大事なのは対話する能力です。

 当センターには、賛同社になりたいと言って、数多くの葬儀社さんが来られます。
 どういう話をされるかも人それぞれで、パンフレット持参でひとつづつ説明される方、業界のあり方に批評をする方、集客についてノウハウを開示する人、会社設立の思いを熱く語られる方、人それぞれです。

 そんな中、ふと気付くと、私自身が気持ちよく語ってしまっている場合があります。これは、相手の人がうまく私の話を引き出しているということでしょう。

 葬儀における、葬儀社の担当者と依頼者の場合にあてはめてみましょう。 

 自分の会社のこと、商品のことを説明するのは非常に大事なことです(このことさえできないところもあるでしょうが)。しかしそればっかりではご依頼者は不快な思いをするでしょう。

 なぜなら、商品や会社自体には関心はないからです。関心があるのは、自分のいまのこの状況を、どのようにしたらよりよく乗り越えていけるのか、ということだけです。この関心を置き去りにして、熱心に商品説明しても、いや、熱心にすればするほど、押し売りみたくなってしまうでしょう。

 この関心をうまく聞き出して理解し、その上で、この商品がどのように役立つのか、を説明してはじめて、ご依頼者は満足するのではないでしょうか。

 そのためには、当たり前のことですが、ご依頼者により多くを語ってもらえるようにしなければなりません。

 何はともあれ、対話する能力は非常に大事なものだと思って、葬儀社さんの担当者と話すときも見ています。

「依頼者のご要望に合わせてパンフレットを使い分けます」と聞かされて・・・

 ある葬儀社の担当者から「当社にはパンフレットが低価格用のものと一般の葬儀用のものとあり、使い分けています」と伺った時には、戸惑い思わず聞き返してしまいました。
 実は担当者は警察から頼まれる葬儀にも関係していて、ご喪家から「お葬式を出すお金がない」という相談を受けることが多いとのことでした。
 「どうしても安くやりたいと相談されると断れなくて、ついいいですよということになってしまうんですよ。金銭的に厳しくて火葬だけしかできないのでは忍びない。何とかしてあげたいということから、こういうことになったのですよ。この方達にいきなり40万、50万の祭壇のパンフレットをお見せすればビックリされてしまいますから」。
 火葬費用にも満たない金額で泣き付かれた時には、知り合いのご住職に事情を話して快く引き受けて貰い、終わった後にご喪家の方は涙して喜ばれたようです。
 
 「また逆に、値段の安い祭壇のパンフレットを見て、何だそれしかないのかと言うような方には別な一般用のパンフレットをお見せしています」とのことでした。
  

葬儀担当者の心得とは

 時に葬儀の仕事が天職のような担当者に出会うことがあります。
 傍から見ていると真面目に一生懸命取り組んではいるが少し膨らみに欠ける方、両腕まくりをして今にも飛び出しそうなイメージの方と各人個性派ぞろいの方が多い中で、その担当者は1歩下がってむしろ淡々とこなしているように見受けられました。 
 2ヶ月ほど前に概算見積りをお願いした後、依頼者の奥様から担当者に連絡を取りたい旨電話が入り早速伺っていただきました。
 奥様は今の状況を説明し、現場をみてもらっていざという時はよろしくとのことで、差し当たって雑談をしてきましたと担当者の報告が入りました。
 しかしこの雑談こそが式のイメージや依頼者の性格などを読み込む大事な時なのです。
 担当者はその場を読み、性格を読んで依頼者に照準を合わせます。照準さえ合えば後は二人三脚ですからと。読み間違えると別の道へ行ってしまい、ピントが合わないと最後までピントがずれたままになってしまいますからとも。
  1ヵ月後、煮詰めた話をしたいと担当者に連絡があった頃には、すでに依頼者は全面的に頼っていらっしゃる様子でした。
 まもなく迎えられたご主人の最後に覚悟だったとはいえパニック状態に陥られたので、あえて3日ほど間を取られて少し冷却期間をおき、落ち着きを取り戻して通夜に臨まれました。通夜の気丈な振る舞いにご主人の友人達も胸を熱くしたようです。
 「あくまでご喪家の葬儀であり、葬儀屋さんの葬儀ではありませんから」と黒子に徹しながらも伴走者として見守る姿勢が依頼者に信頼と安心感を感じさせたようです。

ある葬儀社さんのこだわり

 以前、葬儀社にご挨拶に伺った時、開口一番祭壇の前に置かれている柩を如何思いますかといわれ、正直とっさに返答に困ったことがありました。
 祭壇は亡くなった人を飾るのであるから、亡くなった人が綺麗に飾られているかが問題で、そのためにも柩は祭壇の上に置いて飾るのが大切ではないかと言われました。
 葬儀社は故人との接点はないので生きているという存在として捉えると、どうして柩が前にでられるのか。それは物として扱っているからではないかとのご指摘でした。

 「うちは参加指導型でやっています」とは担当者の言葉です。
 「葬儀社が全てやってしまうのではなく、ご喪家の方々にもお手伝いしてもらいながらやることで、皆さんに参加するという意識を持ってもらうことが大切だ」ともおっしゃる。
 こちらでは故人のメイクもプロに頼まず、ご喪家の方々にも参加してもらい、お手伝していただく。そうすることで、ご喪家と同じ目線でどうしたいかを話し合えるとのことです。

 通夜・葬儀・告別式の儀式が中心になってしまうが、中心はあくまで故人であることを忘れずに・・・。長い生涯の中でたった3~4日を如何に大切にできるか。
 先ずはご自宅に帰り、その日1にちはゆっくりお布団に寝かせたい。
 翌日、お布団の上で身体をご家族の手で拭いて貰ってから納棺。夜中そばで見守ってあげたい。
 次の日に初めて通夜となる。こうして死という現実を分かろうとする時間が必要であり、お孫さん達も亡くなった人に対する意識が変わり、接し方も変わってくるようです。
 
 最後のお別れも、できるだけゆっくりお花を柩に入れた後、柩の蓋を閉めるまでの空白の時間を大切にします。
 喪主の方を見ながら声をかけ、タイミングを計ります。皆様にお別れがゆっくりできましたと言われるように。
 職人気質・葬儀社さんのこだわりです。

複数社の葬儀社の話を聞くことについて

 ご依頼者の状況と時間とお気持ちが許せば、センターでは、複数社から話を聞くこともお勧めしています。これは、センターが、一定レベル以上の葬儀社をセンターのルールという同じ土俵で競合させることによって、ご依頼者がより費用を抑え質の高いサービスを受けられると考えているからです。

 ただ、ご依頼者の中には、何社も紹介されても迷うだけだから、一社を選んで紹介して欲しいという方もいらっしゃいます。それゆえ、どういう紹介の仕方が一番ご依頼者に合うのか、そして混乱させないのか、よくお話を伺ってから紹介しています。

葬儀社の一般的な分類の仕方

 葬儀社の分類も視点の取り方で、いかようにも分類できますが、一般的には、葬儀専門業者、互助会、JA、そのほか、というように分けている例が多いようです。

●葬儀専門業者
 葬儀社の中でもっとも割合が多いの専門業者です。総務省の調査によりますと、葬儀業を営んでいる企業の常用雇用数は10人未満の葬儀専門業者数は70%以上になっており、小規模企業が多いのが現状です。
 なお、葬儀専門業者により構成された全国規模の団体として全日本葬祭業協同組合連合会(全葬連)があり、会員数は1522店舗(17年4月1日現在)になっています。

●冠婚葬祭互助会
 互助会といわれているものです。互助会は、経済産業大臣より許可を受け、割賦販売法に定められた指定役務(この場合、葬儀サービス)の提供を目的とした前払い式特定取引業を営んでいる事業者のことです。
 要するに、互助会は、会員が毎月掛け金を積み立てて、その積立金をもとに葬儀を施行してくれる葬儀社です。そして積立金の半分は、万一会社が倒産しても保全されます。

●JA
 JAが窓口になり葬儀を受注しますが、葬儀専門業者と連携しており、多くの葬儀は専門業者によって行われているようです。ただ、独自にサービスを提供するところも中にはでてきています。

 そのほか、生協やホテル、広告会社などが新規事業として参入している例もあります。