第三者のケアマネージャーからご葬儀の相談を受けて・・・。

 先日、深夜、ケアマネージャーの方からお世話していた方がご自宅でお亡くなりになったので、葬儀社を紹介してほしいとのご連絡が入りました。
 亡くなられた奥様の介護にあたっていたご主人から全て任せられているとのことでした。
 早速センターからご要望にあった葬儀社をご紹介するために幾つかお尋ねいたしましたが、お宅の実情はご存じなく、どんなご葬儀をされたいのか判断がつかず、「ご主人から直接電話をかけさせるようにします」と電話をお切りになりました。
 
 最近、事前相談などでも、ご家族以外の方からのご相談が時々見受けられます。
 ご相談自体はいっこうに構わないのですが、いざという時にご家族、特に血の繋がりのある方から横槍が入ることが多々あり、その点は注意が必要です。思わぬところに伏兵有りです。

 以前、妹さんのご主人が危篤状態で、ご主人とは「兄弟以上の付き合いをしていたので最期の別れを悔いのないものにしたい一心で、妹とも話し合い、葬儀の相談」をされた方がいらっしゃいました。
 ところが、このことがご主人の実家に知れるところとなり、なぜあなたが・・・と言う目で見られ、依頼者の独断で話が進むことに、先方のご兄弟から異論が出てきてしまいました。
 依頼者は妹さん一家の状況も良くご存知で、万が一の時は妹さんが喪主にあたりますが、お2人とも血の繋がりはありません。最後は血の繋がりがものをいうようです。
 一言先にご実家にご相談すべきでした。
 よかれと思ったことが思わぬ方向に行き、双方の気まずい思いだけが、残ってしまったようです。

 核家族化で第3者がご相談される機会も今後益々増えてくると思います。慌てないためにも、エンディングノートの活用が待たれます。
 先ほどのケアマネージャーの方からは、「ご親戚の方が取り仕切られたようです」とのご連絡をいただきました。

田舎のご親戚との距離感は大丈夫ですか・・・。

 当センターには葬儀社のご依頼だけではなく、ご葬儀に関する色々なお電話を頂きます。
 時には思わず絶句するようなことから、共感して思わず話し込んでしまうことまで様々です。
 最近少し気になることが相次いでいます。
 都会では家族葬だ、さらには直葬だという傾向が増えてきていますが、田舎のご実家やご親戚の方々も納得されてのことでしょうか。
 直葬でのご家族だけの見送りに、都会の人のやることだから仕方がないと、むりやり納得させていらっしゃらないでしょうか。
 都会に出てきた方のなかにはご近所付き合いは盛んだけれども遠方のご親戚とは疎遠になっているケースがよく見受けられます。
 しかし、田舎の方々はまだまだ地域のご葬儀方法にこだわっていらっしゃる方も多く、都会に出た方も一族のお1人とカウントされていて、現状では双方の温度差が大きいというより、最近は益々開いてきているようにも思われます。

 数日前の昼下がり、ちょっと一息ついた時に頂いたお電話は「茅ヶ崎で浄土宗のお寺さんを紹介してください」とのことでした。
 「申し訳ございませんが、こちらは葬儀社をご紹介する所で、お寺さんは直接ご紹介しておりませんが、どういったご事情でお寺さんが必要でしょうか」
 首をかしげながらお尋ねすると、電話口の方は「主人のお葬式であげて頂いたお経が間違っていたんです。49日は本来の浄土宗であげたいんです。お葬式の時はゴタゴタしていて宗派が分らず葬儀社に適当にお願いしたのですが、親戚の指摘で間違いだと分りました」。
 「少々ばつが悪くても施行していただいた葬儀社さんに正直にお話され、改めてご紹介を頂くのがよろしいのでは・・・」。
 「そうですよね。思い切って話してみます。」電話口の声は心なしかほっとされていました。

 また、先日、一旦決めた市営斎場をキャンセルして、慌てて別な斎場を別な日に確保するというハプニングがありました。
 4~5日待ちが当たり前と言われている火葬場併設の斎場でしたが、通夜が友引の日に当たりました。
 これが田舎のご親戚では大問題になって、出席拒否をされてしまったようです。
 しかし、喪主が仕事を空けられる時間は限られています。
 急遽、変更され事なきを得ましたが、お呼びするご親戚やご実家近辺の葬儀事情も考慮する必要があるようです。
 時には一歩引いて距離感を確かめることも大切なのでは・・・・。
 

疎遠の親戚もご葬儀にだけは口を挟んでくる・・・。

 地区の生活相談員をされている方から夜遅くお電話をいただきました。
 9年前から生活面の面倒をみている方がお医者さんから後2ヶ月は難しい状態だとの報告を受けたので、前もってご葬儀のご相談をしたいとのことでした。
 始めに気がかりだったのは、ずっとお世話をされていらっしゃるとはいえ、ご家族でもご親族でもない方が勝手にことを進めてよいものかということでした。
 勿論ご相談者は先刻ご承知のことですが、そのことをあえてお尋ねしました。
 少し離れたところにご兄弟が5人もいらっしゃるとのことですが、この9年間どなたも1度もお見えにならず、ご連絡もない状態とのこと。
 先にお亡くなりになったおじいさんおばあさんのご葬儀の時もゴタゴタの末、相談者の方に押し付け尻ぬぐいさせられた苦い経験があるので、今回は前もって葬儀社の方をご紹介いただければということでした。事情が事情なので少しお話をお伺いいたしました。

 県に管理してもらっている財産と呼べるものはほとんど底を突いている状態なので提示されたご予算は直葬に近い金額でした。
 多少のお値引きはあるとしても、2日間のご葬儀には公営斎場を想定しても葬儀社さんに支払う金額の他に斎場費、火葬代、搬送代、飲食代、返礼品代、お布施代等がかかります。
 こちらの一存では返答しかねますので、地域の賛同社と連絡を取ってからご返事することになりました。
 人のいい賛同社の担当者は「東京と違って大丈夫ですよ。二つある公営斎場の常設祭壇のある方でしたらなんとかなります。業者さんではなくお食事も外部持込にすればいいですし・・・」
 
 翌日、早速に指定されたお時間にお電話いたしました。
 実はあれからご相談者も面倒をみている方のご親族にご連絡されたそうです。
 ご親族からはご葬儀のことはお亡くなりになったあとでよいと素っ気ないご返事に相談者も困惑のご様子。
 なにもしないで口だけ挟む典型のようなご親族のようです。
 だけど何もしないわけにはいけません。
 ご事情が目に浮びます。
 あくまでご親族が優先ですので、見積りやいざとなった時の手配等の準備だけでもそっとぬかりなく。
 「担当者に事情を話しておきましたから大丈夫ですよ。万が一の時でも分るようにしてありますから・・・」と申し伝えると、電話口の声も心なしか安堵のご様子でした。

 

ご心配の余りと親戚の方が口出しするのは難しい。

 最近はメールでのご相談を、ご家族の方(万が一の時は喪主か施主になられる方並びに伴侶の方)以外のご親戚の方から受けるケースが目につくように思われます。
 特にご当人様と親しい間柄であればあるほど状況を見てご心配の余り、居ても経ってもいられなくなり、ご家族にお断りなくご連絡いただくということになるようです。
 ご相談自体は大いに結構なのですが、当方とのやりとりをして、見積りを取り、ご検討いただいても、いざという時にご喪家から「なぜ、あなたが」というような見方をされないとも限りません。
 ことここに来てはじめてご本人とは親しいだけで直接な血のつながりがないことに思い至り、二重の落胆をされる破目になってしまいます。
  
 少し前のことですが、横浜の義兄の方からご相談のメールを頂きました。
 同じ横浜在住の妹さんのご主人が危篤状態とのことでした。
 義弟のご実家は東北地方ですが、「実の兄弟以上の付き合いをしていたので、最期の別れを悔いのないものとしたい一心で、妹とも相談しつつのお願い」とのことでした。
 依頼者は妹さん1家の状況もよくご存知で、また妹さんも喪主に当られますが、御2人ともご当人様と血のつながりはありません。
 一方、義弟の方にはお母様、ご兄弟がいらっしゃいます。
 依頼者の独断の形で話が進んだことに、途中ご兄弟から異論がでてきたようです。
 最後は血のつながりがものを言いました。
 一言先にご実家にご相談すべきでした。
 これでは双方ともに気まずい思いだけが残ってしまいます。
 良かれと思ったことが思わぬ方向に行かないためにも、如何なる状況であれ、ご了解を取ってから事に当る必要があることを改めて思い知らされました。
 当方としても大いに反省の材料とさせられました。
 
 

疎遠のご親戚を葬儀の席で仲良くする法

 通夜当日、ご家族ご親族だけがお集まりいただいた席はお互い取り付く島もない空気が漂っていました。
 都会生活ではあまり耳にしなくなりましたが、一歩離れるとまだまだ本家だ分家だという言葉が、特にご葬儀になると飛び交うようです。
 依頼者の方はお母様のご葬儀が済めば、以後きっぱりと本家との縁を切って都心に移り住む覚悟でご葬儀に臨んでいました。
 一方のご本家側は事前の連絡もなく、いきなり知らされ菩提寺を無視され、しかも戒名無しのご葬儀にご立腹の様子。
 しかも、10年間お母様の看病をされた依頼者はご本家の戒名を付けてあげるというご好意もきっぱりと辞退されました。できればこのまま俗名のままで結構ですとのこと。読経も葬儀社が手配したご住職にお願いしています。
 お金と口を出そうとするご本家と受け取らないご喪家側。
 10名余りの双方は気のよさそうなおば様お1人を介してのみ言葉が成立する始末。
 このままではお母様を気まずいままお見送りすることになってしまいます。
 かたずをのんで葬儀社のこの道数十年のベテラン担当者に伺うと、なんと精進落しの席では皆さん話が弾んで、にこやかに会食されるまでになったとのことです。
 どんな秘訣があるのかと尋ねてみましたが、ただ双方にしゃべりかけるだけですよとのことでした。
 誰に何時ものを言うべきかのきっかけは永年の勘でわかるので、相手の立場や気持ちを一つひとつ具体的に説明し、気楽に話しかけおしゃべりしていくうちにしらっとした空気もいつの間にか和んでくるとのことです。
 これはノウハウを学んだからすぐできるものではなく、永年の蓄積もあり、相手に頼りにされ、安心感を与えてこそ成り立つことです。
 予算、金額だけではないご葬儀の良し悪しは、こんなベテラン担当者の心遣いが大いに物を言うのではないでしょうか。
 

親戚とのパイプ役にもなるマイクロバス

 葬儀には1台のマイクロバスが色々活躍します。
 通常、斎場からご家族ご親族を火葬場に案内するのに使われます。
 斎場で精進落としをする場合は斎場と火葬場の往復になり、火葬場の控室でお食事会やおときになれば最寄駅までお客様をお送りする役目になります。
 その他、最寄駅から通夜や告別式のお客様を斎場にお連れするのにも使われます。
 
 先日立会いに伺った葬儀社の担当者はマイクロバスを使ってご喪家の親戚の方々に大変感謝されたようです。
 斎場から火葬場に向い、火葬中の控室でおとき(精進落とし)を済ませたご親族に「帰りはマイクロバスでご自宅に寄り線香の一本でもあげて行きませんか」と進言されたそうです。
 「最初帰りの新幹線の時刻を気にされていたご親戚には3時半に最寄駅までお送りしますと約束し、一同でご自宅に伺うことになり、短い時間でしたがお線香をお1人ずつあげることができました。遠方のご親戚の方は初めてお伺いする方が多く、ホッとなさったようでした」。
 都会では特に結婚式からお葬式まで自宅に親戚を迎えることが殆ど無く、伺うきっかけがつかめないままになって気が咎めていたようです。
 故人が引き合わせてくれたような気配りに満足され、最寄り駅に降り立ったご親族の方々は一様ににっこりされ、担当者に労いの言葉をかけてお帰りになられたとのことです。