今年は終活ブームとも言われていますが・・・?

 女性週刊誌にも最近は「婚活」ならぬ「終活」という言葉が飛び交っています。

 読んで字のごとく人生最期をどの様にしたいのか、自分の最期は自分で決めたい。
今年はこの「終活」が1つのブームとさえ言われるようになりました。
 特に雑誌を始めとするマスコミでの取り扱われ方には、今まである意味見向きもされなかっただけに、戸惑いをも感じるくらいです。
  このブームに眉をひそめる向きもあると思いますが、いずれブームが去っても後にエキスが残り、新たな広がりを見せてくれるものと期待しています。

 先日、知人からのご紹介とのことでご連絡を頂いた方は、ご自身の最期を直葬にしたいのでまずは見積りをとのご希望でした。
 見積りは納得のいくまで検討し、出来るだけご自分の生き方にそったものにしたいご意向でした。

 丁度2年程前、直葬という言葉が度々マスコミに取り上げられた頃、ご年配の方から「自分は無宗教だし、お墓はすでに霊園に用意してあるので、先日の新聞を見てこれだと思ってお電話しました」とご連絡いただきました。
 事前のご予約で直葬の概算見積をお取りした後、妹さんからもご連絡頂きました。
 ご主人はすでにお亡くなりになり、近県の霊園にお入りになっていらっしゃるので、お兄様同様直葬でのお見積りを希望され、息子さんたちに託したいとのことでした。

 暫くして今度はお2人の友人の方からもご連絡を頂き、それぞれの地域の当センターの賛同社から生前予約の見積りをお取り致しました。
 今回の方もこの方々とお知り合いの方のようです。
 皆様ご高齢の方々ですが、ゆるぎないご自身の生き方をされていらっしゃるのがよく分りました。
 後に続く私たちは言葉だけが勝手に1人歩きしないようしっかり見張っていなければ・・・。

思わず「良いご葬儀だったね」と言われるには・・・

 『良いご葬儀だったね』お見送りされた後のベテラン担当者の一言に、ホッとすると同時に思わず大きく頷いていました。
 ご葬儀をつつがなく終えるだけでなく、幸せなお見送りができる空気に包まれるかどうかが大きな鍵になるようです。

 一気に40年前にタイムトンネルしたおじさん達はスクラムを組んで面倒見の良かった先輩の柩を取り囲み、溢れる涙を拭おうともせず蛮声を張り上げ部歌でお見送りしていました。
 そこには穏やかな空気が流れていました。

 最近立会いに伺ったご葬儀で同じような空気に出会いました。
 ずっと独身を通された叔母様を6人の甥御さんと姪御さんがご親族を束ねてお見送りされたご葬儀は、悲しみの中にもどこか気持が和むようなゆったりした時間が流れていました。
 6人のパイプ役をはたしてきた伯母様はお1人お一人それぞれにとって如何に大切な存在であったか、喪主である甥御さんがご挨拶でご紹介されていました。
 6人の輪が幾重にも広がりをみせ、周りを幸せな気持にさせてくれるように感じられます。
 皆さんご一緒に仲良くお見送りされている後から私もそっと声を掛けてあげたくなりました。
 良いご葬儀でしたね・・・と。

お葬式は故人から贈られる唯一のプレゼント・・・?

 ご葬儀は故人が親交を取り持ってくれる、出会いの日でもあります。
 
 「50年前のパリ時代、今や君のトレードマークになっているボルサリーノのベレー帽が似合わないねと言った時の怒った顔が忘れられないよ」。
 次から次へと話題が尽きない告別式は目の前にある柩を除けばまさに同窓会の趣でした。
 ワイングラスを片手にした友の何十年ぶりかの再会を祝福するようなご葬儀に、こんなお別れの仕方もいいものだと胸が熱くなったことが思い出されます。

 また、事前相談の最初の時点では御家族3名のみでのお見送りを希望されていた方が次第に周りを受け入れ、通夜の晩には大広間に貸布団を敷き詰め、遠方からの会葬者全員を集めて合宿所のような一晩を過ごされたご葬儀も印象的でした。

 「父が皆をより一層仲良くさせてくれた時間に思えます。翌朝、バケツリレーのように次々とお布団の山が築かれたのは圧巻でした。
 お参りしたい方の気持も酌んであげられ、一生の悔いを残さずにすみました」とほっとされたご様子に、思わず「よかったですね」と声を掛けてしまったほどでした。

 故人様も一番会いたい方々のお顔を見届け、安心して旅立たれたことでしょう。
 こんな感謝と笑顔でお見送りできるご葬儀が希望ですが・・・。

元気な内にご自身のご葬儀から、ご葬儀以後のことも決めておこう。

 先日、名前に聞き覚えの無いNPOがらみの電話の問い合わせをいただきました。
 ご用件をお伺いするとお子様がいらっしゃらないので、ご自分で葬儀の予約等を今からしておきたいとのこと。
 生前のご予約でしたらセンターの賛同社でも承っております、と申し上げたのですが、後々の問題も色々あるので、テレビに出ていたそちらの団体に問い合わせしたい由。
 しかし、残念ながらテレビを拝見しておらず、お聞きした名前で調べましたがその場では分らずじまいでした。

 お電話の方はご葬儀以後のことについてご心配されていらっしゃいましたが、ゆだねる方が身の回りにいらっしゃらない方、また事情で頼みにくい方が増える傾向は都会を中心に今後益々拍車がかかることになりそうです。

 死後は血縁者誰かが世話をしてくれるものと高みの見物を決め込んでいた方も、昨今の社会状況から地縁・血縁の変貌ぶりを見ていくと、行く先は必ずしも安泰とは言いがたいようです。
 ならば、元気な内にご自分の生き方はご自分で決め、最期をどのようにされたいのかその後始末をも含めて、一人ひとりの問題として各人の行動・対応が求められてくるのも、時間の問題かもしれない。
 提起の炎もポツポツ上がっています。
 そう言えばご両親亡き後、姉妹2人暮らしの友人の例を取っても、すでに身近な問題になっているようです。

 

無宗教葬での担当者のアドバイスとは・・・。

 先日ジャズ仲間による無宗教葬をお話いたしましたが、無宗教でのご葬儀を希望される方も少しずつではありますが、増えてきています。

 家の事情からの方、ご自身の意思での方、宗教葬が嫌いな方、それぞれ理由は様々ですが、これに対して葬儀社の担当者が如何に対応し、アドバイスされているのかを伺ったことがあります。

 例えば、無宗教葬が社のセールスポイントの1つとおっしゃるA社の担当者は「ご葬儀は基本的に一緒の空間に参列することが大切だと思います。仏式ですとご焼香をしてお帰りになってしまいますが、無宗教葬ではご列席の方々が、ある時間を共有して故人を偲ぶことができます。お寺さんがいるよりも無宗教の方が何でもでき、特別故人に得意なものが無い場合でも、事前に色々伺っていくうちにその人となりが浮かび上がってきますので、ご葬儀での手持ち無沙汰はありません」とのことでした。

 B社の担当者はまだお経がないと供養した感じがしないという方が結構多いですねと前置きされて、「無宗教葬の難しさはお客様のご要望だけでは務まりません。ご葬儀はその時で終ってしまいますがご親戚との付き合いもあり後々のことを考えると、ご親戚の理解も必要になってきますので、アドバイスをして選択肢を提案するところから始めます」とのこと。
 雑誌やテレビに感化され、希望される場合もありますが、色々なことを考慮してお決めくださいとアドバイスされているようです。

 C社の担当者は無宗教葬でのアドバイスとして「身内以外の人、特に地方からお見えになられたご親戚に対して、ことの次第をじっくり説明する必要が出て来ます。通夜の席で初めに喪主が無宗教になったいきさつを全て話し、納得して貰うことが大切です」とおっしゃっています。

 また、葬儀をオーダーメードしていきたいというD社の担当者は無宗教葬について「無宗教も無宗教という宗教だと思う。敬うべき対象が必ずあるはずです。ご自分の求めているものを満たしてくれるのが見つからないのでしょう。宗教が嫌いで無宗教という方はいない。お話を聞いて、聞いていくうちにその方にとって手を合わせる対象が何なのかというだけだと思います。無宗教なりに好きな音楽は、初詣では、クリスマスはどうですかなどといろんな方向からその方がなにを求めていたかを聞き出します。そこからスタートです」

 異口同音にお答えいただいたのは後で後悔することのない式をお手伝いしたいとのことでした。

ご葬儀のサプライズは如何に・・・。

ご葬儀の立会いにお伺いさせて頂く機会が多い昨今ですが、11月3日久しぶりに結婚式に出席いたしました。

披露宴では数十年前ご両家のご両親の結婚式が共に11月に行われたといういきさつから、サプライズとして新郎新婦のみならずご両親共々のケーキカットとなりました。
双方のご両親は知らされておらず、特に2度の大手術から生還された新婦のお父様の喜びのご挨拶の後だけに、列席者一同胸に迫るものがあり、早くも会場は泣き笑いの渦となっていました。

冠婚葬祭、人生の2大イベントではありますが、祝福の結婚式にはそれぞれ盛り沢山な演出が施され、少々過剰とも思える演出でも、ご列席の方々は直にお祝いの輪に入っていけますが、もう一方のご葬儀での演出はその緩急が少々難しいようです。

それでも時としてその方にピッタリの演出でご出棺となり、ご会葬者一同号泣されたお話などを伺うと、判で押したような最後のお別れの時間こそもう少し個性を発揮できるのではと立会いながら考えることがあります。

新旧3組のケーキカットのサプライズを目の前に、ご葬儀でもその方らしい最後の送り方の工夫がもっとなされてもよいのでは、と思い巡らしています。
但し、演出過剰は禁物です。
あくまでご会葬された方々の心の中に留めていただける範疇であることが大事です。

ジャズ仲間とのお別れは・・・。

 猛暑続きの今年でしたが、ようやく秋の気配が漂ってきました。
 秋といえばジャズの季節とも言われ、都内各所で町おこしのジャズ・フェスティバルも年々盛んになってきたようです。

  少し前になりますが、そんなジャズを愛した方の無宗教葬に立ち会いました。

  故人は地元で長年ジャズ喫茶をやっていた方で、通夜には往年のジャズ仲間が勢ぞろいされたようです。

 葬儀社の担当者は通常棺の正面に置かれている献花台を右側に置き、会葬者が献花をされてから正面に来て故人とゆっくりお話をしてもらうような形を作り、棺の蓋を開けてご遺体もきれいなので胸から上をお見せし、お仲間と最後のご対面をゆっくりとしていただきました。

 棺の左側には思い出のコーナーを設け、ご対面の後ゆったりとジャズが流れる中思い出に浸っていただいていました。

 と、突然飛び入りで仲間がトランペットを吹きだすや懐かしい曲が次々と飛び出し、ジャズメンらしい最後になりました。

 実は故人のご兄弟皆さんが、この無宗教葬に反対で、とりわけ強かったのは一番上のお兄様。
 ところが、このお兄様が通夜の最後のご挨拶では号泣され、涙ながらにこんな素晴らしい通夜は初めてだと感極まったご様子でした。

 往年のジャズメン達は興奮冷めやらぬ面持ちで、ブランデーケーキと次は自分の番かもしれないと臨海斎場のパンフレットをお土産に家路を急いだとのことです。

イスラム教徒の墓地不足とエンバーミングの関係や如何に・・・?

 先週、放送芸術科の学生さんから「ドキュメントでエンバーミングを取り上げたいので葬儀社さんを紹介してください」との電話をいただきました。

 エンバーミングのお話は時々マスコミを通じて伺いますが、直接依頼者からご希望されたことはありませんでしたので、賛同社に伺ってみますと、やっていますよというところ、お話は聞くがまだ実際には経験がないところと様々でした。
 矢張り、エンバーミングの設備を整えている葬儀社さんは積極的に取り組んでいるようです。

 腐敗を防ぐためにご遺体から血液や体液を取り出し、防腐剤を注入するエンバーミングは欧米ではごく一般的に行われ、特にアメリカではご遺体の移動時間により、州で義務付けられているところもある位とのことです。
 土葬が主流のアメリカでも特に南部地区はエンバーミング率95パーセント以上との報もありますが、例外を除いて火葬が殆どの日本ではマスコミに話題として取り上げられるほどには広がりをみせていないのが現状のようです。
 長期保存の必要性や感染症のリスクも少ないこともありますが、それ以上にご遺体から血液を抜くことに抵抗感を感じる方が多いのでは。

 そんな折、先日日本在住のイスラム教徒の方の墓地不足が深刻との朝日新聞の記事が目に留まりました。
 火葬が殆どの日本では、土葬による埋葬に嫌悪感を持つ方も多く、近隣住民からの理解がなかなか得られないのが実情とのことです。

 しかし、これから日本で永眠される外国の方も益々増えてくることでしょう。
 そうなれば宗教上の問題から土葬の墓地も容認せざるを得なくなり、多様な選択に抵抗感も薄れてくるかもしれない。

 エンバーミングの広がりも思わぬところから火がつく可能性を秘めているのでは・・・。

ご葬儀の仕方やお墓の建て方は分っても、それに伴うアクシデントの処し方が難しい・・・。

 あさがお葬儀社紹介センターには当センターの賛同社ご紹介以外のお電話も多々いただき、時としてお答えに窮するような場面もございます。

 「お墓のことで葬儀社さんをご紹介いただけますか」
 先日頂いたお電話ですが、どうやらご葬儀のご相談ではないようです。

 「公営霊園にあるお墓の納骨所(カロート)が一杯なので、どうしたらよいのか。カロートは下が土ではなくコンクリートなのでご遺骨がまけない。麻地を使ってご遺骨を入れる袋を自分で作らなくてはいけないのか。葬儀社さんの方で取り扱っていただけないものだろうか」とのご質問でした。

 公営霊園の事務所に伺っても6体まで収容できますとしかお答え頂けず、仏具屋さんもうちではないと言われ、困ってお電話されたとのこと。
 残念ながら葬儀社さんのお仕事の範ちゅうではないようです。

 カロートを開けるにしても石屋さんのご協力が必要になりますし、まずは墓石を作られた石材店さんにご相談されるのがよろしいのでは。石材店さんの方でご相談に見合った処理をお願いできると思いますのでと申し上げましたが・・・。

 また時に、普段触れることの無いお位牌の件でのご相談もございました。

 以前頂いた「白木のお位牌はどこで買えばよろしいのですか」との問い合わせには、思わず塗りの本位牌の間違いかと聞き返したこともありました。
 手元にはないので仏具屋さんで買えるのかとのご質問には少々慌てました。

 通常でしたら白木のお位牌はご葬儀の際葬儀社さんの方でご用意されるものですので、まずはご葬儀をされた葬儀社さんにお問い合わせいただくよう申し上げましたが、ご事情はあまりお話されたくないご様子でした。

 本来ならば、このようなご質問は地区やご親族の長老の方々にご相談されていたことでしょうが、都会では今や伺う術も難しい状況になってきています。
 情報が氾濫している昨今ではご葬儀の仕方やお墓の建て方は分っても、それに伴って起きる事柄やアクシデントに対処する術が見つからず、困惑されてご葬儀関係のところあちこちにお問い合わせされていらっしゃいますが、なかなかずばり回答は難しいようです。

この秋のトレンドはお葬式・・・?

 「イギリスではお葬式に流したい曲ナンバーワンはフランク・シナトラの『マイウェイ』を抜いてロビー・ウィリアムスの『エンジェルス』だそうよ」。

 昼下がりのラジオから軽快な音楽とおしゃべりがいつものように聞こえてきました。
 音楽に乗せて時の話題をテーマにしたその日の題材は『お葬式特集』でした。
 
 「今お葬式がトレンドの1つらしいわよ」と取り上げた茶の間の話題は映画の「おくりびと」からベストセラーになった島田裕巳著「葬式は、要らない」、イオンの「お布施表」公開の問題まで。
 そういえば、秋口になりこぞって毎週のようにどこかの月刊誌・週刊誌1でお葬式を中心にお墓、戒名、お寺、遺言等の問題を取り上げています。
 
 各社雑誌のタイトルは過激ですが、中で述べられていることはほぼ同じような内容になるようです。
 現場に立ち会っていない記者の方々の取材になりますので、時として葬儀関係者の方々は少し現状と異なるのではと異論を挟みたくなりそうですが、ここは我慢のしどころです。
 
 ほんの少し前までタブー視されていた話題をまずは茶の間まで引き上げてもらい、そこで切磋琢磨して磨き上げられた話題を皆さんの胸の中にしまっていただける日も遠くはないのではと期待しています。

 ご葬儀は金銭面だけではなく、それ以上に心の問題が深く関わってきます。

 雑誌の話題は親を見送る団塊世代をターゲットにした企画ものと言えなくもないが、次に団塊世代が自分の問題として最期をどのようにしたいかまでをイメージし、これからの自身の生き方を考えるきっかけになるのではと密かに期待しています・・・。