 今年は桜の開花宣言が例年になく早く、テレビでは早くも満開になった桜並木を大勢の人が全員マスク姿で右往左往し、とどまることなく歩いている一種異様な光景が映し出されていました。

 かつてのアンダーグラウンドの芝居のファーストシーンを彷彿させるような異様な光景に、観客サイドの我々は展開するシーンがどの方向に進むのか予測が付かず、ひたすら固唾をのんで見守って行くしかないのだろうか・・・。

 毎年の開花予想に一喜一憂するこの桜は日本人にとって花にまつわる思いの中でも群を抜いている様です。

 以前、3月末に対応した御喪家の御葬儀にお伺いした折のことでした。

 「見事な枝ぶりの桜ね。もう咲いているの。どこから持ってきたのかしら…」思わず声の方を振り返ると、中高年の女性の一団が式場入口に飾られた寒桜の花に釘付けの御様子でした。

 「桜の咲く頃までもう少し待ってほしかったわ」我に返ったお1人の言葉に皆様一斉に頷いていたのを見て、思わずこちらも頷いたことが思い出されます。

 そこには御葬儀担当者の計らいで故人様のイメージに合わせ、式場入口に飾られた寒桜が満開の時を迎えていました。

 いつの間にか開式30分前の重苦しい空気が一新され、辺りは和やかなムード包まれ、桜を囲んで故人様との思い出にお話が弾むまでには時間は掛かりませんでした。

 桜の花には不思議な魅力が宿っているようです。

  私事ですが、母の葬儀の時の桜も見事でした。

 葬儀・告別式を無事終え、火葬場に向かうバスの中で、御葬儀の疲れがどっと出て、思わずうとうとしていた時のことでした。

 バスの中が急に明るくなり、何事かと思い、思わず目を見開くと窓の外はピンク一色です。

 バスは火葬場手前にある満開の桜並木の中を走っていました。

 あたたかな雰囲気に包まれて気持ちも落ち着き、思わず御葬儀の疲れも吹っ飛んだその明るさは今でも目に焼き付いています。

 来年はいつものお花見ができることを祈っています。

担当者の心意気

 最近はテレビを付けるとコロナウイルスの感染拡大の話題がしきりです。

 あちこちに感染が飛び火した話題で不特定多数の人が集まる場所は皆さん戦々恐々の様相を呈し、多くのイベントや集会が延期や中止に追い込まれておりますが、御葬儀だけは待ってくれません。

 センターでは事前に余裕を持って御相談されることを推薦しておりますが、時には事態が急変し、待ったなしの状況も出てきます。

 実際に御葬儀を担当する方々は様々な状況の中で、目の前の何気ない小さなことも見逃さず、時には俯瞰の目で見て判断される臨機応変さが求められる場面も多々あるように伺いました

 そんな中でも、御葬儀は常に目配り、気配り、心配りを忘れずに粛々と進められている様です。

 永年家庭を切り盛りしてきた女性の担当者は、生後数か月の赤ちゃんの御葬儀を担当した際「孫を亡くしたお姑さんの立場になって、プロの気持ちも揺らぐこともありますが、それはそれでよいのでは・・・」とまで言い切り、読経が始まると「ずっと抱いていたい」と棺の中の赤ちゃんを抱き寄せたお母さんに「御家族だけの御葬儀ですからいいですよ」と進言し、若いお母さんは読経の間中、我が子を抱きしめていらっしゃったとの由。

 当初、搬送先として御自宅以外をご希望され、葬儀社さんの自社安置所にお連れしたところ、深夜でしたがお母様から矢張り一度ご自宅にお連れしたいとのご希望が出され、急遽ご自宅に向かう羽目になりましたが、お母様のお気持ちを察し、自社までの搬送代をサービスされたとのこと。

 また、都内下町商店街で永らく魚屋を営んできたご家族のたっての願いは、誕生日3日前にご逝去されたご主人の最後の誕生日を御自宅で迎えてあげることでした。

 お誕生日までの3日間を商店街のお仲間達に囲まれて過ごされた棺の脇には大きな立派なケーキが飾られていました。

 ケーキに目を留めた担当者は少しでも皆様の思い出になるようにと、早速写真に収め、御葬儀の際には棺の脇に飾られたと伺いました。

 初めての御葬儀でお気持ちの余裕がない中、担当者のちょっとした気遣いにご喪家の方々は大変感激された御様子です。

 御葬儀の担当者の心意気はどんな状況に置かれても変わりは無いようです。

直葬でも、お別れだけはゆっくりと・・・。

 昨今では、御葬儀のお式を省いた直葬を御希望される方も多く、直葬に対しての世間の見方も大分様変わりしてきたように思われます。

 直葬の御要望も御葬儀の選択肢の一つとして定着しつつありますが、一方で火葬当日いきなり火葬場での短時間のお別れだけでは御気持ちの整理がつかないとのお声も多く、最近では自社安置所を所有されている葬儀社さんの中には、指定された時間の枠内のご面会だけではなく、ご要望に併せたお別れを模索している社も増えて参りました。

 特に、自社安置所を所有している小規模な葬儀社さんの場合に、臨機応変な対応がみられるようです。

 安置所が住宅地にある社の場合、火葬当日のお別れは喪服での行き来が目立つ為、前日に平服でのお別れをお願いし、その代わりに正味1時間以上かけて、御喪家のご要望に応じたお別れを推薦される社もございます。

 また、火葬当日以外でしたら、他の御面会者の邪魔にならない範囲で、ご面会時間が無制限の社もございます。

 関西での本葬をご希望の御喪家では関東のお知り合いの方々十数名を安置所にお呼びして、日長1日交代でご面会され、最期のお別れを十二分にされた方もいらっしゃいます。

 火葬当日の朝、棺を空いている式場にお出しし、直葬のみを御希望される方でも、通常の御葬儀の様に棺にお花を入れる、お花入れの時間をゆっくりお取りできる社もございます。

 なお、最期の晩を一晩中ろうそくの火を灯して畳の上でお過ごしになり、火葬場ご出発前に納棺され、御自宅でのお別れと同様にお別れ可能な社もございます。

 今後直葬の希望者が増えるに従い、更なるご要望に併せたお別れの仕方が増えると存じます。

 最近、お母様の万が一の際、直葬をご希望されているご相談者からはこれで安心して、看病に専念できますと「ほっ」とされたメールが届きました。

時代は変われども、御葬儀のスタンスは変わりません。

 「母の希望でもありますが、直葬のみのシンプルな葬儀を希望しています。安置所に伺えばいつでも面会ができ、棺には大好きなお花を沢山入れてあげたいのですが・・・」

 このような御要望が、最近は増えてまいりました。

 一見、従来の御葬儀とは異なるスタンスが求められてきているようですが、御喪家の御要望に対する担当者の対応の基本は10年前も今も変わりはないようです。

 最近ではマスコミを中心に御葬儀情報が巷に溢れ、日常会話の中でも頻繁に使われることが多くなりましたが、御葬儀のノウハウをマスターしただけではご満足のいく御葬儀は難しく、葬儀の良し悪しは従来通りご相談者と担当者とのコミュニケーションがどれだけとれたかに掛かっている様です。

 それは御葬儀後、センターに届いたアンケートからも読み取れます。

 御喪家として初めて迎える方も多く、やり直しがきかないとの御気持ちが先立ち、どこから手を付けてよいのか途方に暮れている時、「こちらの主旨をすばやく理解し、同じ目線で一緒に考えてくださり、的確なアドバイスをいただいて、無事難局を乗り切ることができました」とのご報告も頂いております。

 担当者に伺うと、御葬儀という特別な情況下で、不安に揺れる御喪家の方々にとり、進行状況を一度にご理解いただくのが難しい場合もありますので、必要なことを1つづつ何時までに決めなくてはいけないか、はたまた何時までに揃えて提出するかのスケジュール表を前もってお渡しし、その都度丁寧に説明をされているとの由。

 担当者の目配り、気配り、心配りは今も健在です。

 「我々は御葬儀のアドバイザーであると同時に、影の部分でのお手伝いもしており、困った時に振り向けばいつでもいる存在であることが大事です」

 先輩担当者の言葉が思い出されます。

ご葬儀が「幸せな思い出」となるには・・・。

 当方のデスク脇には、少し黄ばんだ手紙が10年ほど前から置かれています。

 当センターに参加して間もない頃、御葬儀後のアンケートと御一緒にいただいたご相談者からのものです。

 「おそらくあと数日という不安な状況の中、思い切って病院からお電話したのですが、心の拠り所となってアドバイスしていただける貴センターの存在に心より感謝しております。

 お蔭様で安心した気持ちで父を最後まで看取ることができました。そして、御葬儀担当者様のきめ細やかなお働きにより、あたたかい雰囲気の中で父を送り出すことができました。

 遺された者として振り返りました時、父の看取りと葬儀が不思議なこと“幸せな思い出”となっていることに気がつき、父の死に関わって下さった皆様への感謝の気持ちでいっぱいになります」。

 折に触れ、そっと手にとり読み返し、1人頷いております。

 お父様が御自宅で倒れられ、医師から「これが最後の入院になるだろう」と告げられ、お母様とご相談者はご葬儀の事を考えなくてはいけない状況におかれたが、現実お母様と交代で病院に行くのが精一杯でした。

 当初「病院から紹介されるだろうから、成り行きでいいよね」と、あまり積極的に考えていらっしゃらなかったが、お母様のお気持ちが、公共の斎場で近親者のみの家族葬を御希望されていらっしゃることを知ったご相談者は、インターネットで密かにお調べになり、当センターのサイトを見つけ、電話番号を控えておかれたとのこと。

 それからしばらくして、御逝去5日程前、ためらいながらもお母様には内緒で、思い切って当センターにご相談され、「不安もピークに達していた時だけに、お電話の最後にいつでもまたお電話してくださいとおっしゃっていただけた安心感で、ホッとしたことを覚えています」と。

 さっそく、お母様にはNPOのセンターがあり、そこを通して紹介してもらった葬儀社さんが良さそうだということをお話しされ、以後センターにお任せする覚悟ができたとのこと。

 残りの数日はお父様を看取ることだけに気持ちを集中することができ、御相談させていただいてよかったと思いますとの由。

 以後、当方も特に残り少ないお時間でご相談を頂いた折、御相談後は看病に専念していただくよう切にお願いしております。

ご喪家のご要望を汲み取って・・・。

 

 最近のご葬儀の傾向として、都会を中心にご家族・ご親族並びにごく親しい方のみでのお別れが多くなって参りました。

 内輪でのご葬儀が多くなるにつれ、ご喪家のご要望もよりプライベートになり、担当者の臨機応変な対応や細やかな気配りが、ご喪家との潤滑油になっているようです。

 お孫さんからのご希望は「家族・親族皆様で最期の晩をご一緒に過ごしたい」。

 当初火葬場併設の斎場に問い合わせたが、お断りされたとのこと。式場控室で4~5名様の仮宿泊は可能ですが、柩の置かれている式場は防火対策上、夜9時以降お線香はあげられず、また防犯対策上施錠をしてしまうので一晩中の付き添いは無理とのお話でした。

 しかし、全員は無理としても、家族の一員として祖母様の最期を皆で見守りたい。

 ご高齢者が多い為、ご自宅近くに限定され、お爺様の時と同じ曹洞宗でのご葬儀をご希望との条件でしたが、担当者には心当たりが有るとのことで、お住い近くのお寺を推薦頂きました。

 本堂にてご葬儀を執り行い、2階にはお清め用の大広間が2室あり、こちらでの仮宿泊が可能との由。

 ところが、こちらは貸式場として公開されておらず、さらに通常は壇信徒の方々のみのご葬儀を執り行っており、ご住職も当初戸惑いを見せておりましたが、直談判で事情をお話されたところ、快諾を頂き、ご住職の計らいで30名様全員が大広間で一晩お過ごし頂き、翌日無事本堂にてご葬儀を終えることが出来ました。

 また、ご葬儀の後にお願いしておりますアンケートでも、担当者の気遣いに感謝のお気持を度々いただいております。

 最初のご相談の折、「病院暮らしが永いので、万が一の際はせめて自宅の前を通ってほしい」とのご要望を頂いて、1年後の旅立ちでした。

 ご逝去当日はご相談者もご家族の方々も気が動転され、そのことをすっかり失念しておりましたが、葬儀社の担当者の方は覚えておりました。

 「自宅前で暫しの間停車し、お祈りをしていただきました。元気で帰ってこれなくて・・・。悲しくて無念でしたが、一瞬でも立ち寄って頂けたことで、心が救われた気がします。このタイミングをおいて他になかったですから。打ち合わせの後自宅まで送って頂いた折、遺影写真と一緒に、書き残した直筆のメッセージをお渡ししたところ、会葬礼状の文面の最後に印刷し、原本は額に入れ安置所に飾って頂きました。故人を思う気持ちが伝わり、思わず新たな涙を流しました」

 担当者の気配りがご葬儀の満足度をより高めております。

担当者との面談が決め手・・・。

 お母様をお見送りして一段落され、センターがお願いしたアンケートと共に、「父の葬儀の際もこの度お世話になった○○葬儀社さんにお願いしようと思います。○○葬儀社さんにはその際もよろしくとすでに伝えてあります。これからもご遺族の為に頑張ってください」との励ましのメールをご相談者から頂きました。

 病院サイドから入院中のお母様の最期が近づいていることを知らされ、当初友人の方からご紹介頂いた葬儀社さんにご連絡したところ、担当者の方からはマニュアル通りのご返事、折り返しご連絡をすると言いながら数日間放置され、今後の対応も想像に難くない様子に困惑し、慌ててネットで他を検索され、当センターに行きついたとの経過をお聞きいたしました。

 早速にご要望をお伺いし、地元で小規模なご葬儀を得意とする賛同社をご紹介し、見積りをお取りした後、担当者とのご面談をさせていただきました。

 ご相談者からは、最初のご面談で、常々疑問に思っていたことを全てお尋ねすることが出来、担当者の解答ぶりにその場でご葬儀をお願いする旨即決された、とのご連絡が入りました。

 ご相談者の問合せに対し、一つひとつ丁寧に、依頼者と同じ目線に立って説明をし、アドバイスして頂いたとの由。

 やり直しが効かないご葬儀だからこそ、その場にふさわしい見送り方をご喪家と一緒になって考え、行動してくれる担当者との出会いはご葬儀の良し悪しを決める大きな切り札にもなります。

 担当者に伺うとご喪家は各々そのご家庭の事情もあり、ご葬儀は毎回違いますので、ご葬儀はこういうものだとの押しつけはせず、どの様に送ってあげたいかということから始め、後々こうすればよかったと言われないように後悔のないご葬儀を心がけているとの由。

 以前、ベテランの担当者にお伺いした折、「ご葬儀はご喪家ととことん二人三脚で行きます」とのご返事を頂きました。

 「ご葬儀は葬儀屋の葬儀ではありませんからご一緒に歩きましょうと言うスタンスで、出来るだけ早くご喪家と打ち解け、緩やかな放し飼い状態の中でお手伝いをしていくだけです」とその極意の一端をお聞きしたことがございます。

 初めてのご葬儀は誰しも不安ですが、ご一緒に考え、行動してくれる担当者という強い味方が傍についています。

 その為にも、ご葬儀前に面談され、打ち解けた中でご喪家のご要望をお話しておくことも重要です。

ご葬儀のアングラ化が加速する・・・?

 かつて70年代、演劇の世界を中心に連綿と続いた従来型の芝居を体制内改良するのではなく、一度ぶち壊して今までとは別な次元で新たな動きを模索する運動が、若者を中心に執り行われましたが、ご葬儀の世界でも最近似たような現象が垣間見られると感じるのは、うがち過ぎでしょうか。

 戦後故郷を離れ、生活基盤を都会に移した世代の子供達が時を経て、親を見送る立場になりましたが、普段信仰とは無縁の生活をしており、檀家意識も薄い方々にとって、家を中心とした従来型のご葬儀に違和感を唱え始めたところに、直葬という新たな切り口の見送り方が出現したことも共通項として挙げられるのでは・・・。

 10年程前、当初金銭的にご葬儀を出すのが難しい状況での直葬が主だったところでしたが、最近では従来の直葬と一口では言い切れない程、多様化されて来ているようです。

 祭壇を設けた従来型のご葬儀はしない代わりに、最期のお別れだけは、たっぷりと時間を取りたい。

 ご葬儀のお式には背を向けているが、お別れだけは時間の許す限り、お身内の方のみでゆっくりと・・・

 お坊さんを呼ばずに、お別れの際にはお好きだった音楽を流したい。

 寝たきりのお母様をお連れして、お父様と最期のお別れをさせたいので、お別れ室はバリアフリーの整っているところを…等々。

 また、ご高齢の方を直葬にてお見送りされた方からは、ご葬儀後ご自宅に弔問客が続きましたが、それはそれで偲ぶ時間がたっぷり取れて静かにお見送りが出来ましたとのアンケートも頂いております。

 ご要望も多岐にわたり多用化されるに従い、様々な見送り方が考えられ、最近では「直葬」も市民権を得られる程に成長しつつあり、今後さらに多様化されていくのではとの気配も感じられるようです・・・・。