このところ、歌舞伎界を初め、著名人の現役世代の訃報が相次ぎ、ファンならずとも同時代を生きた人達の感慨もひとしおのようです。
久しぶりの旧友との話題も、お元気な頃の活躍ぶりを思い出し、話の種は尽きませんが、テレビに映し出された遺影を見ていると、一枚の写真に託された気持ちがファンの心に焼付いて、これからもずっと語り継がれていくのではと心強い思いが伝わってくるように感じられました。
遺影の力は大きいです。
ご葬儀立会いの節には遺影と必ず一期一会のご対面となりますが、皆様著名人に負けず劣らず、飛び切りの笑顔で最後のお別れをされていらっしゃいます。
先日も笑顔の素敵な遺影との出会いがありました。
正装をして写真館で撮ったむりやりの笑顔と違い、同じ正装姿でもあまりに自然な笑顔に、しばらく見入ってしまうほどでした。
聞けば、息子さんの結婚式の時の写真とか。
本来ならば、うれしさが溢れている笑顔に、思わず“おめでとう”と声を掛けてしまいそうな写真です。
しかしながら、当時この笑顔がご自身の遺影になるとは露ほども思わなかったでしょうに・・・。
それを思うと、60代の若さで亡くなられた無念さが笑顔と二重写しになり、しばしかける言葉も見つかりません。
それでも、お母様は毅然と微笑んでいます。
お母様は後に残したご家族に悲しみを見せないように、思い切りの笑顔を見せて旅立たれたように思われます。
遺影の力は偉大です。