キリスト教葬

  今、写真集のページをめくっています。
 永年撮りためたモノクロームの世界が、鮮やかな色彩を感じさせ、力強く迫ってきます。
 この写真集は、昨日・3月3日のご葬儀の返礼品の一つです。

 お亡くなりになる数日前、最終チェックをされ、4月出版予定だった写真集は、急遽皆様にお渡しすることになり、ご当人もびっくりされているのではと、にわかに先輩の死が信じられないまま、告別式に参列させていただきました。

 3月は別れの季節とも言われていますが、女の子の節句が奇しくも、お別れの日となってしまいました。

 葬儀ミサでのパイプオルガンの重厚な調べと聖歌隊によるミサ曲が流れる中、頭上高いステンドグラスを見つめていると、ふと門外漢の当方も、先輩の死が少しずつ受け入れられるような気持ちになってくるのが不思議です。

 教会のステンドグラスは日の光により色が変化して、時刻を知らせる役割もあったとも言われ、外は今にも雨が降りそうな曇天にも拘わらず、鮮やかな色彩に彩られステンドグラスは、光輝いて見え、何かを包み込むようなやさしさが感じられました。

 花に囲まれたひつぎのお顔は、笑みがこぼれていると錯覚を起こす程穏やかで、教会の信者の方々も多数ご参列され、こちらの教会で洗礼を受けた先輩は、大勢のお仲間に囲まれての旅立ちとなりました。

 仕事柄、これまでご葬儀の立会いには、数多くお伺いしておりますが、参列者の立場に立ちますと、実体験として別な側面が垣間見られ、特に今回はカトリック教会でのお式でしたので、教会主導のもと執り行われ、葬儀社の担当者の方々は完全に後方支援にまわっているご様子も、よく観察させていただきました。

 また、1ヶ月程前になりますが、プロテスタントのお父様のご葬儀を、教会にこだわって執り行いたいと、深夜急なご要望をいただき、キリスト教会に詳しい葬儀社の担当者さんの計らいで、担当者さんの知り合いの牧師さんにお願いし、役員会に掛け、無事教会でのお見送りを致しました。
 後日、ご相談者からご丁寧な感謝のお言葉をいただきましたが、参列してみて、教会にこだわったご相談者のお気持ちがよく分かりました。

 先輩、いろいろ教えていただき、ありがとうございました。
 安らかに、御休みください。

最期のお別れ。

 少人数の家族葬を想定して準備をしていても、故人様と最期のお別れをしたいご友人や職場の方がご葬儀に参列されることもあります。
 お身内のみでの家族葬を希望され、その想定で準備をしていたところ、実際のご葬儀では故人様のお仕事仲間の方々が故人様との最期のお別れをしに訪れ、100名を超えるご葬儀になったという例もあります。

 先日、ご自身が葬儀の一切を仕切らなくてはならない一人娘であるご相談者から、お父様がお亡くなりになり、費用を極力抑えた葬儀を行ないたいとのご相談をいただきました。
 お父様とご親戚との関係もあまりよくわからず、ご相談ではご自身と親戚が来ても多分5名くらいとおっしゃっていましたが、実際には20名程のご親戚と10名ほどの故人様のご友人がご会葬に訪れ、ご葬儀後には「ご会葬の方々も予定より沢山お越し下さり、また立派な葬儀だったと仰っていました。」と、ご報告をいただきました。

 ごくお身内のみでの家族葬を希望される方はとても多くいらっしゃいますし、お身内だけでのご葬儀の方がご家族の負担も軽減されることと思います。
 義理でご会葬に来ていただくよりは、最初から近親者のみでとお伝えするほうが良い場合もあるかと思いますが、故人様との最期のお別れをしたいと心から望んでいる方もいらっしゃるかもしれません。

ご葬儀での形式とは・・・。

先日、ご葬儀の前にお伺いする場合、ご喪家にどのようにご挨拶すればよろしいでしょうかとのお問い合わせをいただきました。
 妹さんの御主人のお父様がお亡くなりになられ、明日ご自宅に手土産持参で弔問に伺いますが、喪主に当たられる妹さんの義母様には、どのようなお言葉を掛ければよろしいかとのご質問でした。
 故人様とは特に生前親しい間柄ではなく、むしろ面識もあまりなかった方ですが、納棺まで立ち会われるとのお話です。

 通常、納棺はご遺族やごく親しい近親者のみで執り行われることが多いと伺っておりますが、地方により、またそれぞれのご家庭のご事情もございますので、一律に面識が薄い方の納棺にまで立ち会う必要性を問いただす訳にもいかず、まずはごく一般的なお悔やみのお言葉をお話申し上げました。
 しかし、ご相談者はその後の具体的なお言葉が知りたいとのこと。

 一通りのお悔やみのお言葉の後は、その場の状況に立たないと難しく、親しい間柄でしたら、これから執り行われる通夜・ご葬儀でのお手伝い事を、お尋ねになられることもできますが、ご相談者の立場では、取り方によっては取って付けた様な言い回しになりかねないので、間に入っていらっしゃる妹様に後はお任せし、必要以上のお話を避け、ご喪家も大変な折ですので、長居はしないように気をつけることを申し上げました。

 ご葬儀のしきたりは色々ありますが、ご喪家側の受け取り方は様々だと思います。
 ご葬儀が円滑に進み、ご喪家に失礼の無いようにすることは大切ですが、ともすると、慣れないあまりに形式に捕らわれすぎてしまいがちではないでしょうか。

 ご葬儀ではご喪家のご挨拶に始まり、ご会葬御礼のお言葉まで、また弔問・ご会葬の方々のご挨拶等、様々なお言葉がございますが、心に残るお言葉は、必ずしも形式に則ったものとは限りません。
 以前立会いにお伺いして、今でも心に焼き付いている喪主のご挨拶もその一つです。

 ご出棺に先立つご挨拶の代わりに、長患いの末ご逝去されたご主人の病状を克明にお話された奥様の、これを話さずしてご葬儀は終わらないとばかりの迫力ぶりは、100名余りのご会葬の方々をその場に釘づけし、しばしの時間延長も忘れさせる程でした。

 お帰りになられる皆様の表情からは、一様に晴々とご納得されたご様子が伺え、端でご一緒にお話をお伺いした当方も、思わず大きな深呼吸をした思い出がございます。

年末年始の混雑・・・

 毎年、年末年始は斎場や火葬場がとても混雑し、地域によっては10日くらい待たなければ葬儀ができない状況にあるところもあるようです。
 特に公営の斎場は利用希望者が多く、年間を通して混雑している状況ですが、年明けは年始のお休みもからんでくることから、通常以上に混雑が激しく、ご喪家の日程の調整も難しくなることも多いようです。
 1月ももう半ば、そろそろ緩和してくる頃かと思うのですが、一部の地域では引き続き混雑が続いており、現在でも一週間以上お待ちいただいている方がいらっしゃるそうです。

 葬儀の日程までの待機日数が長くなると、それに伴い、安置料(安置所をご利用の場合)やご遺体保全のためのドライアイスの使用料などが日数分かかってしまいます。
 せっかく近隣にリーズナブルに使用できる斎場があっても、日程次第では少し離れた火葬場を使用した方が費用を抑えられる場合も出てくることから、少し遠くても早く葬儀ができる所を選ぶ方もいらっしゃるそうです。

 先日、神奈川県の葬儀社の担当者から伺った話しでは、ご喪家の希望日程では市内の火葬場を利用することができず、東京の火葬場まで行ってきたとのこと。
 
 人の死は時も場所も選べません。
 こればかりは予測をつけることができないことだけに、葬儀を出すご家族にとっては大変な悩みになってしまう事もあるかと思いますが、どこを一番に優先したいかという所だけでも決めておくとよいのかもしれません。

ご葬儀での出来事

  ご葬儀の立会いにお伺いしたり、ご葬儀後にお願いしておりますアンケートでは、ご相談者からお褒めのお言葉をいただき、恐縮しております
が、時にアクシデントが起きたり、ご注意をいただく場面もございます。
  
 急なことで、途方に暮れている時、親身になってご相談に乗ってくれ助かりましたとのご報告に思わず胸を撫で下ろしますが、時に葬儀社の担
当者として良かれとしたことが、思わぬ方向にいってしまうこともあり、ご紹介した当方も最後まで気が抜けません。

 以前、横浜での大型のご葬儀の際、着々と祭壇が設営され、数多くの供花が整然と並べられ、しめやかに通夜の読経が始まって間もなく、静寂
の中ガタッという音と共に屏風の端が突然傾き、前の供花にあたり、お花が少し傾いたことがありました。
 
 一瞬の出来事に葬儀関係者は青ざめましたが、それ以上のことはなく、式はそのまま続行し、終了後元通りに直されましたが、ご喪家始め、関
係者の皆様には多大なご迷惑をお掛けしたことには間違いございません。

 さらに、傾いた供花はお身内に不幸が続いた方からのものとご相談者から伺い、翌朝担当者は祭壇製作者と共に、供花をいただいたお宅にお詫
びにお伺いして、ご理解をいただき、無事ご葬儀を終えることができました。

 当初、大変ご立腹のご様子だったご相談者も、担当者の率直なお詫びと迅速な対応に動かされ、後日、故郷でのご葬儀も手伝ってほしいとのご
連絡をいただく程に、お互いの信頼を回復されたとのこと。
 担当者がお花を持って馳せ参じたことはいうまでもありません。

 どんなに素晴らしいご葬儀であっても、一瞬の気のゆるみで、全てが覆されてしまうことを実感した出来事でした。

 また、最初のご相談から何年かぶりにご連絡をいただいたご葬儀では、ご相談者から担当者の適切なアドバイスや細やかな気配りに感謝のお言
葉をいただきましたが、一つだけ遠慮がちにお話されたことがございました。

 100歳を越すご長寿の方でしたが、ご逝去4日後にラストメイクがほどこされたお顔はご相談者のお母様のイメージとは大分かけ離れてしま
い、大変戸惑われたご様子をお話いただきました。
 
 担当者に伺うと、ご逝去後少し時間が経ち、お顔が黒ずんできたのでメイキャップアーチストにラストメイクをお願いされたとのこと。
 「よりきれいに」を意識されたメイクよりも、いつものお母様のお顔でお別れがしたかった。
 たかがメイク、されどメイクです。
 小さなことのようですが、大きな問題だと思います。
 ご遺族の心情を察して、より心のこもった対応の必要性を感じたご葬儀でした。

静かに見送りたい・・・

 ご家族が特に信仰している宗教がないという場合のご葬儀では、葬儀社さんなどから紹介してもらうお坊さんに読経をお願いする他に、無宗教葬で行う方法もあります。

 無宗教葬というと、お式中に故人様が好きだった音楽をかけたり、音楽をやられていた方等の場合には、ご友人たちが生演奏をしたり、また、スライドショーなどを上映して、故人様との思い出に浸ったりなど、ご家族で企画されるご葬儀を想像する方も多いのではないでしょうか。

 ご葬儀は故人様を送る儀式として、基本的には宗教者の主導で進行して行きますが、宗教者のいない無宗教のご葬儀では葬儀社の担当者が進行役を務めることもあります。
 この場合、無宗教での葬儀を得意としている葬儀社では、葬儀の流れとして色々なプランを持っている場合もあり、1時間のご葬儀の中でうまく時間を割り振って、心に残るような演出を提案してくれるようなこともあるようです。

 先日、無宗教のご葬儀を希望し、家族のみで静かに見送りたいというご相談をいただきました。
 家族だけでのご葬儀では、ご親族も会葬者もいないため、司会者による故人様の略歴紹介や想いでの紹介なども必要がないことから、葬儀社から何かを提案していただこうと思っていたのですが、「静かに見送りたい」というご要望があったことから、ご葬儀の時間には特に何もせず、お別れの時間をゆっくりとって最後の時間をお過ごしになられました。
 ご葬儀を終えた数日後に、ご相談者からいただいたメールには、「家族葬、無宗教の葬儀はどんな感じになるのか不安がありましたが、納得のいく葬儀になり、気持ちよく静かに見送ることができました」とお書きいただき、ご満足いただけたことに安心したと同時に、無理に何かを企画しなくても、故人様をきちんと見送りたいというご家族の気持ちを十分に理解できていれば、「あえて何もしない」という選択肢もあると実感しました。

担当者の対応力とは・・・。

最近、ご紹介した賛同葬儀社さんの対応力を高く評価いただくことが重なり、ご紹介した当方もほっとすると同時に、気を引き締めていかなくてはとの思いが交差しております。

 先日は5回目のリピートとおっしゃるご相談者から、ご親族のご相談をお受けいたしました。
 過去4回共、同じ担当者で、ご相談者から常にご喪家のお気持ちを汲んだご葬儀に感銘され、将来のご自身の時もお願いしたいくらいとのお話をお伺いし、一瞬どのようにご説明しようかと焦ってしまいました。
 と申しますのは、ご事情によりご指名の葬儀社さんが最近廃業され、担当者の方は地方のご実家の方に戻られたとうかがっておりましたので・・・。

 ここは前任者より、さらなる担当者のご紹介をしなくては、ご納得いただけないのではと思い直し、さらにお話をお伺いしていくうちに、ある担当者の方に思い当りました。

 少し前になりますが、東京近郊の市営斎場に立会いでお伺いした折、ご挨拶もそこ・そこ、開口一番「良い方をご紹介いただき、感謝しております。家族・親族だけで静かに父を見送りたいと願っていた母の思い通りのご葬儀ができました。常にこちらの立場に立っていただいたのが何よりです」。
ご喪家のご相談者が待ち構えるようにして、お話しされたことが、思い出されました。

 他社さんが自社のプランのお話に終始される中、ひたすらご喪家のご要望をお聞きになり、市営斎場でのメリット、デメリットをお話しして、適切なアドバイスをされたとのこと。  

 また、労をいとわず、夜7時過ぎにご親戚の方から「枕花を明日にでも」とのご注文にも2時間後には見事なお花を届けていただけたこと。

 納棺もお父様の上司だった方から、こんないい笑顔は見たことがないとお褒めいただき、お母様と日本各地のお花を見て回るのが趣味だったお父様らしく、「春を思わせるお花に囲まれて旅立ちができそうです」と悲しみの中にも、ご満足されたご様子がうかがえました。

 今回、新たにこの担当者に託してみよう。よろしくお願いいたします。
 
 紹介する側も、意気込み十分です。

生花祭壇の役割

 センターでは、ご相談の初めの段階で一度祭壇についてお伺いしますが、宗旨宗派を問わず、年々、生花祭壇を希望される方が増えてきているようです。
 
 生花祭壇は式場内を華やかに飾るだけでなく、故人様やご遺族の要望をかなえやすく、その方のためだけに造られるものというのも理由の一つかと思います。
 また、たくさんの花で送りたいと思われている方も多く、祭壇で使った生花はたいていの場合、ご出棺前のお別れの際に皆様でお柩におさめられるので、最期に皆様が故人様とお別れをする時間を少しでも長くしてくれるのにも役立っているのかもしれません。

 ときどき、仏式の葬儀でも生花祭壇を選んでもいいのでしょうかなどのご質問をいただくことがあります。昔ながらの葬儀をお考えの方などには、仏式での生花祭壇に少し抵抗がある場合もあるようですが、葬儀社さんとの打ち合わせなどで気持ちが変わり、生花祭壇に変える方もいらっしゃいます。
 また、神道でのご葬儀では白木の祭壇を使用される方が多い中、神道用の生花祭壇を提案する葬儀社さんもあります。

 故人様のイメージや好きだった色や花で飾られることも多く、故人様が男性の場合には、白やブルー、紫色などの寒色系の花をメインに飾ることが多いように思うのですが、お父様のご葬儀の祭壇をピンクの花で華やかに飾ら れたご葬儀もありました。 ご相談当初から生花祭壇で見送られることを強く希望されていたご家族でしたので、生花祭壇にちからを入れている葬儀社さんをご紹介させていただきました。
 祭壇は遺された奥様と娘さんのご希望でピンク色の花をメインに使用したとのことです。
 立会いに伺えなかったご葬儀でしたので、その祭壇の写真を見せていただいたのですが、あくまで私の想像ではありますが、とても仲の良いご家族という印象をもちました。

 葬儀に対する考え方は千差万別ですが、生花祭壇はそれぞれのご家族の送る想いをかなえることにも一役かっているのではないかと思います。

涙腺が弱いせいでしょうか。

 子どものころから比較的涙もろい方だったのですが、最近では「ちびまるこちゃん」を見ていてもホロリとしてしまうほど涙腺がゆるくなってきています。

 ご葬儀は故人様との最期のお別れの場であり、ご家族や故人様と交流があった方にとっては、深い悲しみの中で行われる儀式です。
 私たちはそのご葬儀へ立会いという立場でお伺いすることがありますが、もちろん、故人様とはご生前に交流があったわけではないので、そこに「思い出」というものはありません。

 立会いでは、ご葬儀を斎場の後方から拝見させていただくのですが、時としてこの約1時間の間に、ぐっと感情が入ってしまうことがあります。
 ご葬儀が始まる前は気丈に振舞われていた喪主の方が、お経を聞いている間、ずっと涙を流されているのを見ると、何とも言えない気持ちになります。

 また、お式の後半で、お別れの儀式の準備をするために、皆さまが一旦式場の外に出ることがありますが、準備が整うまでのこの時間は和やかな雰囲気で過ごされているなと感じることが多いのですが、準備が整って、お柩のふたが開けられている式場へ入ると、先ほどまでの和やかな雰囲気が一気に「最期」を感じる空気になり、直接故人様と交流を持ったことがない立場の私でさえ、自分の涙腺がどこまで頑張れるか…、と思いながらも、ご葬儀を後方から見ているのが仕事なので、毎回、どうしても感情が入ってしまうようです。

 葬儀社のスタッフの方たちは、自分達の仕事に集中し、次へ次へと動きまわらなければならないので、毎回のご葬儀で泣いているわけにはいかないのでしょうが、たまに、目を赤くしているスタッフの方を見ると、なぜかホッとしたりします。

 涙腺はこれから更にゆるくなってくるかと思いますが、式中に席をはずさなければならないようなことにならないように、引き締めないと・・と思います。

お別れは自宅で・・・。

通夜、葬儀・告別式と続くご葬儀を省き、火葬のみの直葬をご希望の方が増えておりますが、火葬場でゆっくりお別れをされる時間をとることは難しく、どこか急き立てられる感は否めません。
 そんな中、最近は一旦病院からご自宅にお帰りになり、火葬の日までご自宅でお身内の方とゆっくり最後のお別れをされる方が目立ってきたように思われます。

 通常病院からご自宅にお戻りになられることは、ご近所に知られることとなり、お知り合いの方々がご会葬にお見えになられることを前提に、ご葬儀の準備に入りますが、この場合はお式が省かれ、祭壇の設置もなく、葬儀社さんの進行もありません。
 生前親しくされて、最後のお別れを希望される方のみがお越しになり、故人様とご対面されるという形になります。

 都会の場合は隣近所とのお付き合いも大分様変わりしてきましたので、義理でお見えになられる方も少なくなり、ご喪家のご意向がストレートに反映されたこのようなやり方でも、あまり違和感を覚えなくなってきているようです。

 先日ご相談いたしましたご葬儀でも、当初ご家族だけでの1日葬を希望されていらっしゃいましたが、横浜では市営斎場での1日葬は難しい状況になりますので、直葬に変えられ、故人様はご自宅で火葬までの3日間を過ごされました。
 その間にご近所の親しかった方々がお線香をあげにお見えになり、こちらで最後のお別れをされて、火葬場に向われました。
 ご自宅からの出棺前、お知り合いのご住職による読経を30分以上されたとのことです。

 また、以前1人住まいのお母様のご逝去で、ご長男の喪主様はご自宅にお連れし、ご親族の方々と最後のお別れをされた後、直葬を希望されたのですが、集合住宅で階段が狭く柩を上げるのが無理な状態となり、まして医務院で解剖されたお母様の体を痛めるわけにはいかず、急遽、喪主様の奥様のご実家へ搬送というハプニングがありました。

 血縁でもないご親族のご自宅にいきなりご遺体が運ばれ、火葬までの2日間を快く引き受けてくださったご実家の方々のご好意と思いやりに感謝し、お母様サイドのご親族の方々は、初めてご訪問するお宅で、ゆっくりとお別れができたことが、忘れがたい思い出となられたとお聞きしました。