第1印象は3秒で決まり…

 対人関係の仕事をされている方にとって相手に与える印象は、大いに気になるものです。
 ご葬儀の担当者にとっても、それはご葬儀全体の良し悪しまで左右しかねない程のインパクトを持って、迫ってくるようです。

 ご葬儀後のアンケートで忌憚のないご意見を伺っておりますが、傾向としては一つの好印象が全ての事にまでプラスに働く一方で、発端は小さなことでもお気に召さないことが気になり、傍から見ていても落ち度は感じられない場合でも、ご評価頂けないことがあります。

 先月頂いた方のアンケートでは以前契約された葬儀社の担当者の対応ぶりが胡散臭く、どんぶり勘定だったという印象が強く、そのことが強烈に残っていらしたようで、今回お願いした方には文句がつけようにないほど完璧で素晴らしかった、と絶賛されていらっしゃいました。
 特に会計の透明性、リーズナブルなお値段、センスのよさ、アドバイスの的確さどれをとっても満点をあげていただき、ご紹介した賛同社共々大いに恐縮してしまったことがありました。

 その一方で、最近頂いた中に一定のご評価をされながらも、担当された方への少々手厳しいご意見を出された方もいらっしゃいました。
 担当者の立ち振る舞いを気にされたようです。
 黒子であるべき担当者が一生懸命すぎて目立ったことが主たる原因のようです。
 改めてご葬儀の主役はご喪家であることを肝に銘ずる一件でもありました。

 第1印象は3秒で決まり、1年以上もその人の脳裏に残るとも言われています。
 人に与える印象は影響力が大きく、事程左様に人の印象一つで全てがどんでん返しされることにもなりかねません。
事前のご相談でお時間が許せるならば、お見積りを取られた後、担当者と面談されることを推薦いたします。
担当者の印象や気が合うかどうかもご判断でき、人となりもご理解いただけるのではと期待いたしますが・・・。

臨機応変に対応できるのは地域密着型。

 最近は葬儀社さんのホームページをあれこれと検索し、数社をピックアップしてみたものの、何を基準に比較検討してよいのか益々混乱状態に陥りご相談される方も増えています。

 一方、ネットで見る葬儀社さんもエリアを広げ、中には社から遠く離れ関東一円を網羅しているところも見受けられます。
 勿論、どこでもネットで出している以上、対応はできますが、矢張りきめ細やかさ、臨機応変さにおいて地元密着型に1歩譲るところが出てくるようです。

 当センターでのご紹介はこの地域密着型で、地域の斎場に精通している賛同社のみになります。
 事前に相談され見積りを取っておいても、万が一の時にご希望の斎場をご希望の日に確保できるかどうかは難しく、特に火葬場併設の斎場は1週間近く待たされることがあります。
 ご喪家によっては時間が待てない方も出てきますので、急遽他を当ることになると、地元に詳しい葬儀社さんが有利になります。

 斎場によっては、斎場独自の取り決めを、前もってご喪家に知らせておく必要があったが、地元以外の葬儀社はそこまで把握しておらず、ご喪家は当日知らされ慌てたということもあったようです。
 その一方で、賛同社の担当者の中には第4、第5の隠し球的存在の地元の方しかご存じない式場までチェックし、「困った時の○○だのみ」とまで言って常に準備万端整えている方々もいらっしゃいます

担当者との面談をしていただきたい。

 ご葬儀はやり直しが出来ない分、ご喪家から良いご葬儀だったとお声を掛けていただくことが、担当者の使命でもあります。
 そのためにはご喪家の方々がどんなご葬儀をされたいのか、お気持が見えてくるようなアドバイスをしていくことが、私共の任務にもなっています。
 
 慣れないご葬儀に直面され、漠とした思いの中で一つの手がかりとして場所、規模、予算、内容、日程の五つの重要項目が挙げられ、それぞれにご希望を当てはめていきます。
 この中から、優先順位を決めていくと、ご喪家としてご自身は何を重要課題としていくかが、次第に整理されてきます。
 そのご要望に合った賛同社を私共はご紹介しておりますが、出来ましたらもう一つのハードルを越えていただくことを願っております。
 
 見積りをお取りした後、ご検討され、直接賛同社の担当者と面談をしていただくことです。
 見積りでは分りにくい具体的な内容をお知りになるだけではなく、担当者とのコミュニケーションを計り、これからのご葬儀を一緒に乗り切ることができるか否かをチェックされることも重要な要素になってきます。

 実は、ご葬儀では担当者との相性が事のほか重要性を帯びてくることがしばしばあります。
 様々なプレッシャーと不安を抱えているご喪家のお気持をどれだけ汲んで差し上げられるか、担当者としての技量が問われる時でもあります。
 ところが、担当者として気を利かせたつもりが、時として空回りする場面も出てきます。
 担当者の振る舞いとしてどんなに完璧を目指しても、ご喪家の意に沿っていなければ全て御破算になってしまいます。

 先日頂いたアンケートの中に、担当者のプロ意識は分るが、もう少し放っておいてほしかったという意見がありました。
 お別れの儀では悲しみに浸りたかったが、イスを勧められたりして、かえって気が散ってしまわれたとのこと。
 意思の疎通が足りなかったようです。
 ベテランも常に相手の気持になることを忘れずに・・・。

満足のいくご葬儀をするために欠かせない条件は?

 やり直しがきかないご葬儀にとってご予算の問題、担当者の対応等のサービスの質、どちらでご葬儀をされるか、場所の問題等どれもご満足いただく為にはかかせぬ条件です。
 
 その中であえて順番を付けるとしたらどのようになりますでしょうかとご相談者に質問させていただくことがあります。
 ご葬儀を相談したいがどこからどのように手をつけてよいのか糸口さえも掴みにくいとおっしゃる方も多くいらっしゃいます。
 漠然としていたお気持でお話をされているうちに整理され、どんなご葬儀がお望みなのか気付かれるとご要望も具体的になり、そのご要望により即した賛同社がご紹介できるようになります。

 昨年から今年にかけて、当センターのご相談フォームにお問い合わせ頂いたメールのやりとりの中でお尋ねしたご予算、サービス、場所のご希望順の統計をとってみますと、サービスと場所にこだわる方が圧倒的に多く、ご予算を希望された方が少ないのは意外でした。
 世の中少しでも安く出来るだけ切詰めたいという方よりも、お気持を重視され、手厚く葬りたいとご希望される方が、まだまだ多くいらっしゃるようです。

 ご列席の方々から「良いお式でした」とわざわざお声を掛けて下さったと依頼者の安堵の声が聞こえるようなアンケートをいただく時は、葬儀社をご紹介した当方も一緒にほっと肩の荷がおりたように感じられる一瞬です。

 その良いご葬儀を陰で取り仕切るのは葬儀社の担当者の方々です。
 ご葬儀は担当者の力量が大きくものを言うようです。
 立会いに伺ったりして脇から見ていますと担当者の個性が発揮され、その人となりが自然に出ている方のほうが、全体のムードを押し上げているように思われます。

ご遺体とその後の法要は…

 3月11日から早6週間が過ぎようとしています。
 依然として行方不明の方が多い中、少しの手がかりを求めて臨時の安置所になっている体育館や研修所へお身内の方を捜し回る御家族の姿をTVカメラが追いかけています。
 身元確認が急がれますが、益々困難になっていくのが現状のようです。
 それでも各方面からの支援も活発になり、少しでもお亡くなりになった時の状態でご家族に引き合わせたいと、関西からは大量のドライアイスが運ばれたというニュースを目にしました。

 その一方で、ドライアイス以上に活躍できると思われるエンバーミングの情報があまり浮上してこないのですが・・・。
 ご遺体の損傷を修復し、細菌の感染を防ぐ意味からも出来るだけ多くの方にエンバーミングが施されることを期待したいのですが、ご遺体が身元不明者でご家族の同意が出来ない場合は難しいのでしょうか。
 しかし、神戸の震災の時、エンバーミングを施したことにより修復され、身元が判明したという記事を目にしたことがありましたが・・・。

 先日は福島の原発近くで津波の被害に遭われ、お亡くなりになったお父様の法要のことで、お身内の方からお問い合わせがありました。

 ご遺体は地元で荼毘に付されましたが、ご遺骨は木箱に入れられ、菩提寺もお墓も全て流されてしまい、ご住職も東京に避難されている身が現状とのこと。
 ご遺骨を骨壷に移し、百か日忌には法要をしたいので、法要とお食事が出来るところのご紹介をと希望されていらっしゃいました。
 しかし、避難されていらっしゃるとは言え、菩提寺のご住職がいらっしゃいますので、まずはご住職のご指示を仰いだ上のご相談になる旨申しあげました。

 「何年掛かるか分らないが、必ず菩提寺のお墓に納骨しますので、しばらくの辛抱です」と電話口のお声が少しホッとされたように感じられました。

イス席の式場でのお清めで…

 ご家族・ご親族や親しい友人に見送られてのご葬儀が最近ではごく普通に執り行われるようになってきました。
 都会を中心に流れとしてはむしろこちらが主流を占めるほどです。

 参列される方々もご高齢の方が多くなり、式場でのバリアフリー化は進んできましたが、一方でそれに伴うソフト面でのきめ細かな臨機応変な対応も見逃せなくなってきました。
 
 時に参列される方の中にはお身内の方で介護が必要な方もいらっしゃいます。
 できるだけ最後のお見送りをさせてあげたいと願う、ご喪家のご要望を汲み取るためにも、葬儀スタッフの中にヘルパーさんの資格者の必要性もでてきました。

 また、最近立会いにうかがった斎場では通夜のお清め所が和室のため、イス席の式場でのお清めになりました。
 ご高齢者が多いので、イス席での通夜ぶるまいとなり、通夜の儀式の読経とご焼香が終わった後、式場にテーブルセッティングがほどこされました。
 祭壇と棺の前にはテーブルがTの字に並べられ、お食事のご用意が整いました。

 棺に向っての献杯に始まり、故人も交えてのお食事会のような和やかな雰囲気が伝わってきます。
 親しかった皆様とご一緒の最後の晩餐会に故人様もさぞかし安心して旅立たれるのではと思わせるような通夜でした。

家に帰してあげたい・・・。

 被災地の映像は辺り一帯がモノクロームの世界のような瓦礫の山を映し出していました。
 瓦礫の山が続く中、谷間の一角に咲く花のように色とりどりのお花が空き瓶に生けてある空間がありました。

 「ここは我が家の玄関口なんです。未だ行方が分らない女房のために玄関の空間だけは綺麗にしておかないと・・・」
 何としても、奥様を我が家に連れて帰りたいとご主人の願いが込められていました。

 話し代わって、昨今のご葬儀では病院でお亡くなりになられた場合、都会を中心に搬送先がご自宅以外の安置所をご希望される方が大半をしめるようになりました。
 ご事情は様々ですが、集合住宅への配慮やスペースの問題を抱えながらも、一方では長患いの末ご自宅にお帰りになりたがっていた故人様のお気持を汲んで、旅立つ前にご自宅にお迎えしたいお気持は、多くの方にまだまだ残っているようです。

 以前、万が一の後ご自宅に搬送できないため、病院から安置所に行く途中自宅前を通ってほしいことをご希望として出され、葬儀社さんの方に伝えておいた事前相談がありました。
 お亡くなりになられたのはそれからしばらく経ってからでした。
 いざ、その日を迎えられたご家族は空白状態で、そのことに思いが寄らなかったようです。

 しかし、葬儀社の方ではしっかり思い出してくれました。
 ご自宅の前で暫し停車して、お祈りをしてくれたとのこと。
 「元気で帰って来れなくて・・・。悲しく、無念でしたが一瞬でも立ち寄って頂けたことで、心が救われたきがします。このタイミングをおいて、他になかったですから・・・」
 故人様のお気持ちはどんなだったのでしょうか。

「長期戦になりますのでどうぞよろしく」

 先日、待ち合わせ場所に現れた友人の両手には大きな紙袋が幾つもありました。
 紙袋の中身は40冊以上もの絵本です。
 その足で二人が向った先は新橋の小さな居酒屋でした。

 定員10人未満のお店では、先客が次の人にバトンタッチだと我々に席を譲ってくれました。
 お店は「東日本大震災支援キャンペーン」の最中でした。

 そのキャンペーンの報告書が昨日届きました。
 2週間の期間中117名が来店し、「飲み食べ放題」を満喫し、その一部が義援金になりました。
 さらに、それ以上を払った方のものは全て義援金となり、お名前まで列記されています。
 義援金の全てはお店の主の故郷、陸前高田の災害本部へと・・・。

 1000冊以上集まった絵本・児童書は主のご親戚が大船渡と陸前高田の保育園、幼稚園、小学校に直接お届けされるとのことです。

 ほんの少し心が落着きました。
 報告書は「長期戦になりますのでどうぞよろしく」と結んでいました・・・。

できることから始めましょう。

 東京には多くの東北出身者の方がいらっしゃいます。
 今回の大震災で友人、知人のどなたかが未だに行方が分らない、あるいはご遺体で見つかったという声があちこちから聞こえてきます。

 久しぶりに電話口に出た友人の声は暗かった。
 古くからの知り合いの方が行方不明のままだと話す。
 かつての職場の同僚で、今は岩手県の海岸縁に建つホテルのオーナーをされていたという。
 料理長とオーナーを除いて震災当時の宿泊客47人と20人余りの従業員の方々は無事を確認できました。

 オーナーは日頃からお客様の身の安全を徹底させていたので、従業員は避難経路が頭にたたき込まれていてスムースに誘導できたが、そこにお2人の姿をみることはなかったそうです。
 その後、料理長だけがご遺体で発見されました。

 オーナー不在のまま従業員は日頃の注意どおり一旦避難所にお客様を誘導いた後、毛布や食料を調達し、ホテルに戻ってお客様の荷物を運び出し、2日後ホテルのバスでお客様全員を無事ご自宅までお送りされたとのこと。

 友人に掛けた電話は被災地に送る絵本と、これまた出身地陸前高田の友人と親戚が行方不明という居酒屋の女主人をはげます会の相談でした。
 我々が居酒屋でたらふく食べ、飲んで先ずは元気を出しましょう。
 飲んで食べた20パーセントは被災地に送られますから。

新たな旅立ちができますように。

 死亡12,020名、行方不明者15,512名、合計27,532名
 無機質なテロップが流れるテレビ画面を見続けていると刻々と増え続ける死者の数にも少し鈍感になってきています。

 お1人お一人の命が数字で弾き出される空しさばかりが胸を締め付けて、遠くで見守る我々はなす術が見つかりません。

 「3,11」以後ご葬儀に立ち会うこともありますが、御家族ご親族お友達に囲まれて手厚く葬られるこちらの故人の幸せを改めて実感させられます。
 
 現地ではあまりの数の多さに火葬が間に合わず、ご遺体の損傷も激しく腐敗防止のためにもやむをえずの処置として土葬に踏み切り、今後は多くのご遺体が土葬されることになるようです。
 しかし土葬はあくまで応急処置で2年後に改めて荼毘に付されるとのこと。
 2年後は3回忌にあたります。
 3回忌には御家族、ご親族、お友達に囲まれて新たな旅立ちができますよう、お祈りするばかりです。  合掌